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ぶ~外れです! 賞品は魔王です!  作者: ピッピ
第4章 武闘大会編
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第42話 武闘大会前日

 やましい事が有ると人間は誤魔化す為に良く喋って、良く動くようになる。俺も当然そうだった。異世界の事は4天王に国家の重要機密だから内密にするように言って誤魔化した。そして大会に全力を出す様に指示した。大会まで後1週間、コロシアム既には完成していた、今は選手や観客を受け入れる為に魔族総出で食料や会場設備の準備を行ってる。なにせ国の威信が掛かっているのだ、オリンピックと同じで下手な事をすると国全体が馬鹿にされてしまうのだ。おまけにこの世界初のオリンピックもどきなのだから魔族の仲間もやる気に満ち溢れていた。


「ねえオルフェイス。魔族の人達凄いやる気だよね?なんで?」


「この世界初の国対抗のイベントですから盛り上がってますよ魔王様。今まで国の対抗戦って戦争しか有りませんでしたからね。兎に角世界初って言うのが受けている原因ですね」


「へ~魔族って新しもの好きだったんだ」


「私たちは長生きで変化の少ない生活をしてきましたから魔王様のする事は面白くてしょうが有りません。このオルフェイス魔王様の部下で有る事が一番の喜びです」


「そんなに期待されても困るな~、俺は大した事してるわけじゃ無いしな」


「東と西の国をボコボコにして、勇者を返り討ち。更にドワーフや獣人と魔導士達を配下にして見せたのに大した事無いとは、恐れ入りました。魔王様はこの世の全てを手に入れるおつもりですね!素晴らしい!魔王様こそ魔族の誇りです!」


 俺はこいつを説得するのは諦めた、洗脳してないのに勝手にセルフ洗脳状態になってる様だ。この手の奴には理屈は通じないので出来るだけ関わらない様にしようと思った。


「サキちゃん、宿泊施設はどうだ?足りてるか」


「宿泊所は最大で6千人程泊まれます、後は野営する広場を設けましたから足りるはずです」


 宿泊施設は個室が一晩2万シルバー、10人部屋が一人3千シルバーとかなり安くしておいた。こっちの世界の人間達は金を持って無いからな。そしてこの世界の人間の特徴として野営が有った。ここの人間は旅では普通に野営するので俺はコロシアムの近くにキャンプ場を作ったのだ。共同利用の井戸や竈やトイレなんかも有るから安く泊まりたい庶民には良い施設だと思う。ただし管理に金が掛るので一人一日500シルバーの値段だ。そして周りに食堂や風呂場を作ったのでそっちでも儲かるはずだった。


「アル、獣人達は集まったか?」


「宿泊所や食堂で働く人たちは集まりました、今は本番の練習中です」


「会場の警備はどうだ?バルト」


「警邏隊を作りました、5人一組で100チームです。24時間いつでも巡回します」


「こんな大会ではスリや喧嘩が起こるから十分気を付けてくれ、問題の有る奴はバレない様に消せ!」


「了解です」


 こういう催し物の時には窃盗団なんかが紛れ込むのが普通だ、人間の国で捕まった場合は利き腕を切り落とされるらしいがここは魔族の国だ、俺のイベントの邪魔をする奴は消えて貰うのだ。

 次に魔導士達が運営している治療院に向かう、魔導士達は既に治療用の薬等を大量に運び込んできていた、余った分はここで売る様だ。魔女の造る薬は貴重なので結構売れそうだ、魔導士達も趣味と実益を兼ねて来ている様だ。


「随分人数がいるな長さん」


「これは魔王様良くいらっしゃいました。治療師が20人に魔女の薬の売り子たちが20人です、試合の応援団も兼ねてます」


「そうか楽しんで行ってくれ」


 後は試合の順番や内容を決めなくてはならないな、2日かけて行う予定なので初日は前座の試合だ、オープン参加にしてトーナメント戦にすれば時間が稼げるはずだ。そして2日目が本番、強者が戦うメインイベントにするつもりだ。午後に決勝戦を行ってその後は表彰式で締めくくりだな。そう考えると色々足りないものが有るのに気づく。やはり1万人に挨拶するのに拡声器が必要だ、それに会場に入れなかった者が暴動でも起こされると困るので、会場の外にモニターを2~3台置いた方が良いかもしれない、ついでに録画して後から高値で売るのも良いな。 


「魔王様。俺は何しましょう?」


「ビデオカメラ撮影とコロシアムの外に設置するモニターへの転送頼む」


「そんなので良いんですか?楽勝っすね」


「それが出来るのはこの世界ではお前だけだぞ!この世界唯一のカメラマンなのだ」


「うほ~!なんかそう言われると自分に価値が有る様に聞こえるッス。カッコイイっすね!」


「まあ実際この世界じゃ技術者だぜ、パソコン出来ると神だからな!ただしサキュバスは今回は撮影するなよ!試合を真面目に撮影しろ、後から売るんだからな」


「ひゃ~、商売好きっすね」


 さて最終点検だ、自分の城に帰ってサキュバス達と打ち合わせだ。今回来る王族達は魔王城に宿泊させるのだ。理由は簡単、監視するためだ。大会に乗じて余計な騒動を起こされると面倒なのだ、俺は彼らを信用したりはしない。彼らは俺に信用されるような事はまだして無いからな。

 それともう一つは人間の城よりも巨大な城と、城の中にある風呂やトイレなどを見せて圧倒的な技術の差を見せつけてやるのだ。まああれだ、自然界で言うと動物が体の毛を逆立てて実際よりも大きく見せる様な物だな。実戦とは何の関係もないし、実戦するなら本当の能力は隠しておいた方が良いのだが今回は大会の成功の為に人間達にはサービスして魔王の力の一部を見せるのだ。


「サキちゃん。用意は良いかな?」


「サキュバス達は全員帰還しましたわ、お客さんが全員王族ですから気合が入りますわ」


「風呂や料理はどうだい?」


「風呂も料理も完璧です、ただお酒が少ししか有りませんわ。魔王様お願いします」


「分かった、後でウオッカとビールを変換しとくよ」


 よしよし準備は完璧だ、後は本番を待つだけだ。折角ため込んだ魔力を大部使ったが仕方ないな、俺が異世界に安心して帰れる状況を作るためだからな。まってろ俺の世界、この大会を成功させて帰るのだ。


「愚民共覚悟しておけ!魔王の帰還であるぞ!ワハハは~!!!!!」


「魔王様また声に出てますよ」


「しまった!また、やっちまったか!」


 全然進歩しないオッサン魔王だった。


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