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ぶ~外れです! 賞品は魔王です!  作者: ピッピ
第3章 魔王暗躍編
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第36話 秘密のパスワード

 デジカメを渡した勇者はサキュバス達を撮りまくっていたのだが、こいつの撮影には問題が有った。そうだこいつは盗撮するのだ。


 「おい、何でコソコソ撮ってるんだ?」

 「サキュバス達は美人過ぎて声掛けられないっす。」


 不細工だから声を掛けたくないって言うのなら分かるが、美人だから声を掛けにくいって言うのは俺には分からない。このままだとこいつはサキュバス達に嫌われるのが目に見えるので撮影は俺がやる事にする、後のプリント作業をしてもらえば良いだろう。


 「サキちゃん、サキュバス達の写真を撮らせてくれないか?」

 「写真って何ですか?」


 俺はサキちゃんに、ここに来る前に撮っておいたケルベロスのケロちゃんの画像を見せた。


 「本物みたいな絵ですわね。」

 「本物そっくりに写る道具なんだ、この後で紙に移せるんだ。」

 「分かりましたわ、綺麗に撮って下さいまし。」


 デジカメでサキュバス達を撮っていると1枚毎に画像を皆で見に来るのだ、まあ珍しいから分かるのだが段々ポーズがエスカレートしていって脱ぎだす奴が出て来るのには参った。全員裸に自信が有るのは知ってるし毎日努力して体型を維持してるのも知ってるが、モザイクが要るような画像は困るのだ。パソコンでモザイク入れる方法を知らないから。


 「お前ら全部脱ぐのは止めろ、せめて上半身だけにしてくれ。修正するのが面倒だ。」

 「一緒にお風呂に入ってるのに今更ですわ。」

 「これは風呂と違ってずっと後まで残るんだ、恥ずかしいだろ?」

 「全然恥ずかしくありませんわ、裸には自信ありますから。」


 ここまで言われてはしょうがない、俺は彼女達の好きにさせてただひたすら撮りまくった。勇者が泣いて喜びそうだ。


 「お~いサトウ、撮って来たぞ。印刷してくれ。」

 「サトウは止めて欲しいッス。勇者の方がモテそうっすから。」


 勇者サトウに印刷を任せて俺は違う事に専念する。大会の計画書をパソコンで作ったのだが、この世界で日本語を読めるのは俺と勇者だけなのだ。計画書を俺が手書きでこの世界の言語に直していかなくてはならないのだ、面倒くさい。でも1部作れば後はコピーして幾らでも同じものが出来るので頑張らなくてはならない。しかし、勇者が「うほ~!」とか「マジで!」とか「すげ~!」とか言いながらサキュバス達の画像を印刷してるのが耳に入ると段々腹が立ってきた。


 「おい!うるせ~ぞ!黙ってやれ!」

 「すいません、魔王様。でもすげ~ッスね、魔王様の彼女達。」

 「サキュバス達は俺の彼女じゃないぞ。手を出した事は無い。」

 「え~!勿体ないッス。」

 「あのな、サキュバスだぞ。精力吸われると簡単にミイラに成って死ぬぞ。」

 「究極の選択っすね。一瞬の快楽か死かって奴っす。」

 「死ぬ位なら我慢した方がましだ、他にも女は居るからな。」

 「アルちゃんなんか可愛いッスね、グラビアの篠〇愛みたいっす。」

 「尻を触ったら殴られたぞ、軽く殴られただけで意識が飛んだな。獣人は強いから覚悟しておけよ。」

 「この世界じゃ恋愛も命がけっすか、辛い世界ッス。」


 この世界の女が強すぎるのか、それとも俺が弱すぎるのか知らないが、この世界は元の世界とは全然違うのだ、勇者も身を持って知るだろう。トランザムなんかにセクハラしたら氷魔法が容赦なく飛んでくる事は確実だ。この世界は命が極めて安いのだ、それに人間はこの世界では下位の生物だから容赦なく殺されるのだ。どう見ても魔族>獣人>ドワーフ>人間と言う強さが存在するのだ。人間の文明が進んで機械化すれば序列も変わるかも知れないが、この世界の人間は生きるだけで精一杯で研究する余裕が無いのだ。


 「そんじゃ、人間に機械でも教えるッスか?」

 「嫌だね、あいつら俺を殺そうとしたからな。」

 「そう言えば俺も追いかけられたッス、野蛮人には取り合いたくないッスね。」

 「そうだ、人間が一番上になっても碌な未来が有るとは思えないからな。」


 俺はこの世界の序列を破壊しようとは思わなかった、かと言って人間を殲滅する気も無かった。ただ住み分ければ良いだけだから、わざわざ垣根を壊したり、石をひっくり返したりすると中から色んな虫が這い出て来て周りが迷惑するのを見て来たからだ。理由が有ってそうなっているのを馬鹿が余計な事をすると迷惑するのだ。だからこの世界では魔族の国境をしっかり守って1ミリたりとも人間に譲る気は無かった。


 「難しい事は分からないッス、俺は何すれば良いっすか?」

 「魔族の国に世話に成ってるから魔族の為に働けば良いんじゃないかな?」

 「具体的には何しましょう?」

 「パソコン使えるのは2人しか居ないからそっちで頑張れば良いんじゃないか?この世界ではパソコン使えるのは特殊技能だぞ。」

 「パソコン使えるだけでモテモテとか楽過ぎるッスね。」


 実際の話、勇者は非常に貴重な存在だった。この世界でパソコンを使える上に魔力持ちなのだ。


 「魔王様、印刷終わったッスよ。」

 「やばいのは印刷して無いだろうな。」

 「勿論っす、秘密のファイルに保存したッス。パスワード教えるッスよ、これは俺の宝物ッス。」

 「バレない様にしろよ、バレたら多分嫌われる。」


 綺麗に写ってるのをサキュバス達に渡したら大喜びだった、客に配るからもっと欲しいそうだ。まあ彼女達の商売が上手く行くなら良い事だと思うな。彼女達が俺の世界に来たら世界中で引っ張りだこになるだろう、人間の女が勝てない色気と美貌を持ってるからな。


 「こんだけ美人なのに手が出せないのは辛いッスね。」

 「だよな、彼女達は性格も良いんだぞ。」

 「魔王様、宜しいでしょうか?」

 「どうした?オルフェイス。」

 「招待状を出した人間族から返事が来ました。」


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