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ぶ~外れです! 賞品は魔王です!  作者: ピッピ
第6章 魔王護衛をする
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第72話 王子の冒険1

 魔王城の階段は段差が大きく作りも魔族に合わせているのでとても登りにくくて降りにくい、俺と王子は文句を言いながらやっと一番下に着いた。


「膝が痛いぞ、魔王。エレベータを付けてくれ」

「無茶言うなよ、電気が無いのにそんな物出来るか!」

「それより後ろ見てみろ、魔王城だ」

「お~!でかいな!私の王宮の10倍位有るぞ」


 俺の家である魔王城は兎に角大きかった、石造りの巨大な城なのだ。戦時には魔族全員が中に住めるだけの巨大さを誇っているのだ。そして王である俺はその巨大な城の最上階に住んでいるのだ。つまり一番上にあがったり降りたりしなくてはならないから大変なのだ。俺としては2階建位の小さな住まいが欲しかったと言うのが本音だ。


「この城は魔族が何十年もかけて造ったそうだ。何でも中に部屋が何百も有るらしい」

「凄いな魔王は金持ちなのだな」

「いや全然、宝物庫の中に有るのが全財産だ。あれも最近頑張って貯めたんだ」

「でもこの城の主だよな?」

「まあ、半年前に魔王になったばかりだしな」


 話をしながら魔族の街をブラブラと歩いて行く。俺が来る前は土の道で汚くて臭かったが、石畳にして公衆便所等を作りまくったから今は清潔で綺麗な街並みに成っていた。


「色々な人たちが居るもんだな、人じゃない者も多い様だが」

「そうだな、尻尾や耳が生えてるのが獣人、背が低くてガッチリしてるのがドワーフ、背中に羽が生えてたり目が赤かったりするのが魔族だな。人間は俺達とおなじだな、他にも魔女とか竜とかケロちゃんの仲間の幻獣とかいるんだ」

「そりゃあ、覚えるだけでも大変だ。良くそれを治めていられるな、魔王は凄かったのだな」

「いや俺は凄くないな最弱だしな、4天王って言う俺の部下が優秀だっただけだな」

「優秀なヤツは凄くない奴には仕えないと思うぞ?」


 街の中を歩き回って疲れたので公園で一休みする事にした。この公園も俺が魔族の国の中に沢山作ったのだ。一つには公衆便所を作る為、もう一つは俺が屋台で儲けるためだ。今も公園の中には屋台が4件ほど出ていた、大体これは獣人がやってるのだ。


「串焼き2本くれ」

「おっ!魔王様、今日は良い肉が入ってますから美味いですよ」

「そりゃあ良いな、油がのって美味い奴たのむ」

「魔王!ズルいぞ自分だけ、私の分も買ってくれ」

「おう、久しぶりだなトランザム、何してるんだ?」

「屋台に魚を卸してるんだ、私の仕事を忘れたのか?」


 そう言えばトランザムには週に1回、西の国から魚を運んで貰ってたな、すっかり忘れてた。


「勿論覚えているとも、トランザムを探しに来てたんだ。お土産が有るから今晩俺の部屋に来いよ、面白い果物が有るんだ」

「嘘つけ、完全に忘れてた顔だ」

「はっはっは、お前見たいな美人を忘れる訳ナイダロウ」

「成程こうやって生きて来たのか魔王は」


 そう、俺はこうやって魔族の国で生き延びて来たのだ。実力で魔王になったのなら強いから自分の好き勝手に出来るのだろうが、俺はくじ引きでハズレを引いて成っただけの魔王だから物凄く弱いのだ。と言うよりもこいつらが強すぎるのだ、俺だって普通の人間相手なら滅多に負ける事は無いがこいつら魔女や魔族、獣人なんかに勝てる訳無いのだ。死にたくないなら仲良くする必要があるって訳だ。それにこいつらは俺の面倒をよく見てくれるから気に入っているのだ。以上言い訳終わり。


