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ぶ~外れです! 賞品は魔王です!  作者: ピッピ
第4章 武闘大会編
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第39話 首脳会議

 俺が正気に返ったのはパンフレットを配り終えてヘトヘトになって帰って来た日の夜だった。何時もの様にシルフィーネに魔力をわけて貰っている時に気が付いたのだ。

 

 「魔王様、最近お疲れみたいですよ?ちゃんと休んでいますか?」

 「・・・休んでない。毎日大会の準備してるな。」

 「魔王様は働きすぎです、4天王も皆心配してますよ。」

 「いやまあ何でこんな事になったのかな?」


 自分が阿保な事は知っていた、元の世界でも地位も給料も放り出してブラック企業を転々としていたからだ。試験で点を取るのは上手かったから大学や資格試験は楽勝だったが、金にも物にも興味が無いから仕事にも特別な感情は持っていなかったんだ。自分が普通の人間とは違う事は昔から知っていたから驚いたりはしなかったが、世界が変わってまで迷走するとは思わなかった。いつも暴走するには訳が有った、俺は何時もボッチだったから客観的に評価をしてくれる人間が周りに居なかったのだ。


 「なあシルフィーネ、今度の大会は魔族にとって迷惑だったか?」

 「そんな事ありませんわ、皆楽しみにしてますよ。」


 自分だけで盛り上がって色々やって来たが、周りの意見を聞いてないので自分の行動が良かったかどうか全然分からない。自分一人でやるから疲れるのだ、今度から他の人にも手伝って貰わねばならない。そうして俺の周りの者にも色々な作業を覚えて貰うのだ、後輩の育成ってやつだな。


 「シルフィーネも手伝ってくれ、俺一人じゃ無理みたいだ。」

 「良いですよ、何しましょう?」

 「魔石って知ってるか?魔力が詰まってる石なんだが。」

 「知ってますよ、竜の墓場にゴロゴロ転がってますから。」

 「何だって、それ少しもらえるか?」

 「古龍の魔石とかは竜族の宝物ですから駄目ですが、普通の奴なら良いですよ。」


 シルフィーネのお陰で魔力の供給もめどが立ちそうだ。大会用のパンフ作成なんかで偉く魔力が要るのだ、そして他の国の王たちにも協力をしてもらおう。一人でする大会を止めて皆で大会をするのだ。儲けは減るかも知れないが疲れて大会が失敗するよりましだ。俺は1秒で考え方を改めた、問題が有ればその時に変更すれば良いのだ。何時までも粘っていると俺の世界の大企業の様に消滅してしまう。

 それから俺は仕事を止めて料理ばかり造って、サキュバス達やシルフィーネ達とのんびりやっていた。この世界の者は皆気が長かった、俺達人間が一番せっかちだったのだ。多分寿命が短いから焦って色々するのだろう、魔族は長生きだから普段はのんびり遊んでいるのが普通だった。


 「という訳で、皆さんに集まって貰いました。」

 「魔王よ、どういう訳じゃ?」


 遊んでばかりいた訳じゃなくて、大会のルールや内容を皆で話し合おうとして各国の国王を招待して食事会を開いたのだ。俺が暇つぶしで造った料理が色々並んでいて皆ガツガツ食ってる。呼んだのはドワーフ国のミーシャ、魔導士の長、獣人の王、西の国の王、南の国の王の5人だ。酒はビールしか出していない。


 「今度の大会を成功させるために、皆さんの意見が聞きたいと思います。私だけが面白くてもしょうが有りませんからね。」

 「正直儂はあれで良いと思うぞ、獣人国の国民も皆楽しみにしてる。」

 「ドワーフも楽しみにしておるぞ、美味い酒が買えたらもっと良いがな。」

 「魔道の街も期待しております、旨い料理とか有れば最高ですな。」


 普段から俺と仲のいい王や魔族の長は積極的に話してくれるが、人間の国の王達は余り話さない、まあ俺は人間の敵だからな、信用していないのだろう。


 「人間の王様は何か希望は有りませんか?」

 「うむ、会場などは良く出来ておると思うが、試合は実際やってみないと分からないのう。」

 「南の言う通りだな、治療師も用意して凶悪な武器も使わないから殺し合いでもないし、中々楽しめそうな感じじゃな。」

 「それよりも儂はこの酒に興味が有るのじゃが。これは魔族の街で買えるのか?」

 「これは売り物じゃ無いんだ。貴重品だから売ってない。」

 「料理も初めて見るヤツばかりだが、これも貴重品なのかな?」


 人間の国の王達は大会よりも目の前の料理や酒に興味を持っている様だ。命の安い世界なので選手の安全には興味が無いようだ。戦争経験者ばかりだから選手の安全に配慮してるだけでも驚いていた位だ。


 「これと同じ料理はないが、屋台で似たような物なら今でも売ってるし、試合会場でも売る予定だ。」

 「それは楽しみだ、闘技大会を見ながら美味い物を食うのは面白そうだ。」


 やはりこの世界の人間は娯楽に飢えている様だ、なにせ毎日の楽しみと言えば食うか寝るかしか無いのだ、王族ならもっと色々な事が有りそうだが、女もサキュバス達と比べると数段落ちるし、料理も俺の造ったものから比べれれば塩味しかしない肉料理ばかりだ。俺の事は嫌っていても顔に出さないだけの知能も度量も有るので割と有能なのかも知れない。この世界で無能だと直ぐに暗殺されそうだものな。


 その後も色々な物を食べながら、開会式の挨拶の順番や試合の審判を各国で出し合う話とかを夜遅くまで行った。その後魔王城の風呂を開放してシャンプーに石鹸、さらに入浴剤まで使わせたら好評だった。人間族4の王にはサキュバスの背中流しサービスまで行ったから当然の結果だな。


 「あれ?何でこんなに接待してるんだ俺。」

 「大会を上手くやる為じゃないんですか?」

 「上手く行ったらどうなるんだ?」

 「魔王様の評判が良くなりますね。こんな大きな闘技大会は初めてですからね。」

 

 どうも何でも上手くやろうとするのは性格なのかも知れない、日本人的なやつなのかな?適当に力を抜いてやる才能が無いのかも知れない。いつもの様に気が付けば疲れている俺がいた。

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