表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぶ~外れです! 賞品は魔王です!  作者: ピッピ
第7章 魔王冒険編
75/128

第75話 冒険者登録完了

 1か月の船旅も終わりやっと船から降りた俺達は、冒険者になるべく街の中をブラブラ歩いていた。大きな街には冒険者ギルドの支店が有るのでそこで冒険者って奴になれるのだそうだ。他にも退屈な船旅の間に船員や乗客達と世間話をして色々な情報を集めていた。


「陸に上がってもまだ揺れてる感じがするッス」

「直ぐに収まるから気にするな」


 港町に着いたがそれ程活気がある訳でもなく人もまばらだった。田舎の漁村って感じだ。俺達を運んだ船は俺達の大陸からの商品を下している所だった、食料品やドワーフ族が造った金属製品がこっちでは高く売れるのだそうだ。船も帆船だし、陸の傍を航海する感じだったので多分平均速度は一日100キロ位のノンビリした旅だった。

 俺が魔族を使って大型艦を作れば画期的な発明になるだろうな、帆船の知識は全然持って無いので、俺が作るなら低重心のフリーゲート艦になるだろうし、スクリューと舵を付けるので帆船や手漕ぎの船よりは速いのは間違いないな。ギアを介した人力動力の2軸スクリュー艦なんて面白そうだ、帰ったらドワーフにスクリューとギアを作って貰って実験船を作ってみよう。ドワーフ達は力が強いので一人1馬力位有りそうだから10人に漕がせると10馬力位になるはずだ。それを2軸にして20馬力の船の出来上がりだな、魔族には昆虫族みたいに10馬力以上出しそうな種族も居るから協力してもらえればかなりの船になるのは間違いないな。


「また何か変な事考えてるっすね?」

「変じゃないぞ、もう少しましな船を造ろうかなって思ってた所だ」

「お~、蒸気船とかッスか?」

「蒸気動力とか作って、産業革命を起こす気はないぞ。この世界が制御不能になるからな」

「悪くなるッスか?」

「分からんな、この世界の人間が勝手に開発して進歩するなら構わないが、俺が余計な事をして無理に変化させると必ず綻びが出て来ると思うぞ。未開人に文明を与えると滅茶苦茶になる様にな」

「あ~、人権団体が金集めているあれッスか。あれ金集めても結果を全然言わないッスよね」

「そりゃそうだ、上手く行ってないからな。報道しない自由って奴だ、つまり詐欺だ。」

「ハハハ、国連の方から来ました詐欺みたいなもんっすね」


 まあ募金や寄付が有意義に使われる保証は全然無いのだ、中抜きする連中が多すぎる上に貰った奴が贅沢品を買うのは良くある事だ。善意に寄生する連中は無くならないからな。


「まあ良い、この世界は遊んで暮らせるのは貴族位だからまだマシだな」

「金が動いてないから悪人も少ないって事っすね」

「少ないって言うよりも分かりやすいって感じじゃないかな?盗賊は分かり易いが詐欺師集団は正義のフリをするから見分けにくいって感じだな」


 ぶらぶらと港町を歩いて行くが誰も俺達に近づいて来る者はいなかった。それもそのはず俺と勇者はスワットの標準装備なので異様な外見なのだ。特に勇者は腰に魔剣を下げてるので異様なプレッシャーを周りに放っていた。魔族の国に有った魔剣でグングニルとか言う何でも切れるっていう剣だ。俺は剣を持って無い、使えないから危ないのだ。自分の足でも切ったら嫌なので腰にナイフを付けてるだけだ、ナイフはシールズ2000、錆びないしよく切れるから俺のお気に入りなのだ。アメリカのシールズ用なのに何故か日本製だしな。


「あれじゃないッスか?」

「読めないから分からないな」


 俺も勇者もこっちに来て1年位になるので話すのは平気だったが、文字を読むのは苦手だった。パソコンを使って楽してたのが裏目に出た様だ。一人当たり40キロ程の荷物を背負っているので早く冒険者の手続きをして宿屋に泊まりたい俺達は構わずその建物に入った、間違ってたら出れば良いだけだからな。


「うへ!この独自の雰囲気は・・・」

「うむ、ハロワの雰囲気だな、多分ここで間違いない」


 求職者が居る独自の雰囲気の室内を係員が居る所まで歩いて行く。張り紙の様な物が沢山張ってある壁が有ったり(紙ではなく何かの革だろうが)、テーブルが有ったりしている。大体広さは学校の教室サイズだな、受付の様な人が3人いて対応していた。

 勇者は迷いなく美人の受付嬢がいる所に行って並んでいる。物凄く分かり易いやつだ、俺は空いている人相の悪い男の所にいった、一番空いていたからだ。俺は並ぶのが大嫌いなのだ。


