第41話 魔力充填
考え無しの作者の迷走は一体どこまで行くのだろう?現代にサキュバス連れてきたらどんな事が起こるだろうか?真面目に考えると色々問題が有りそうな気が・・・・
「お願いします、シルフィーネ様。」
俺はシルフィーネに土下座していた。理由は簡単。ドラゴンの魔石が欲しいのだ、これさえ有れば俺は元の世界に帰れる。だが俺の世界には魔力が無いので向こうでは魔力の補給が出来ないのだ、失敗した時にはこっちに逃げて帰る分の魔力の余裕が欲しいのだ。魔石を沢山持ってればあっちでも魔力の補給をしてこっちに帰ってこれる。いつもの事だが俺は常に逃げ道を用意してからしか動かない、この世界に急に送られてきたときは逃げ道が無いので本気で戦争をしてしまったのだ、まあもう一段本気モードが有って人類絶滅も可能だが必要が無ければする気は無い、仲良くした方が俺が儲かるからだ。
「魔王様、土下座はやめて下さい。魔石は用意しますから。ただし条件が有ります。」
「なんでもいう事を聞きますからお願いします、シルフィーネ様。」
「私も魔王様の世界に連れて行って下さいませ。」
「良いけど、俺の言うとおりに出来るか?シルフィーネは俺の世界じゃ凄く目立つぞ。」
シルフィーネの言葉に反応してサキュバス達も大騒ぎしだした。彼女達も俺の世界に行って見たいらしい。そりゃあ美容の為のグッズや服が大量に有る所だから行きたいだろうな。でもな目立つんだよ、女優やモデルって事にして誤魔化すか。目はサングラスで何とかなるがスタイルの良さはどうするかな?ダブダブの服とか着ると余計変だしな。
「でも闘技大会はどうしますか?」
「やっぱり俺が居ないと駄目だろうな、俺が始めた事だしな。大会が終わってから俺の世界に行ってみようか?」
「そうですね、大会を成功させてから観光に行きましょう。」
「この事は内緒にしてくれよ、他の連中に知れたら全員が大騒ぎしだすからな。そんな魔力ないぞ。」
「そうですわね、私たちが行けなくなると困りますから、ここにいる者だけの秘密にしましょう。」
「まあ、どっちにしろ一度に行けるのは一人か二人だな。俺の家は狭いからな、最大で4人位かな。」
サキュバスやシルフィーネにとって俺の世界に行く事は既に決定事項に成っていた。まあ俺も一人で帰っても面白く無いので綺麗なお姉さんと帰りたかったってのは有った。でも俺の家は小さいからな精々俺の他に3~4人が限度だな。
「と言う事になったぞサトウ。」
「俺はあんまり帰りたく無いッスね。こっちの方が面白いッスよ。」
「そうなの?」
「ここにはサキュバスも居るし、上司が魔王様だから住みやすいッスよ。あっちじゃ又職探しッス。」
「そうだな、ハロワの求人は殆どクズだしな、何時も同じところが募集してるんだ。半年も新人が持たない所を紹介すんなって話だよな。」
「そうなんスよ、ハロワに行っても絶望しかねーッス。やる気がガリガリ削られるッス。」
その後はサトウと元の世界の不満大会になった、ブラック企業で受けた自虐自慢大会だ、そばで聞いていたサキュバス達がドン引きする内容だ、こちらの世界の奴隷でも日が暮れたら休息時間なんだそうだ、あれ?もしかしてこっちの世界の方がホワイトなの?何かおかしくないか、俺達の世界の方が文明も文化も進んでいるんじゃ無かったっけ?
「俺達のいた世界って大して良くなかったんだな。長生きすれば良いってもんでもないしな。」
「あっちにはサキュバスちゃんが居ないッス、彼女達は女神ですからね。」
「あっちでサキュバス達にメイド喫茶でもしてもらおうと思ってるんだけど?」
「行きます、全財産を握りしめて毎日通うッス!」
「いやお前も働けよ、厨房とかなら出来るだろ?」
「サキュバスちゃん達と一緒に働けるなら帰るッス。でも疲れたらこっちに来たいッスね。」
こっちに来たばかりの時は、元の世界に帰りたかったのに今ではすっかりこっちの世界に馴染んでしまった、それに向こうよりもこっちの方が何故か友達も増えてしまった。人間に襲われなければここはとても居心地の良い所だった。時間の流れがとても穏やかでのんびり出来るのだ。
「魔王よ、竜の魔石は大事にしておけよ。あれは再利用できるからの。」
「再利用?バッテリーみたいに魔力を又貯められるのか?」
「そうじゃ、魔石の種類によって蓄えられる魔力の量は違うが何度でも使えるぞ。」
「それは凄いものだな、竜って凄いな。他のは駄目なのか?」
「そこらの雑魚の魔石では魔力を込めたら砕け散るのじゃ、やはり神獣か4天王クラスの魔石しか役に立たないのじゃ。」
良い事を聞いたので、空になった魔石3個をシルフィーネ以外の4天王に預けて魔力を充填してもらう事にした。もう一つは魔導士の街に持って行って魔導士達に充填してもらう、その代わりに一番小さな竜の魔石を譲ることにした。
「魔王様、これに魔力を充填すれば良いのですか?」
「そうだ、毎日魔力を空にして魔力の総量を多くする訓練だ。4天王は強くなくてはならないからな。」
「我々を訓練して下さるとは光栄です、このオルフェイス。1週間と言わず3日位で竜の魔石に充填出来る様に頑張って見ます。オルカやバルト達ににもやらせておきます魔王様」
「うむ、頼んだぞオルフェイス。」
シルフィーネは何の為に竜の魔石に魔力を充填しているのか知っているので除外したが、他の4天王には魔力増強訓練って言う事にして魔石を預けている。俺は適当な理由を付けるのが上手いのだ、金に興味が有ったら立派な詐欺師か政治家になってたかもしれないな。その後で魔導士の街にいって竜の魔石の充填をたのんで、竜の魔石を一つ譲ったら魔導士の長は大層喜んでいた。竜の魔石は物凄く貴重なんだそうだ、そもそも竜の魔石は竜の墓場にあるので、魔石を取ろうとすると竜に攻撃されて命はないらしい、魔導士の長は俺に大金をくれようとしていたが、闘技大会に治療師を派遣してくれるので俺は受け取らなかった。
「魔王様、なんか魔族が騒いでるッスよ、魔王様が異世界に攻め込むらしいって話っす。」
「はい?」
「また大声で独り言いったんじゃ無いっすか?」
「言った様な気がする。」
俺の世界の愚民共を支配してやるって大声で言ったのを誰かが聞いていた様だ、その後直ぐ正気に帰って、そんな面倒な事よりサキュバス達とメイド喫茶でもやってのんびり暮らそうと思いなおしたのだ。
「どうするんスか?」
「・・・誤魔化す。・・・闘技大会を盛り上げて有耶無耶にする。」
ここからは異世界の事を誤魔化す為に大会に全力で向かう事にする。面白い大会にして酒でも出していれば魔族の連中は忘れるだろう、いや、忘れると良いな。しかし、大声で高笑いする癖も直さないといけないな、一応魔王だから俺の考え一つで魔族全員が動いてしまうのだ。独裁って怖いのだ。