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ぶ~外れです! 賞品は魔王です!  作者: ピッピ
第4章 武闘大会編
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第40話 竜の魔石

 各国の国王達を接待し大会の準備も順調に進んでいた。だが俺は何もかも放り投げて逃げ出したくなる気持ちに成っていた。そう破滅願望なのだ、ある程度上手く行くと興味が無くなるのだ。


 「魔王様!何ですかこれ!」

 「え、それ書置きだけど。」

 「遠くに行きます、探さないで下さいって何ですか!」

 「いや~何か疲れちゃってさ~、もうそろそろ俺が居なくても良いんじゃないかな~なんて思ったりして。」

 「後1か月で大会なんですよ!駄目に決まってるでしょう。」


 そろそろ逃げ出そうとしていたら、サキュバス達に叱られてしまった。大会の挨拶とか面倒なのだ。人前で話すのは好きじゃない、そもそも目立つのは嫌いだったのを完全に忘れていたのだ。嫌いな事を忘れるのは不思議なようだが、やろうと思えば上手くやれるので俺にとっては普通の事だった、何故なら人前で話して給料を貰っていた時期も有ったから。


 「仕方ない、また引き籠るか。」

 「程々にして下さいよ。」


 程ほどとか適当とか言われても良く分からないのだ、世の中の普通の人と同じ位、つまり平均値に近ければ良いのか?世の中の人を全部見るのは不可能だし、一人ひとり違うのだから平均なんて意味ないしな。考えるのも面倒なので俺は部屋に帰ってサキュバス達と楽器を弾いたり、料理を作って遊んでいた。働くのは疲れるのだ、かと言って遊んでばかりも疲れるから困ってしまうな。


 「魔王様、大変です!又勇者が・・・・」

 「また、干からびて倒れてるのか?」

 「・・・はい。」


 どうやら又もや勇者はサキュバスと頑張ったらしい。下半身に引きずられるのは若いからしょうがないが、一々俺が面倒見るのも馬鹿馬鹿しいので、リッツに治療してもらった後は精力を吸い取ったサキュバスに面倒を見て貰う事にした。一応あんなのでも勇者だから又復活すると思うのだ。


 「魔王様、シルフィーネ様が来てますわ。」

 「ちょうど良い、コーヒー入れたから一緒に飲もう。」


 何時もは夜に来て魔力を分けてくれるのだが今日は珍しく晩飯の時間に来た、何やら荷物を持ってる様だ。お土産なのか?


 「お土産かな?」

 「以前お話していた竜の魔石ですよ魔王様。5個程持ってきました。」

 「へ~色々な大きさと色が有るんだな。竜の種類によって色も変わるのかい?」

 「そうですね、基本的には大きい程魔力が多いです。後は色が綺麗なほど上位の竜になりますね。」


 そう言ってシルフィーネは机の上に5個の魔石を並べた。大きさはグレープフルーツから小玉のスイカのサイズ位だ、色も全部違っていた、見た感じ茶色や緑色の大きなビー玉みたいな感じだ。


 「これは中々物のじゃな、凄い魔力を感じるぞ。」

 「何だ腕輪ちゃん出て来たのか。一緒に飯でも食うか?」

 「いや、儂はこれから魔力を吸い出す事にしよう。そなた達は晩飯でも食べておくと良い。」


 腕輪ちゃんは魔石を抱えて寝室に行ってしまった、何時もより興奮している様だ。ドラゴンの魔力が気に入ったのかも知れない。


 「シルフィーネ一緒に晩飯食おうぜ、魔石のお礼に好きな物出すよ。」

 「魔王様、それならば激辛カレーを是非お願いします!」

 「あれなら直ぐに出来るから待ってて。」


 罰ゲームで食わせた激辛カレーが気に入ったシルフィーネはチョイチョイ俺にカレーをねだりに来るのだ、俺はシルフィーネ用にあの10倍や20倍のレトルトカレーを貯めこんでいたのだ、それを温めて出すだけだから5分も有れば直ぐに出せた。思えばあれからシルフィーネと仲良くなったのだから人の縁って言うのは分からないものだと思う。


 「こっちが10倍でこれが20倍だ、これを入れると更に辛くなる。」

 「ありがとうございます、これを食べないと落ち着きませんわ。」


 自分は普通のカレーを食べているのだが、見ているだけで辛そうだ。あれだけ辛いのに更にガラムマサラ何かを振りかけてカレーを食べていた。水もガブガブ飲んでいるな、毒耐性Aだから出来る芸当だな、トリカブトの毒や腐った物でも平気らしいからな。見た目は爬虫類チックな金色の瞳さえ除けば、凄い美人が激辛カレーを食っているのはこの世界ならではだと思う。


 「ふ~、美味しかったですわ。ご馳走様でした。」

 「はいこれ、食後のデザート。アイスクリーム。」


 美味しそうにアイスを食べているシルフィーネを見てこの世界の住人はとても素直だと思った。贅沢に慣れ過ぎて文句ばかり言う人間が多い俺の世界とは大違いだなって思う。もしこいつを連れて俺の世界に行けたら、世界中が驚愕するだろうな。オリンピックの全種目を更新するのは間違いないし、こいつに勝てる人間は居ない、断言しよう。そしてサキュバス達が俺の世界に来たならその時から、女はサキュバスとそれ以外に2分されるだろうな、人間の女がサキュバスに勝てるとしたら女の魅力以外の部分しかないのだ。例えば料理とか実務だけだ。


 「ふふ、面白い事を考えている様じゃな。魔王よ。」

 「何だ、腕輪ちゃ・・・・・・・???」

 「どうした?」

 「何で育ってるんだ?」


 小学生位のツルペタだった腕輪ちゃんが成長していた、今では中学生か高校生位のサイズに成っていた、おまけにサキュバスより綺麗だ。女の魅力や色気は全然ないが見た目は素晴らしかった。


 「竜の魔力のお陰で元の姿に少し近づいたのじゃ、これでも全盛期から比べると1割位の魔力しかないがの。」

 「腕輪ちゃんって美人だったんだな。」

 「正直な奴じゃな、もっと褒めるのじゃ。我を崇めよ。」

 「魔力が溜まったなら、色々魔力変換出来るな。」

 「魔力変換どころか、今ならお主を元の世界に送れるぞ。」

 「それは良い事を聞いた。」

 「魔王よ凄く悪い顔をしとるぞ。何か悪だくみする気か?」


 竜の魔石さえ使えば俺は自分の世界に帰れる様だ、しかし俺一人で帰っても面白くない。目の前にいるシルフィーネやサキュバス達を連れて帰れればとても面白い事になるだろう。世界を裏から支配する事も可能だろうな、サキュバス達のハニトラに抵抗できる男は居ないし、4天王のオルフェイスは吸血鬼だ、各国の首脳を眷属にすれば俺が世界の支配者だ。


 「フハハハハハ~!待っておれ俺の世界!魔王様が世界を支配してやろう!」


 何だか急に変なスイッチが入った魔王は、立ち上がって高らかに宣言した。いつもの事だが思い付きで即行動するのだ。駄目なら諦めてこっちに帰れば良いだけだからな。


 

 

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