第51話 魔王の帰還
元の世界に帰る為にサトウと準備していたら、サキュバスのさきちゃんやシルフィーネが連れていけと言って煩かった。直ぐに戻って来ると言っても護衛するとか世話をさせろと言って頑張るのだ。しまいには、オルフェウスまで一緒に行くと言い出したので仕方なしにサキちゃんを連れて行く事になった。護衛と魔力ならシルフィーネだが、彼女は俺の世界では目立つのだ。サキちゃんなら外国のモデルって言えば周りの人達が納得する。
「用意は良いか?」
「いいっすよ、チョット緊張するッス」
「まあなる様になるだろ」
俺とサトウとサキちゃんは手ぶらで元の世界へ転移する。魔族の衣装や道具は目立つので持って行かない、持って行くのは竜の魔石だけだ、俺の世界には魔力が無いので転移で使った魔力を補給する為に持って行く。バックに入れとけば誰にも分からないから大丈夫だ。
「それじゃあオルフェウス。後の事は頼むよ」
「魔王様お気をつけて」
「心配するな、俺の世界は安全だ」
腕輪ちゃんに頼んで元の世界に送ってもらう、魔力が貯まった彼女は物凄い美女になっていた、魔力が貯まる毎に成長していったのだ。今の魔力なら3人程度の転移は何度でも行えるそうだ。古龍の長老から貰った魔力のお陰だな、帰ったら爺さんにお土産を渡しておこう。ちょっと視界が揺らいだと思ったら見慣れた光景が目の前に有った。俺の家の近くの河川敷だ。丁度今は夜の様だいきなり現れた俺達を見た人間は居ない様だ、最も見られても平気だ、見た人間も誰も何とも思わないと思う、非現実的なので自分の見間違いとしか思わないからな。
「ここは何処っすか?」
「俺の家の傍だな、俺が転移させられたところの近くだ」
「ここが魔王様の故郷ですか」
夜の河原に立っていても仕方ないので俺の家に行く事にする。ここから直ぐの所に有る2階建ての一軒家だ、庭も狭いのが付いている。久しぶりの我が家だが、あれからどの位時間が経っているのだろう?向こうには半年位いたと思うがカレンダーやネット等無いので分からない。
「まあ上がれよ」
「お邪魔します」
「ここが魔王様の家ですか・・・随分小さい様な・・」
「俺はこっちじゃ平民だから、こんなもんだ」
「家を持ってるだけマシっすよ。俺なんかローンが組めないッスよ」
取り合えず全員を中に入れて食堂でお茶にする、そして一番気になる日付の確認だ。あれから半年経っていたら結構な騒ぎになってるはずだ、職場や友人が大騒ぎしてるかも知れない。天涯孤独なヒキニートなら失踪しても誰も騒がないかも知れないが普通の人間は職場が有り家族が有り友人が居るから、いきなり失踪すると警察沙汰になるのが普通だ。俺だって友人が居なく成ったら捜索願を出すと思う、何かの事件に巻き込まれている可能性が有るからだ。TVをつけて日にちの確認、ネットに繋いでるパソコンも起動する、サキちゃんは珍しそうに家の中を見回していた。腕輪ちゃんも姿を現してお茶を催促している。
「魔王さん日付が分かったッスよ。」
「あれ?」
「どうしたんスカ?」
「これ俺があっちに行った日だわ、全然時間が経ってないみたいだな」
「当たり前じゃ、存在の連続性ってヤツじゃ。」
何の事か分からないが、ここは本来俺が居るべき所なので転移すると元の時間の所と場所に戻るのだそうだ。転移させてる本人がそう言っているのだから俺としては何もいう事はない。そもそも都合が良いから歓迎だ。
「ありがたい、これなら会社や友人も騒いで無いから、楽にフェードアウト出来そうだ」
「頑張れば元の生活に戻れるって訳ですね」
「こっちで普通に生活して、あっちに週末だけ行くってのも有りだな。
「俺はこっちの世界が嫌いだから今のアパート引き払ってバイトも辞めて来るッス。それで良いっすか?]
