第54話 帰還
「ただいま~」
「お帰りなさいませ、魔王様」
「一体どこに行っていたのだ!心配したぞ!」
「あれ?ミーシャじゃん、何で怒ってるんだ?」
「昨日の朝から待っていたのだ、どこ行っていたのだ!オルフェイス達は絶対言わないのだ」
俺が異世界人で有る事を知ってるのは一部の魔族だけなのでオルフェイス達は俺の行先をミーシャに教えていない様だ、流石4天王なだけは有るな、俺は魔族の用心深さに感心した。
「ちょっと秘密の場所に行ってきた。後は機密事項だ」
「そうか、ならしょうがないな」
こっちの世界は良く戦争が起こってるので国家に秘密が有るのは当たり前だった、王族なんかは秘密の塊みたいなものなのだ。サキちゃんや腕輪ちゃんはミーシャにバレない様に荷物を抱えてどっかに逃げて行った、もしかしたら持って帰った物を取られるのが嫌なだけかも知れないが。
「で、何の用だ?」
「大会のパンフレットを受け取りに来たのだ」
「へ~、あの大会の評判はどうだった?」
「未だにみんなの話題になってるぞ、それも有って予約したパンフレットを受け取りに来たのだ」
俺と勇者が居ないとパンフレットが作成出来なくなるのだ。こちらではパソコンを扱える人間が居ないからな、逆にパソコン使えると特殊技能の持ち主になるのだな、なにせ10ページのパンフレットが今は1部1万なのだ。出場選手の中で人気のミーシャやシルフィーネの写真画像なんかもプレミアが付いて凄い値段になってるらしい。勇者と2人で頑張れば一日100万稼ぐのも簡単なのだ。いや違うな、一応魔王だからこんな内職しなくても金は有る。この間の武闘大会なんか2日で5000万程手元に残る位儲かった、でも小市民な俺はこうして内職にも手を出してしまうのだな。大金を見ても実感がわかないという生まれついての庶民だな。
「それじゃ、少し待っていてくれパンフレット作って来る」
「分かった、街の屋台で何か食べて来る」
それから魔王の部屋に行って勇者とパンフレット作りだ。今ではプリンタとパソコンが3セット有るので結構早く出来る様になって来た。そろそろ少し大きな発電機が要りそうだ。サキちゃん達は俺の世界から持ってきたパンツやブラを他のサキュバス達に見せている様だ、あちらは大騒ぎになっている。そしてこっちはサトウと一緒にパンフレットをセコセコと作っている。
「ふ~出来たッス」
「こっちの世界は騒がしいな」
「良い事っす、慣れたらこっちの世界の方が住みやすいッス」
「そうだな、あっちの良い所は機械が進歩してる所だけだな、こっちの人間の方が面白いな」
「次はどうするつもりっすか?あっちの世界を侵略するッスか?手伝うッスよ」
「侵略とかだるいな、あっちでサキュバスの店出して金もうけかな?そして儲けた金で自分の小説をアニメ化して大笑いする予定だ」
「しょぼいッスね。魔王の考えとは思えねーッス」
「しょうがね~だろ!俺は庶民魔王なんだからな」
俺の野望はショボイらしい、自分の小説のアニメ化はやっぱりショボいか・・では世界を征服して俺の小説を全ての国で出版するのはどうだろう?・・・いや・・同じくらいショボいな。俺の小説なんかどうでも良いしな、第一書いた本人が内容を忘れる様な小説だしな。
「魔王様大変です!」
「どうした?サキちゃん」
「胸が大きくなってます!たったの二日で!」
胸が大きくなったと言って俺に胸を見せるのだが、元から大きいので良く分からないな。腕輪ちゃんは転送で魔力を使ったので小さくなってたな。
「サキちゃん、あっちで外食ばっかりしてたから太ったんだと思うぞ」
「え~!!!この50年位全く変化が有りませんでしたのに・・・」
あっちで高カロリーの物ばかり食べてたからサキちゃんも俺も太った様だ、今日から当分は粗食だな。こっちの世界のパンとスープでダイエットだ。
「魔王様、私と一緒に汗をかきましょう。今晩からいかがですか?」
「死なない程度に頼むよサキちゃん」
もうこっちの世界でも、あっちの世界でも嫁みたいなもんだから良いだろう。いい加減禁欲生活には疲れてしまった、ここで死ぬならそういう運命だったと思って諦めよう。相手がサキュバスの族長なら納得だ。
そしてその日の夜はサキちゃんと大量の汗をかいて運動した。人間の女とは比べ物にならない良い体だった、一つ一つの性能が違い過ぎるのだ。人間の女がカップラーメンだとするとサキちゃんは豪華料理のフルコースって感じだった。これなら男が死ぬまで貢のも納得だ。
「おはようございます、魔王様」
「あれ?俺生きてるな」
「当たり前ですわ、私、魔王様を殺したりしませんわ!私の方が昇天するかと思いましたわ」
「いや~気持ちよかったな!サキちゃんは最高だ」
「私一人では手に負えませんわ、今度は他の子も呼びますわ」
体中がだるかったが、今日もする事が有るので無理やり起きる。一晩中頑張ったのでサキちゃんはヨロヨロしながら歩いていた。そして朝飯のテーブルに着くと勇者も目に隈を作ってやつれていた。ああ、お前も頑張ったんだな。
「おはよう、勇者」
「おはようございます、魔王さん」
「頑張ったみたいだな?」
「当然っす、このために戻って来たッス。死んでも良いッス」
サキュバス達がご飯を運んで来てくれた、中にはブラを付けている子も居るのが服の上からでも良く分かった。盛り上がり方が全然違うのだ。
「今日は何すれば良いっすか?パンフレット作りっすか?」
「今日からサキュバス達に日本語を教えようと思う。日常会話が出来る様になれば向こうで通用すると思うんだ」
「俺は日本語とか教えた事無いっすよ」
「それは俺がやるよ、昔教員してたから平気だ。お前にはアニメに字幕を作って貰いたいんだ」
「字幕っすか?アニメを見せて発音とかを学ばせるつもりっすね」
そうだ、俺は彼女達にメイド喫茶をさせるつもりなので喫茶店のアニメを見せて色々学ばせるつもりなのだ。そしてそのアニメの字幕を魔族語にしていれば、見るだけで日本の感じや会話、あっちの世界の感じがつかめると思ったのだ。
「はいはい、サキュバス達集合!」
「どうしたんですか魔王様?」
「今からアニメを見て日本語を勉強してもらいます」
「そして勉強して日本語が上手く成ったら魔王様からご褒美が出ます、具体的にはあっちの世界に連れて行ってもらえます」
サキュバス達は俄然やる気を出した様だ。サキちゃんや腕輪ちゃんから向こうの世界の事を色々聞いてやる気満々なのだ。そして俺と勇者は頑張ってアニメの字幕を作っていた、そしてサキュバス達はアニメ鑑賞だ。サキュバス達は何度も同じアニメを見て日本語を勉強していた。そしてアニメの影響なのか頭に小動物を乗せたり、ツインテールにする子達も現れた。オープニングの歌を歌いながら風呂とかにも入っていた。
「魔王様はどの子が好きですか?」
「俺は青い子だな!」
「俺はシャ〇ちゃんッス」
「馬鹿!名前出すなよ!」
そうあのアニメをサキュバス達に見せて喫茶店の勉強をさせていたのだ。