第59話 開店準備
「皆さん準備は良いですか?」
「「「「は~い!」」」」
魔族の国の皆に見送られて俺達はこっちの世界にやって来た。サキュバス達ならこの世界でもアイドルに成れるはずなのだ。勿論芸能人なんかにさせる気は全然ない、日本一のメイド喫茶にしてやるのだ。転移して俺の家にまず案内して着替えをしてから店に案内する。
「ここが今日から俺達の戦場だ」
「戦場って言うより城じゃ無いっすか?」
「まあ仕事場兼住宅だな」
1階が喫茶店で2階が住居になっている家を借りたのだ、喫茶店は4人掛けのテーブルが8脚、カウンターに8人座れるので全部で40人で一杯になるこじんまりした喫茶店だ。駐車場は4台分のスペースしかないが有るだけマシだな。この店に全部で6人の従業員は多すぎるが、きついのは嫌いなので交代で休むつもりだから問題ない。
「明日からの開店をネットで宣伝しましょうか?サキュバス達の画像を載せたら客が来るッスよ」
「やめとけ、いきなり大勢の客が来たらだるいじゃないか。最初は少ない客で練習しようぜ」
「やる気が有るのか無いのかよく分からない人っすね、魔王さんって」
「お前こそ何でそんなにやる気出してるんだよ」
「何となく面白そうだからッス、それに忙しくても週休2日なんだから平気っすよ」
俺はこの喫茶店を月曜と火曜日休みの週休2日にしたのだ、おまけに営業時間は昼の12時から20時までの8時間営業なのだ、残業は嫌いだから最初からする気もなかった。この条件に気を良くした勇者がやる気を出している訳だ。運転資金は半年位お客さんが来なくても、平気な位は有るので俺は全然焦って無かったのだ。サキュバス達は労働時間とか休みとかはよく分からないみたいでニコニコしていた。勇者がサキュバス達にここでの仕事はとても楽なのだと真顔で説明していたのには少し笑ってしまった。お前どんだけブラックでこき使われたんだ。
「サキュバスや勇者に幾ら位給料出せばいいのかな?」
「給料とか有るんすか?別にタダでも良いっすよ、また写真売って稼ぐっすから」
「いやいや、働いたら給料出るのは普通だろ、お前たくましすぎるだろ」
「魔王様、着替えて来ました!私達何しましょうか?」
「そうだな、注文の取り方は練習したから。ここではグラスや皿を運ぶ練習でもしてくれ」
「俺とサトウは厨房で飯を作る練習するから」
サキュバス達はお盆にグラスを乗せて運ぶ練習を始めた。グラスを運ぶ時でも色気を忘れないのがサキュバスの凄い所だ。胸が物凄く揺れているがお盆のグラスは微動だにしない、流石はサキュバス。プロであった。そして素人の俺と勇者、勇者はパスタとカレー作り専門、俺がオムライス、ハンバーグ、ステーキ定食を作る。コーヒーはサキュバス担当だ。そして皿洗いは2人で共同作業だ。忙しい時は腕輪ちゃんがヘルプに入る事になっている、腕輪ちゃんは今は物凄い美人さんだから店内でも良いのだが接客が嫌いらしいので俺達と一緒に厨房だ。
「カレー出来たっす!簡単ッス」
「当たり前だ、缶詰のカレーをご飯にかけただけじゃねーか!」
「ははは、次はパスタ行きま~す」
二人でジャンジャン料理を作る、サキュバス達もカウンターで難しそうな顔をしてコーヒーを煎れていた。美人が難しい顔をすると中々魅力的だった。それに前かがみになると胸の谷間が物凄いのだ、客が大喜びする姿が目に浮かぶぜ。沢山練習した料理が勿体ないのでサキュバス達に運んで貰って全員で試食会をする、食い物屋なので食事には困らないのが良い所だな、感想を言って貰って今後の味付けの参考何かもするから一石二鳥なのだ。
「ステーキ定食美味しいです!」
「この水、美味しい!」
ステーキ定食はこの喫茶店の一番高い奴だから霜降りの国産牛の肉を使っている。当然美味い、ナイフが要らない柔らかさだ。水もレモンを一滴たらしているので普通の水とは違う、昔の喫茶店は結構やってる所が多かったんだよな。最近は喫茶店自体が減ってしまったからな、そう言えば個人の食堂とか本屋とかも無くなっちゃったな、個性が無くて詰まらない世の中になったもんだ。それから比べると俺のメイド喫茶はこの世界初の本物のサキュバスが居て、勇者と魔王が厨房で飯を作ると言う驚異的な店なんだな、ラノベの世界でも珍しいのではなかろうか?
「でも高いっすよね」
「そりゃそうだ、メイド喫茶だからな」
「メイド喫茶だったら高くて良いっすか?」
「普通の喫茶より綺麗なお姉さんが多いだろ、その分人件費が掛かるんだ」
「成程、それで高かったんスカ。一つ利口になったッス」
因みにチェーン店のラーメン屋が高いのも値段に上納金を上乗せしてるからだ、自分で全部すればもっと安く出来るが、能力が無いからチェーン店に入るのだ。ちなみにうちの店はコーヒー500円、パスタやカレーが1000円、オムライスが1500円、ステーキ定食が5000円と普通の店の値段の2倍位の値段にしている。安いと客が来すぎて面倒だからだ、俺はこの店を完全に趣味でやるつもりだったのだ。知り合いが結構はやっているハンバーガーの店をやっていたが、普通の値段だったのでバイトの従業員を10人程雇っていたために月に30万程しか儲からないって言ってサラリーマンに戻っていった事もあったな。
「明日から営業だけど何か良いアイデアとか、要望とか無いか?」
「はいはい!有るッス!」
「何だ?」
「写真売りたいッス!サキュバスちゃんとの2ショット写真!一枚500円でどうでしょうか?」
「サキュバスちゃん、どうする?」
「写真って何ですか?」
サキュバス達はデジカメとかプリントとかは知らなかったのでしょうがない。アニメの中でデジカメは出て来たのだが何の事かは分からなかった様だ。そこで実際にサキュバスと勇者の2ショット写真を撮ってプリントアウトして見せたらサキュバス達の反応がヤバかった。
「何これすごーい!私ってこんな感じだったんだ」
「魔王様、もっと撮って下さいませ!私の本気はこんなものでは有りませんわ!」
自分の容姿を非常に気にしているサキュバスは写真1枚1枚に過剰に反応した。どんどん過激な・・・男を挑発するポーズを取り出した、胸やら太ももの奥とかが大変だ・・丸見えなのだ。
「おい!お前達やりすぎだ・・・と言うより脱ぎ過ぎだ!」
「でも魔王様、私、身体には自信が有ります!」
「私もですわ!幾らでも脱ぎます」
「いやいや、たった500円で脱がれると困るから、微笑む位で勘弁してくれ」
「そうッス、サキュバスちゃんのエロ画像が500円とか安すぎッス!50000円位の価値が有るッス」
「黙れ!サトウ。エロ禁止だから、ここは真面目な喫茶店なんだからな!」
サキュバス達は見られたり触られるのが大好きなのを忘れてた。彼女達にエロ禁止を言い渡し微笑んだりポーズを付けるだけ限定した。多分物好きな大きなお友達が一緒に写真を撮りたがるハズだ、儲けはサキュバスの小遣いにする事にした。さていよいよ明日は開店だ、頑張らなくてはな。
「おいサトウ!明日は開店だからな。今晩は干からびるなよ!」
「分かってるッス、商品に手は出さないッス!これでも勇者っすからね」