「見ない顔だな、何の用だ?」

「冒険者に成りたいんだ」

「そうか、じゃあこいつに名前と特技を書いてくれ。料金は5000ゴールドだ」

「字が書けないんだ」

「じゃあ代わりに書いてやるよ、良くあることだ」


 俺は強面の男に名前を告げてお金を払った、この男は顔は怖いが親切な奴だった。なんでも俺は初心者の見習い冒険者になったそうだ、ギルドのクエストをクリアするとドンドン出世して偉い冒険者になるのだそうだ。特技は別に無いので書いてない。魔法とか使えると有力な冒険者から誘いが来たりするのだそうだ、つまり就職に有利になる感じだな。


「おめでとう、これであんたはE級冒険者だ。A級目指して頑張ってくれ」

「ありがとう頑張るよ、所でA級になったらいい事有るのかい?」

「そりゃあA級様なら何処に行ってもヒーローだぜ、金も凄く儲かるしな」

「そうか、まあ俺には関係ないな。D級目指して頑張るよ」


 親切な受付に助けられて俺は晴れて冒険者になった。E級冒険者なので木のタグだな、首からぶら下げているが邪魔なのでポケットに入れている者も居るそうだ。これが有ればこの大陸の何処の街にも自由に入れるそうだ。一種の身分証替わりだな。勇者の方を見るとまだ並んでいる様だった、美人の受付嬢なので並んでる連中がやたら時間をかけて粘るみたいだな、受付嬢も可哀そうに半ギレ状態で対応していた。それに対して俺が世話になった受付は客が居なくて暇そうだったな、目で合図したらウインクしていたからお茶目な奴みたいだ顔は怖いけど。

 荷物が重いので椅子に座るためにテーブル席に向かった。奥のテーブルは軽食が食えるようで、何か食べている連中が居た。俺も荷物を置いて何か頼もうかと思ったが字が読めなかった、字から食い物を想像しようと頑張ったが頑張っても無駄だった。当たり前だな初めての食い物屋でメニューが分かる訳無いな。


「ここ良いかい?」

「良いよ」


 20歳位の勝気な感じの女の子が俺に声を掛けている。身長160センチ82・58・85だな、サキュバス達と1年近く暮らしている俺は女の3サイズが意識しなくても分かるのだ。サキュバス達に下着を1年間供給した実績がうなりをあげた瞬間だったが意味は無かった。


「字は読めるか?」

「ああ、一応ね」

「そうか、食い物を注文したいんだが俺は字が読めないんだ」

「あたいが読んでやるよ」


 メニューを読んで貰って俺は料理を注文した。定食2人前だ、勿論彼女の分と俺の分だ。勇者はまだ並んでいた、あいつは馬鹿だと思う。料理が来たので2人分払った、ここでは品物とお金は交換みたいだな、食い逃げの危険が有るから当然だな。


「食えよ、俺の奢りだ」

「悪いね、いきなり昼飯奢って貰って」

「気にするな、教えて貰ったお礼だ」


 彼女はアリア、D級冒険者だ。クエストを探しに来たそうだ、連れがもう一人居るが2人ともあまり強く無いので金に成りそうなクエストは受けられないのだそうだ。


「あ~!なんでいきなりお姉さんと飯食ってるんですか!」

「煩いなお前は、取りあえず座れよ」

「冒険者になった瞬間にモテるとかズルいッス!」


 延々と列に並んで冒険者になった勇者は、簡単に冒険者になって可愛い冒険者と飯を食っている俺にブウブウ文句を言っていた。


「何だいこの男は、メンドクサイ奴だね」

「俺の連れだ、悪い男じゃないんだが女好きだな。でも襲ったりしないから大丈夫だ、スケベなだけだ」

「そこまで言いますか!どうせ俺はモテないっすよ」


 3人でにぎやかに飯を食っている時に俺はアリアに誘われた、一緒にチームを組んでクエストを受けて欲しいそうだ。女2人のチームなので信用出来る人間と組みたいのだそうだ。


「何で俺なんだ?」

「美人の受付に行く男は駄目さ、女に飢えてるから危ないんだよ。強面の所に迷わず行くヤツなら頼りになりそうだからね」

「うへ~!言い返せないッス」


 こうして俺は冒険者になって5分で綺麗なお姉さん冒険者の仲間になった。もう一人は155センチ85・60・85の髪が肩まである女の子だった。名前はココ、アリアの幼馴染なのだそうだ。2人とも冒険者になって4年程の経験が有るので色々教えて貰えそうだ、何となくツキが回って来た様な気がした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