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ぶ~外れです! 賞品は魔王です!  作者: ピッピ
第7章 魔王冒険編
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第76話 勇者活躍

「おいアリア、ここら辺に良い宿屋ないかな?」

「有るよ、どうするんだ?」

「そりゃあ泊まるに決まってるだろ」

「勿体ないから私の家に泊まりなよ、宿屋の半額で良いよ」

「お前な~、俺を信用し過ぎだぞ。悪い奴が多いからな、もっと慎重に生きた方が良いぞ」

「ははは、喜んで付いてくる奴なら途中で逃げてたよ(笑い)」


 俺達はアリアに連れられて町はずれの小さな家に来ていた。はっきり言ってボロイ家だ、隙間だらけで汚い、雨が降ったら確実に雨漏りするだろう。家の中にはアリアの相棒のココが居た。可愛らしい顔立ちだがやっぱりアリアと同じで疲れている感じだった。


「あまり豊かじゃ無いようだな、アリア」

「ああ、正直金に困ってるんだ。ここの家賃も何時まで払えるか分からない」

「そうか、それで俺達を泊めてくれたり仲間にしてくれる訳か。納得した」

「これでも真面目なんだ、身体を売って生活したくないんだ」


 サトウに警戒態勢を解除させる、美人局を警戒していたのだ。俺が急にモテたりするのは変だからな。女を使って男を騙すのは簡単で効率が良いのだ。俺とサトウはハンドシグナルで色々な情報をやり取りする練習を船の上で練習していた、未知の場所で冒険するのだから危険に対応するのは当たり前だな、簡単にやられる程俺はお人よしじゃないからな、死ぬときは周りを巻き込んで派手に死んでやるのだ。


「何だい、あたしを疑ってたのかい!」

「当然だ、俺は女にもてるわけ無いからな(笑い)」


 家の中に入れてもらい荷物を置かせて貰った、40キロの背嚢は重いし背中が蒸れるので常時背負うのは面倒なのだ、だが必要な物がどっさり入っているので目を離すわけにもいかない、盗まれると、とても困った事になる。ここの家賃は月5万ゴールドだそうだ、安い宿屋は一日3000ゴールドだから1か月泊まると一人9万ゴールドもするので2人で暮らすとかなり安くつく計算だ。ただしここいらは治安が悪いので何時も警戒しとかないといけないので疲れるそうだ。


「ふ~ん、ここら辺は治安が悪いのか。女2人じゃ大変だな」

「そうなんだ、最近変なのが寄って来て嫌だからあんたたちは用心棒代わりさ」

「任せるッスよ、変なのは俺がぶちのめすッス」


「ほう面白れぇ!やってみろや!」


 家の入り口に汚い男が立っていた、見るからに貧相で弱そうだ。


「何だいあんた達!私の家から出ていきな!」

「そんな男を引っ張り込む位なら俺達の相手をしろや!クソ女!」


 どうやら俺達がこの家に入るのを見て逆上して押しかけた様だ。もしかしたらアリアに惚れてるのか?ココも可愛いからな、こんなカスに目を付けられるとは厄介だな。男は仲間を連れて来ていた様だ、部屋の中に3人入って来たので狭い。おまけにこいつら臭いのだ。


「おう!お前らここから出ていきな!今なら何もしねえでおいてやる!」

「何言ってるんだい!出て行くのはお前らだよ!」


 男3人とアリアが大声でわめいていてとても煩かった、男3人はどうみても弱そうだし、アリアとココも大声を出すだけで手を出さないのが不思議だった。俺はハンドシグナルで攻撃開始の合図を勇者に送った、2回素早く右の拳を握るだけの合図だ。


「サトウ!殺すなよ!」

「了解っす!」


 俺達は疲れてるので手早く片付ける事にした。早く風呂に入ってゆっくりしたいのだ。俺も勇者もメンドクサイのは嫌いだし男には容赦しないのだ。


「なに!・・ぐえ・・」

「ぎゃ~!腕が!・・」

「うお!・・」


 若い女の前なので勇者は物凄く強かった、何時もの3倍の速度で動いた勇者は簡単に3人を叩きのめした。3人組は地面に倒れて呻いている。


「こいつら弱すぎっす、骨が折れたぐらいで泣きわめいてるッス」

「アリア、ロープくれ。こいつら縛るから」


 2流の悪党が本物の悪党に喧嘩を売ったらこんなもんだ、勿論この位で許すほど俺は甘くない。こいつらは俺の役に立ってもらうのだ。


「お前ら俺達にこんな事してただで済むと思ってるのか!殺してやるぞ!」

「魔王さん、こいつら煩いから顎砕いときましょうか?」

「おお、ナイスアイデアだサトウ」


 勇者に顎を砕かれた3人組は今ではメソメソ泣いていた。こいつらは今まで本物の悪党を見た事が無いようだ、まあ良い勉強になっただろう。アリアとココは俺達を見て怖がってる様に見えたが気のせいだと思う事にした。残飯あさりの野良猫が機嫌の悪い虎に向かっていった結果がこうなのだ、弱肉強食を理解してない2流の悪党の末路は惨めなものだな、ふっ、虚しいぜ。


