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ぶ~外れです! 賞品は魔王です!  作者: ピッピ
第6章 魔王護衛をする
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第70話 駐日大使の仕事

 俺は何故か店が休みなのに働いている、それも頭にターバンを巻いて白い服を着てだ。勇者も同じようなブカブカの白い服を着て腰に剣を刺して俺の横にたっている。サキュバス達は顔にベールを付けて何やら嬉しそうに俺の面倒を見ていた、多分珍しい民族衣装を着れたので喜んでいるのだろう。


「なあ、王子。これに判子押せば良いのか?」

「うむ、この書類全部に頼む。あと勇者の判子も適当に押しておいてくれ」

「分かった」


 俺はペタペタと判子を押してサインしているのだ。王子がこの国の土地や会社を買収しまくっているのだが、持ち主が外国人だと面倒なので日本人の俺が主体となっているのだ。ついでに勇者も色々な物件の持ち主になっている、なにせあいつは名前がサトウだから判子何か何処でも売っていて便利が良いのだ。


「喜べサトウ!お前、書類上は会社社長だぞ。それも10件」

「潰れても知らないっすよ(笑い)」

「まあ名義貸しだから平気だろ、具合が悪くなったら逃げるだけだしな」


 今日は俺達は喫茶店の隣にある王子の国の大使館で公式に働いてるのだ、それで俺はターバン巻いてるし、勇者は武官なので剣を腰にさしてるのだ。サキュバス達は俺について来ただけだけど。俺も勇者も年間100万ドルで雇われているので偶には仕事をしてるって訳だ。大使館の中は外国扱いなので民族服を着てくれって王子に言われたのだ。


「お~い、王子。全部でいくら位使ったんだ?会社やビルが凄い数有るけど?」

「全部で5000万ドル位だな、私の財産は日本に集中させる事にしたのだ」

「へ~、5000万円っすか、太っ腹っすね」

「阿呆、ドルだから50億以上だ!」

「え~、このガキ一体幾ら金持ってるんすか!」


 日本に資産を集中させる計画みたいだが俺は日本は全然伸びしろが無いので止めさせた。これ以後はアメリカや東南アジアに投資するようにアドバイスした。この国は一部の企業と公務員だけが儲かるいびつな国なのだ、もう成長することはないからな。


「成程、ではこの国の投資はこれ位で止めておこう、国の投資は分散することにする」

「それが良い、後は自国の景気対策でもしとけよ」

「魔王の会社に投資したいのだが駄目か?」

「これ以上大きくする気はないぞ、料理が面倒だからな」

「俺も皿洗いが面倒だから嫌っす」

「人を雇えば良いであろうに・・・」

「サキュバス達が俺以外の命令を聞くと思ってるのか?王子」

「そう言えばそうだな、サキュバスや勇者が魔王以外の人間に使われる訳ないな(笑い)」


 部屋の隅には王子の護衛が小さくなっって固まっていた。王子の護衛は屈強な男達で皆2メートル近い大男だったが、サキュバスの尻に触ってボコボコにされていたのだ。そしてサキュバスにボコボコにされた腹いせに次は勇者に喧嘩を売って簡単に返り討ちに会って、今では俺達が近づくと下を向いてじっとしてる様になったのだ。因みに最初は4人いた王子の護衛だが今は2人しか居ない、後の2人は長期入院中だ。


「王子、なんでこんなブカブカの服着てるんスカ?動きにくいっす」

「さあ?皆これ着てるんだ、王族はこれ着てないと怒られるんだ」

「この服は砂漠用の服だぞ、砂嵐に耐えられる様に出来てるんだ」

「砂嵐って台風みたいなもんスカ?だったら余計邪魔ッスよ」

「砂を含んだ暴風は凄いぞ、車の塗装が剥げる位の威力が有るし、口をベールや布で覆わないと息も出来ないレベルだぞ」

「ほえ~、日本とはスケールが違うんですね」

「成程そういう理由だったのか、初めて知ったぞ魔王」


 やっぱり頭が良いのか馬鹿なのか良く分からない王子が頷いていた、日本人の着物と違って服装に意味がある事に気が付いた様だ。でも砂漠じゃなければ邪魔なだけなんだよな。


「それじゃ俺達帰るからな」


 大使館での仕事も終わりサキュバス達とゾロゾロ隣に移動する。今日と明日は休みなので店は俺達の貸し切り状態だ。メイド喫茶とスナックを始めたので今ではサキュバスが10人居るのだ、そして俺と勇者を入れると総員12名に成っている、普通の家なら大変だが喫茶店をやってるので非常に便利だった。余裕で全員が入れてご飯が食べられるのだ。


「今日の昼飯は何なのだ魔王?珍しい物が食いたいぞ」

「天津飯でも作ろうか?」

「おっ、中華も良いっすね」


 全然中華じゃないが、たまに食べたくなるのだ。この天津飯は上に乗ってる卵の出来で料理人の腕が有る程度分かる料理・・・・いや良いよなそんな事。元々俺はプロじゃないし。


「お~い!出来たぞ、デザートは西瓜だ」

「何ですか魔王様、その緑色の大きな物体は?」

「そう言えば、サキュバス達は西瓜見るの初めてだったよな。これはでっかいフルーツだ。美味いぞ」

「ウチの国のスイカは形が違うのだ、こんなに丸く無いし甘くもないのだ」


 緑色の外見に変な縞模様が付いているのでサキュバス達は警戒していたが、切ったら中が赤いので物凄く驚いていた。そして食べていたら甘くて美味しいので感動していた。折角何層にもして作ったフワフワの天津飯がかすんでしまって俺はがっかりした。


「天津飯うめ~す!この西瓜も美味いっすね、火の国のスイカっすか?」

「良く分かったな、当たりだ」

「あそこは米が不味いけど、果物は美味しいっすよね」

「だよな、あそこのミカンは美味いな、米は不味いけど」

「なんで米だけ不味いんすかね?」

「多分海水に浸かった土地で育てた奴が混じってるんだと思う、こっちでも海の近くの米は臭くて不味い奴が有るんだ」

「成程、色々有るんすね」


 西瓜はサキュバスに大人気だった、緑色で丸いので可愛いのだそうだ。それに食べたら美味しいので毎日ねだられるようになった。そこで俺は西瓜を魔族の国で造る事にしたのだ、多分育つと思う、これが出来たら魔王印の果物として儲けるのだ。

 さてそろそろ魔族の国に帰ろうか、ここでの仕事は上手く回る様になったのでもう俺は必要ない様だ、今度は自分の国の面倒を見なくてはならないな。


「おい、サトウ。そろそろ国に帰ろうと思うんだが」

「それじゃ俺も帰るっすよ、ホワイト企業に就職出来てボーナス貰ったからもうこの世界に未練は無くなったッス(笑い)」

「小さい未練だな(笑い)」

「魔王、私も連れて行ってくれ」

「良いぞ、俺の国を見せてやろう。でも驚くなよ電気も無い所だぞ」

「電気の代わりに面白い物が有るんだろう?」

「ふっ、愛と勇気が有るっすよ(笑い)」

「俺は魔法と冒険だと思うな(笑い)」


 こっちの店はサキュバス10人に任せて俺達は国に帰る事にした。勿論男爵や昆虫族の2人も一緒だ、お土産に西瓜やミカンなどの苗木を持って帰る事にする、これで俺の世界に美味しい果物を流通させるのだ。




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