第85話 クエスト選択
結局マーガレットと一緒に風呂に入らずに、小汚い餓鬼2人と女を捕まえて風呂に入れてピカピカにしたのだ。最初は怯えていたが何度か身体を洗って風呂に入れたら静かになった。綺麗になったガキと女を見て俺は満足して晩飯を作る事にした。女も子供も痩せていてあばら骨がハッキリ見えているのだ、こんなに痩せていては力も出ないので仕事が出来ないから困るのだ。沢山ご飯を食べさせて太らせてやるのだ、そして新しい領地でこき使ってやるぞ。
「おい、勇者チーズか牛乳買って来い。ついでに野菜もな」
「・・・・・?・・・・・」
「女にカルシウムとバランスの良い食事をさせたいんだよ。母体が丈夫じゃないと子供に悪影響が出るからな」
「「「お~、成程!」」」
「魔王は色々考えているのだな、腹いっぱい食わせるだけでは駄目なのか?」
「駄目だ、バランスの良い食生活で身体を丈夫にして病気に成らない様にするのだ。つまり丈夫で病気をしない領民にするのだ」
「ふむ確かに子供が産まれても直ぐに死んだら何にもならんな、強い領民が居れば領地も強く成るな」
「そうだ富国強兵!産めよ・増やせよなのだ。特にマーガレットの所は全部で500人しか居ないからどうにもならんぞ」
「ほう、私より賢いのだな。私もたくさん産む予定だから魔王も頑張ってくれよ!」
何を頑張るのか分からないが女性は子供を産むのでカルシウムを大量に消費するのだ、強い子を産むためには母親は丈夫でなくてはな。女共が4人に増えたので食事には更に気を配る事にした。ふ~主夫って大変だぜ。あれ?勇者が金を稼いでくる旦那で料理を作る俺は主婦なのか?どこかで何かを間違えたのかな?
沢山朝飯を作って子供達に食わせてギルドに向かう、扶養家族が増えたので益々稼がなくてはならないのだ。一人では全くやる気が出ない俺だが扶養家族がいるなら話は別だ、たまには本気を見せねばなるまい。
「マーガレット、金に成りそうなクエスト探してくれ」
俺と勇者は字が読めないのでクエスト探しは出来ないのだ、アリアとココは一応読める程度なのでここは領主であるマーガレットに丸投げだ。そして俺は怖い顔をした受付の所に行く。
「やあ受付さん、儲かる薬草って有るのかい?金に成る奴」
「何だお前さんか、金は十分稼いだんじゃないのか?もうクエスト受けるつもりなのか?」
「金が要るんだ、家族が増えそうなんだ」
「ほ~子供かい?何人位増えそうだね」
「取りあえず1000人位増やしたいな」
「げえ!幾ら何でもそんな絶倫いね~って!あんたどんだけ好き者なんだよ!」
「はあ~、俺は向こうの大陸では絶倫魔王って呼ばれてた事も有るんだぞ」
何だか話が嚙み合って無い気がするが仕方ない、俺は異世界人だから良くあることだ。細かい事は気にしないのだ。怖い顔の受付さんに聞いた所ではやはり高級な薬草はあるそうだ、おまけに生えている所も分かってるのでクエストとしては楽だ、ただし高い山の上の方に有って狼達が襲ってくるので大勢で行かないと危険なクエストらしい、アリアに聞いた通りだな。現在の値段は薬草1本1万ゴールドを少し超える価格なのだそうだ。俺は喜んでそのクエストを受ける事にした。
「すまんがこのクエストも受注して欲しいのだが」
「おうマーガレットか、良いのが有ったのか?」
「うむ、面白そうなのが有ったぞ」
マーガレットが持ってきたクエストは「噛みつきガメの捕獲」クエストだった。この世界の亀は本当に人間を攻撃するのだそうだ。そして結構美味いので高く売れるのだそうだ。ただし、難点は毒蛇がウジャウジャ居る沼に住んでいるので危険なのだそうだ、代わりに1匹3万ゴールドになると言う亀だった。
「大きいのか?」
「結構デカい、50センチ位で5キロ位だな。亀の甲羅も高く売れるし、身も食えるぞ」
「へ~、スッポン鍋か。冬なら食いたいな、俺達の所じゃ高級品だぞ」