「王子、こいつは魔女のトランザムだ、氷魔法のエキスパートだ」

「氷魔法?」

「何だいこのガキは?あんたの子供かい?」

「こいつは向こうの世界の仲間だ、宜しく頼む」

「トランザムさん、ハッサンと言います。宜しくお願いします」


 おお、こいつはハッサンって名前だったのか初めて知った。ああ、そうか向こうの世界じゃ誘拐されそうになったりしてたから、名前を知られると不味いから名乗らなかったんだな、俺も名前なんて気にしてなかったしな。


「ほう、礼儀正しい良い子じゃないか」

「ありがとうございます」

「珍しい物食わせてやるから後で来いよ、トランザム」

「私も食べたいですわ、魔王様」

「なんだ、シルフィーネか。久しぶり」


 トランザムと話をしてたらシルフィーネまで現れた、勿論ジャージを着ている。魔族最強と言われているが美貌も魔族最強クラスの美人さんだった、サキュバス達を絞り込んだ様な体つきで豊かな胸と細い腰、そして完璧な顔立ちだ。身長は俺より高くて180センチ位で金色の瞳が印象的だ。


「魔王様を探していましたの」

「どうした?」

「長老から竜の魔石を預かってますの」

「おお、そりゃあ有難い。シルフィーネも晩飯食いに来いよ」

「ありがとうございます。私、魔王様の料理が食べたいですわ」


 シルフィーネが食べたがってるのは多分激辛料理だ、毒耐性Aの彼女は何でも食べられるが、激辛カレーが大好物なのだ。そう言えば他の4天王はどうしているのかな、会いたいな~。昔は怖くて逃げ回っていたが今は何だか懐かしい。


「王子、こっちはシルフィーネ。4天王の一人で魔族最強って言われてるんだ」

「凄い美人だな、スタイルも凄いけど」


 2人に会ったので城に帰る事にした、街は他に大して見せる物もないしな。コロシアム等は街から離れた所に有るので明日案内することにする。4人でゾロゾロ歩いていると魔族が蜘蛛の子を散らす様に逃げていく、気の短いトランザムとシルフィーネが居るせいなのだが、ここは気づかないふりをするのが大人の対応なのだ。


「うへ~又登るのか・・」

「魔王、早くエレベーターを付けてくれ」

「どうしました魔王様?」

「階段上がるのがキツイんだよ」


 魔族サイズの階段を王子と2人で上がって行く、シルフィーネやトランザムは平気みたいだが俺達は途中でへばってしまった。そうしたら俺はシルフィーネにお姫様抱っこをされて、王子はトランザムに背負われて無理やり一番上に運ばれてしまった。2人とも腹が減ってるので早く晩飯が食べたい様だった。


「うう、かっこ悪いのだ」

「うむ、魔王の威厳が台無しだ」


 サキュバス達にはキュウリやトマトを浮かべたソーメンを作ってやった。見た目が綺麗なのでとても喜んで食べていた。しかしトランザムやシルフィーネはこんなものでは満足しない事は分かっていたので2人には別料理だ、簡単に出来て腹いっぱいになるスパゲッティーだ、トランザムには3束分のスパを作りシルフィーネには2束分のスパゲッティー。そして粉チーズとタバスコ、シルフィーネのスパにタバスコを一瓶丸ごとかけてやる、もはやこれは毒だな、傍にいると目が痛い位だ。

 シルフィーネの傍に居ると目が居たくなるので、サキュバス達と風呂に入ってくつろぐ事にする。王子も一緒に入ったのだがサキュバス達と一緒に風呂に入るのに驚いていた。途中でトランザムやシルフィーネも風呂にやって来たので更に驚いていた様だ。


「なんとまあ、フリーダムな所だな魔王」

「まあな、文句言うの怖いしな」

「愛されてる様に見えるのだがな、魔王」

「だったら良いな」


 まあ俺は彼女達に好かれてはいる様だ、愛されてるかどうかは分からないがな。人の気持ちなんて直ぐに変わるからな、俺はひねくれているから完全に信じたりはしないのだ。






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