「サトウ2匹持ってくれ、俺が1匹持つから」

「了解ッス。どこに行くんスカ?」

「船長の所に売りに行く、櫂を漕ぐ奴隷を欲しがってたからな。」


 アリア達に荷物を見て貰って、俺達は又港に行って男3人を船長に売った。貧弱な体だったので3人で12万ゴールドにしかならなかった。もっと体格の良いのが欲しいそうだ。でもまあゴミが金になったのだから良い事にしよう、資源の有効利用ってやつだ。やっぱり俺は日本人だからな、ゴミでも捨てると勿体無いのだ。


「アリアただいま~」

「え・・ああ・・お帰り・・」

「これ分け前、6万ゴールド。あいつら12万で売れたからね」

「え、あたいにくれるのかい」

「そりゃそうだ、だってチームだろ?」

「ハハハ・・あんた変な奴だね、怖いのか優しいのか分からないよ」


 その後大きな桶が有ったから勇者に水を出して貰って温めた。雨水を貯める桶だそうだ、井戸が無い家はこれで水を賄うらしい、この桶は人が入れるサイズだったので久し振りの風呂の出来上がりだ。魔法で水を出したり温めたりする勇者を見てアリア達は驚いていた。魔法を使える人間は物凄く珍しいのだそうだ、魔法が受けた勇者は物凄い勢いで風呂を沸かして見せた。風呂をご機嫌で沸かしてる勇者はチョットだけカッコ良く見えた。


「へへ、風呂が沸いたッスよ。魔王さん」

「流石勇者だ、大したもんだ」

「勇者・・魔王・・・?」

「気にするな、ただのあだ名だからな」


 背嚢から石鹸とタオルを出して久しぶりに風呂に入った。シャンプーなんて無いから髪も石鹸で洗う、髪が痛むのを気にする様な軟弱者は冒険者には居ないのだ。いつ死ぬか分からない人間が髪など気にするわけがない。風呂から上がって石鹸の使い方を知らないアリアとココに使い方を教えてやって風呂に入れたら喜んでいた。2人はくすんだ冒険者から綺麗な冒険者になった。やはり若いおね~さんは毎日風呂に入らないとな、臭いと魅力が無くなってしまうからな。


「うへへ、若いねーちゃんが居るとやる気が出るッス」

「風呂覗くなよ、お前透視出来るだろ?」

「な!何で知ってるんスカ。言ってないのに!」

「にやけた顔で丸わかりだぞ」

「うへ~、バレバレっすね。魔王さん怖いっす」


 その日の晩にも2人組の男が来たので又俺達は儲かった。だが噂が広がったのかそれ以上男がやって来る事は無くなってしまった。冒険者のクエストするより楽で儲かる商売が無くなったのでガッカリだ。


「またあいつら来ると良いッスね!儲かるッス」

「だな、笑いが止まらないぜ」

「あんた達一体何者なんだ?E級冒険者って冗談だろ」

「もしかして奴隷商?」

「ハハハ俺達ただの冒険者っすよ(笑い)」


 それから俺達は冒険者の事やこの国の事を色々と聞いた、ランクアップの方法などを聞いておきたかったのだ。闇雲に動くと俺達は悪目立ちするので自粛していたのだ。2~3日彼女達の家で過ごしていたのだが悪党が襲ってこないので仕方なくギルドのクエストを受ける事にした。なにせ俺達が家から顔を出すと近所の連中が逃げて行くのだ。全く人を奴隷商と間違えるとは酷い奴らだ。


「魔王さん、なんか俺達嫌われてるみたいッス」

「奴隷商と間違われてるんだろうな、多分、凄く怪しい服着てるしな」

「なんか傷ついたっす、あいつらどっかに売ってやりましょうか?」

「やめろよ、本物の奴隷商になるじゃないか」


 家に居ても金にならないのでアリアと一緒ギルドに行く、俺達は字が読めないからアリアが居るのは大いに助かった。アリア達も最初は俺達を怖がっていたが、悪党が寄って来なくなったので喜んでいた。それに毎日入れる風呂が気に入った様だ、この大陸の女もサキュバス同様石鹸と風呂の魅力には勝てない様だった。暇な勇者は土魔法でデッカイ風呂を造っていた、何が何でも女と一緒に風呂に入りたいらしい。同時に4人入れる程の石の風呂を造ったのには驚いた。毎日魔力で水を貯めて沸かすのは大変だと思うのだが、風呂の為ならへっちゃららしい。凄いのか凄くないのか良く分からない男だった。

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