「食った事無いっす」
「実は俺もだ、手足が入ってるからグロくて無理だ。でもコラーゲンが多くて女性に人気って事は聞いた事が有る、生き血を飲む野蛮人もいたな」
クエストを2つ受注した俺達は直ぐに旅の支度をする、明日の朝には出発するのだ。予定では100キロ先の山まで2日、山で薬草探しが2日。帰り道に毒の沼によって亀探しが1日、全部で7日間の計画だ。5人分の食料7日分を買って家に帰る。そして女と子供達と晩飯だ、明日から又旅なので豪勢な晩飯だ。肉や野菜をたくさん食べて食い溜めしとくのだ。特に旅の間は野菜が取れなくなるので野菜と果物を腹いっぱい食っておく、肉は焼きすぎて余ったので明日の朝食べる事にする。
「風呂沸かしたッスよ」
「おう、ありがとう。マーガレット一緒に入ろうぜ」
「ああそうだな」
「はい?」
冗談で言ったら一緒に入る様だ、普通は笑って断ると思うのだが・・。まあ良いや、透視能力のない俺は一緒に入るしか裸を見る機会は無いからな、覗きは俺のプライドが許さないのだ。まあ何でも言って見るものだな。
「中々良い体をしてるな、魔王」
「違うだろ、そこは俺が先に言う所だぞ」
マーガレットと一緒に風呂に入ったがこいつは男らしかった、堂々と脱いで平気な顔をしていた。自分を女と思って無いようだ、男として育てられた弊害だな。チョットは隠したり恥ずかしがってもらいたいものだな、これでは嫁と風呂入ってるのと全然変わらないな。
「この石鹸って素晴らしいな、沢山持ってるのか?」
「あと2個で終わりだ、ここでは作れないな」
「そうか、残念だ」
ここで石鹸を作るのは無理だ、油が手に入っても2酸化ナトリウムが手に入らないのだ、魔族の国なら電気が有るしドワーフに協力して貰えば鉄の加工もできるので何とか作れるかも知れないが電気の無いここでは石鹸の作り方を知らなかったのだ。苛性ソーダで作る以外の方法はネットで調べて無いのだ。それにあっちでは魔力変換でバンバン石鹸出してたから仕方ない。
「2000万用意出来そうか?」
「明日からのクエストで分かると思うぞ、1週間の予定のクエストで幾ら稼げるか分かるからな。それで駄目なら俺が何とかしてやるから安心しろ」
「頼りになる男だな気に入った、私の嫁に成れ」
「阿保かお前は!俺は男だぞ、嫁はお前だろ!」
「おお、そうだったな!では私の主夫に成ってくれ!」
「考えとくわ」
マーガレットは見た目は女だが中身は男なので全然そんな気にならなかった。今度はアリア達と風呂に入ろうと思う。
「魔王さん・・」
「どうした?」
「アリア達と風呂に入ろうとしたら断られたッス。イヤラシイから駄目って言われたッス」
「そりゃそうだろうな。子供と一緒に入って洗ってやれよ」
「詰まんないっすね」
俺は明日の旅に使う物をせっせと造っていた、明日から1週間は旅の空だ食い物は十分用意したがそれだけでは俺は嫌なのだ。
「何造ってるんだい?それ桶だよね」
「自由落下型シャワーだ」
「何それ?」
「お~い、サトウ。手伝ってくれ」
「良いっすよ」
俺は桶の底に穴の沢山開いた管を取り付けたのだ、これに水を入れれば簡易シャワーになるのだな。旅をしてる時でも毎日シャワー位は浴びたいのだ。
「この桶を高い所に吊るして、勇者にお湯を入れて貰えばシャワーになるんだ」
「じゃあ、入れて見るっすね」
「「「お~!!!」」」
簡易シャワーは成功だ、穴の数が少し足らないので増やしたら更に快適になった。マーガレット達は魔法を見ている様だと言って感動していた。毎日シャワーを浴びれるのが嬉しい様だ。ただし桶のサイズが小さいので1分チョットしかお湯が出ないのが難点だな。しかし、お湯が切れる度に勇者がお湯の補給をするので裸が見放題だぞって勇者に言ったら大喜びだった。桶の傍に居てずっとお湯を補給するって言ってたな。