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ぶ~外れです! 賞品は魔王です!  作者: ピッピ
第1章 新魔王
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第7章 開戦初日~深夜~


 オルフェイスの部隊が手抜きしてくれたお陰で、人間の部隊達は安心して夕飯を食べて今は休息をしている様だ。思ったより自分達の被害が少なくて安心しているのだろう。死者も最低限に済んで指揮官たちも上機嫌のハズだ。勿論そうなる様に仕組んだのは俺だがな。そして安心した諸君にはこれから地獄を進呈しようじゃないか。なにせ俺は魔王だからな。今は真夜中、正確な時間は時計が無いので分からないが、人間達の気配が薄くなっているとクロードが言っているので多分深夜なのだろう。


 「クロード、行け。」


 「お任せ下さい魔王様、ご期待に応えて見せます。」


 50人の夜戦部隊が10人単位で音もなく部屋を出て行った。彼らは魔族にしては小さい者が多かった。森の中で静かに動くために小さくて軽いのだ、身体に長い毛が生えている者もかなりいた。身体に毛が生えていると森の中ではとても有利なのだ、木の葉等に触れても音がしないのだ。そして軽いので木の枝等を踏んでも音がしにくいのだ。森の中を無音で進むのには相当な技術がいる、無音で動ける人間は凄腕の猟師位な物だろう。そして彼らは体臭を消すために水浴びをして森の木の葉っぱの汁を身体に振りかけていた。これで音でも匂いでも彼らは捕捉されにくくなったのだ。


 「魔王様、お茶でございます。」


 「ああ、ありがとう。」


 「魔王様、まだお休みにならないのですか?」


 「もう直ぐ祭りが始まるからな、もう少し起きてるよ。」


 「こんな時間に祭りですか?」


 「ああ、人間達に祭りをプレゼントしたんだ。喜んでくれると良いな。」


 俺は世話係のサキュバスにニヤリと笑って言った。サキュバスには意味が分からない様だったが俺の笑いが邪悪な笑いだったのは分かった様だ。とろけるような微笑みを返して来た。


 「魔王様、疲れが取れるマッサージ等いかがですか?」


 サキュバスが真っ赤な唇を小さな舌で舐めながら俺に話しかけて来る。露出が最低限の衣装を着ているのだが物凄くいやらしい感じがする。大きな胸と細い腰が薄い布の下に隠れているのだ、そして物凄い美人だ年は18~30才位に見えるが、はっきりした年齢の分からない妖艶な女だ。でも俺は普通の人間なのでサキュバスに精力を奪われたら死ぬかも知れないのでじっと我慢だ。でも死ぬときはこんな綺麗なサキュバスに勢力を吸われて死ぬのも悪くないなと思った。


 「やぅて貰いたいが、今は作戦の方が大事だ。その内頼むよ。」


 「まあ、戦争中ほど殿方は燃え上がりますのに魔王様は鋼の心をお持ちですのね。私惚れてしまいそうですわ。」


 「はは、ありがとう。」


 「・・・」


 「始まった様だな。」


 森の方向から音が聞こえる、野戦部隊が祭りを始めた様だ。今回の作戦の第一目標は食料と水だ。3万人の食料なので膨大な量だ。これを出来るだけ多く燃やしてしまうか毒を入れて食えない様にする。水も同じだ、森の中なので食べ物や水は有るが3万人を養う量はとてもない。人数の多さがが役に立つのは戦闘時だけで補給時には人数の多さが弱点に代わるのだ。人は食べないと死んでしまうからな。森の動物たちも3万人が入って来たので逃げてしまった。食料の保管場所なんかは空からの偵察で全てわかっているのこの作戦は楽だった。


 「何をしてますの?森の中が騒がしいですが。」


 「食料の焼き討ちだよ、ついでに水に毒を入れてる。」


 「まあ、凄い。」


 「ついでに寝てる兵士達を片っ端から襲ってるはずだ。」


 「食料と睡眠を奪うのですね。」


 「そう、戦いの基本だね、食べさせない、寝させない、殺す。」


 「流石は魔王様、容赦ないですわね。」


 「防衛だから容赦は無いよ。勿論攻める時もそうだけど。」


 「魔王様に攻められたいですわ。」


 「また今度ね。」


 野戦部隊は今頃敵の傍から離れているはずだ。作戦が終えたら素直に城に帰るような事はしない。2時間ほど部隊毎に休息を取って敵兵が落ち着いた頃に再度大騒ぎを起こす作戦なのだ。つまり、彼らは休息を取れないのだ。そして食料と休息無しでは人間は段々弱っていくのだ。まあ1~2日飲まず食わずでも動けるがそれは短時間しか持たない。俺は人間だからそれを良く知っていた。


 「さて、サキュバスちゃん。俺は風呂入って寝るよ。」


 「私もご一緒しますわ。」


 「え~、精力吸われると俺死んじゃうんだがな。」


 「吸いませんわ!お世話するだけです。」


 「嘘だな。」


 「チョットだけ吸うかも・・ですわ。」


 ちょっとがどの位か分からないので俺はサキュバスを断って一人で風呂に入って寝た。別にサキュバスにこだわる必要は無いからな。頼んだらやらせてくれる魔族のお姉さんが一人位は居るだろう。精力を吸わない安全な女の人が。そう言えば広間に胸の大きな優しそうな眼をしたお姉さんが居たような気がする、明日はもっと魔族の連中をよく見てみよう、戦闘狂ばかりでウンザリだ、直接戦闘なんか効率が悪いから嫌いだ資源が無駄に消費されてしまって勿体ないのだ。

 戦争するより商売した方がお互い儲かるのにな~等と考えながら俺は寝た。まずこの戦争に勝利して生き残る事だ。理想じゃ飯は食えないし、戦争には勝てないのだ。

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