第57話 サラリーマン生活
おおポイントがいつの間にか200超えてますね、目指せ300ポイント。
さてサキュバス達の日本語もそろそろ良い様だ、日常会話は完璧だ。俺もあっちで受け入れ態勢を整えなくてはな。
「じゃあ行って来る。後の事は頼んだぞ勇者」
「了解っす、でも本当にサラリーマンに戻るんですか?ダルク無いっすか?」
「今月ボーナス出るんだよ、俺はこの年に2回のイベントの為にサラリーマンしてるから絶対貰うまで辞めんぞ」
「気持ちは分かるンすけどね、こっちなら幾らでも稼げるじゃないですか。魔王だし」
「こっちの金は向こうじゃ使えないから駄目じゃん、金貨とか銀貨とか売ったら足がつくからな」
「ネットで色んな国経由して売れば平気ッスよ、ついでに外国に口座開くと良いッス」
「そうかそれじゃマネーロンダリングは勇者に任せるから、何か考えていてくれ」
勇者がどんどん悪人になっているのは気のせいに違いない、俺は関係ないハズだ。しかし手持ちの金貨や銀貨なんかが売れたら大儲け出来るな。ドワーフの大盾とか人間の使ってるフルアーマーとかマニアが買いそうだな、その金で俺が贅沢をするのも面白いかもな。
色々な妄想をしながら元の世界に転移した俺は自宅に帰り、久々に一人で夜寝た。
「う~眠い、いきなり会社休みて~」
久々に元の世界に帰り、朝早起きをする。朝食なんて面倒だから作らない、途中のコンビニでパンを買う、昼飯分も買うので3個と缶コーヒーだ。面倒だが嫌々行くのだ、サキュバス達に店を持たせるためには仕方ないのだと自分に言い聞かせ頑張るが、全然やる気が出ない。
「うえ~、つまんね~」
毎日やって来た仕事は増々詰まらなく感じる様になって来た。まあ元から飽き飽きしていたのだが、魔王の仕事と比べると面白味は全然無かった。そして周りの人間も面白くない、仕方ないので仕事中はネットで時間をつぶして終業時間まで何とか耐える。そして終業時間になったらマッハの速度でタイムカードを押し自宅に帰る。これからが本番なのだ。
「これにするか」
ネットで居抜きの喫茶店の賃貸物件を探す、すぐに連絡して明日契約しに行く予約をとった。サキュバス達にメイド喫茶をさせるのだ。喫茶店は開業が簡単なのだが、普通は直ぐに潰れるのだ。運転資金が少なかったりコーヒーや料理が不味かったり、簡単に開業できるだけに勝算が無いのに開く人間が多いから簡単に潰れる。俺にとっては色々な物件が簡単に手に入るので有難い。
「明日契約するから保証人頼むよ」
「了解、いよいよ始めるのかい?」
「おう!一号店が出来たら来てくれよ」
「当たり前ジャン!教え子だからな(笑い)」
喫茶店の契約は明日するとして、保証人が必要だ。俺も友人も持ち家で正社員歴が長いので保証人としては何の問題も無い。真面目に働いて来たので信用が有るのだ。押し入れから昔取った食品衛生責任者の免状を引っ張り出す、暇つぶしに半日講習を受けて取っていたのだ。まあ取った時は暇つぶしと言うよりもリストラされたら喫茶店でも開こうかな~程度だったのだが、全然リストラされる気配が無かったのだな。
「後はネットで開業関係を調べてっと・・」
「腹減ったぞ、魔王」
「おう、腕輪ちゃんか。これプリントアウトしたら飯に行こうな」
「うむ、頑張ってるのう。なんでそんなに働くのかサッパリ分からんがのう」
魔族の世界の人間達はこっちの人間と比べると労働時間が短い、生活の為に働くのは一緒なのだが向こうでは電気が無いので日が暮れたら仕事は終わり、おまけに厚生年金や失業保険、消費税、ネットや携帯の払いなんかも無いから余り働かなくても生活出来るのだ。そう言えば昭和の時代は介護保険や消費税、携帯やネット何かも無くて、ボーナスも年金なんかが引かれなかったから給料安くても豊かだったな。今は引かれ物が多すぎて生活が苦しいのだ、今の若者は可哀そうだと思うな。
「こっちの世界は搾取が多すぎて大変なんだ、平民は死ぬまで働かされるんだ」
「なんじゃ、こっちの世界の魔王は厳しいのか?」
「魔王は居ないが、詐欺師とペテン師が大量に居る世界なんだ」
「こっちも大変じゃのう、人間って奴は直ぐ駄目になるからな」
開業に必要そうな事項をプリントアウトして腕輪ちゃんと外食だ、今の腕輪ちゃんは魔力が少ないので高校生位に見えるな。やはり古龍の長老が居ないと魔力の補給が難しい様だ、最近俺が魔力変換し過ぎたせいでも有るのだが。
「何でも好きな物食ってくれ、これからは腕輪ちゃんが一番重要なポジションだからな」
「ふむ、そう言われると悪い気はせんな。よかろう任せるが良い」
夜中に開いてるファミレスで3人前程食事を奢り。深夜営業の大型店で腕輪ちゃんが欲しがる服を買い、家に戻って来た。この世界で開業する時にはサキュバス4人と勇者1人を転送するので腕輪ちゃんに頑張って貰わないといけないのだ。合計300キロ近い重さなので膨大な魔力が必要だ、魔族の世界に帰ったら古龍を訪ねて行かないといけない、古龍の長老なら一度に供給出来るだけの魔力を持っている。
「ううう、眠い。起きたくない・・」
「早く起きろ魔王、遅刻するぞ!」
次の日の目覚めも最悪だ、目覚ましの電子音が物凄く不快だ。布団の中から出たくない。
「・・・あと5分寝かせてくれ・・」
「こっちに帰ってきたら駄目人間になった様じゃの」
「・・元々駄目人間なんだよ俺・・」
「あっちでは活躍しておったのに・・不思議じゃの」
「あれは多分偶然だと思う」
いやいや職場に行き渋々仕事をする。その時良い考えが浮かんだので直ぐに実行だ。俺は会社を休まないので有休が余りまくっているのだ、すかさず半日有休をとって速攻で家に帰る。そして不動産屋や保健所にいって手続をする。こういう行動は異常に速いのだ、そして行動が速過ぎて暇になってしまった。
「腕輪ちゃん、また暇になってしまった。どうしよう?」
「お前は極端すぎるのだ!もう少し考えて行動しろ」
「それは良く言われるな、しかし性格だからしょうがない」
「つまり全然直す気が無いって事じゃな!」
「そうとも言う」
会社勤めは全然面白く無かったが、腕輪ちゃんや友達のお陰で何とか月末まで勤めてボーナスを貰う事が出来た。そして俺は心置きなく退職届を提出して会社を後にした。最初はもっと務める気だったが、やはり無理だったのだ、もう普通のサラリーマンは出来ない様だ。まあ魔王だしな、それに喫茶店が失敗したら魔族の国に帰れば良いだけだしな。こうして俺のサラリーマン生活はあっけなく終了した。