「良いぞ、住民票の移動は俺の家にでもしとけよ。俺は取り合えずこっちで普通に仕事して週末に帰って見る事にする。それに疲れたら仕事辞めて魔族の国に転居だな」
サトウの住まいは隣の県だったので駅まで送って行く事にした、金を貸そうとしたら住居を引き払って持ち物を全部売るだけなので大丈夫らしい。あいつは早く魔族の国に帰りたい様で直ぐに駅に行きたがった。
「それじゃ送っていくから」
「すいません魔王さん」
「こっちでその名前を出すなよ、俺が変な人と思われるだろうが」
「そう言えばソウっすね。俺は勇者だって言ったら馬鹿かと思われるッスね(笑い)。勇者なんですけど」
「あっ!おいサトウ。魔法使えるか?」
「魔法なら使えるッスよ。」
そう言ってサトウは手を光らせて見せた。こっちの世界でも勇者の魔法は有効らしい。つまりサトウはこっちの世界では超人だ。
「お前こっちならヒーローだぞ。金持ちになれるぞ!」
「こっちはサキュバスちゃんが居ないから興味無いっす。それに、こんな力が有ったらどっかの国に拉致されるに決まってるッスよ」
「意外と冷静な奴だな。まあ、魔法なんか使ったら研究資料として間違いなくどっかの国の誰も知らない場所に閉じ込められるのは確実だな。少なくとも自由は無くなるな」
意外に頭が良かったサトウと一緒にファミレスで飯を食って駅まで送って行った。サキちゃんは車に乗せると興奮して、音楽を聞かせたり車を走らせただけで感動していた。そして、予想通りファミレスにサキちゃんを連れて行ったら物凄く目立った。店内の男は全員サキちゃんをチラ見するのだ、中にはガン見する連中もいたが、気持ちは分かる。そこらの女とは次元が違う美貌と色気だからな。
「魔王様、食事も素晴らしかったし、駅も立派でしたね。今は何処に向かってるのですか?」
「サキちゃんの服買いに行ってる、自分で選んでくれ」
「まあ!大好きですわ魔王様」
俺はサキちゃんのブラジャーを買いに行ってるのだ。ファミレスに入って目立ちまくったのは想定内だったが、個人的な趣味であっちの世界ではブラを出して無かったのでサキちゃんはノーブラだった。つまり服の上から形の良いオッパイや乳首が目立つのだ。俺以外の男にそんなサービスをする気は無いのでブラを付けさせる事にしたのだ。
「さあ、選んでくれ」
「沢山有りすぎてどれを選べばいいのでしょう?」
「ブラの選び方とか知らん、そもそもサキちゃんの乳のサイズも分からんな」
「これ魔王、儂の分も買うノジャ!絶対じゃぞ!」
サキちゃんのサイズは後で測るとして、俺の予想では96のFかG位ではなかろうか?腕輪ちゃんは魔力の量で胸のサイズが変わるので色々買っとくのがいいのかな?
「サキちゃん、サイズが合わなかったら他のサキュバス達にあげれば良いだけだから気に入った色と形の奴を適当に買っときなよ。あとパンツも買っとくと良いよ」
結局ブラを10個とパンツを10枚、それにサイズが合いそうな普通のスエットを買って帰った。買い物の間も物凄く目立っていた、歩くたびに揺れる胸とお尻。流れる金髪、そして完璧な美貌と色気。他にもいろいろ欲しかったが目立ち過ぎるので急いで家に帰ったのだ。ここまで目立つと優越感よりも逃げ出したくなるな。男も女も兎に角ガン見するのだ、男も女も理想の女性の実物に興味が有るようだ。
「魔王様、付け方が分かりませんわ」
「魔王、どうやって付けるのじゃ?」
「仕方ないな、付けてやるからこっちに来いよ」
ブラに興味は有るが付け方を知らない2人にブラを付けてやる。色々なサイズを試してみて何とかサイズが合うのが有った様だ。美人2人の胸に触り放題なのは素晴らしい体験だったな。俺は美人二人の胸を触りまくるチャンスを逃がすほど馬鹿ではないのだ、どんどん触るのだ。う~む帰ったらサキュバス達全員のサイズを俺がじっくり測ってやらなくてはいけないな。これはサキュバスを大事にする俺の魔王としての義務に違いない。ついでにシルフィーネやトランザムも騙し・・・じゃない説得してサイズを測ってやろうかな。いや、怖いからやめとこうかな。
「魔王様、お風呂が溜まったみたいですよ、何か鳴ってます」
「分かった。俺は風呂入るから」
「私も一緒に入りますわ」
風呂から上がって久しぶりに布団で寝た。熟睡できるはずだったがいつの間にか腕輪ちゃんとサキちゃんが俺の左右に寝ていて暑かった。熟睡出来ない仕返しに2人の身体を触りまくっていたらいつの間にか寝ていた様だ。