第32話 魔王営業に精を出す
格闘コロシアムの建設に魔導士、獣人、ドワーフ達を起用した俺は各国の連中から大変喜ばれた。金払いがとても良いからだ。だが多めに給金を払っても俺には勝算が有ったのだ。払った金を俺の国で使わせれば結局俺の懐に金が戻って来るのだ。まず建築関係者用の有料宿泊施設を造ったそして労働者用の食堂も造る更に目玉の大衆浴場。これらは建設終了後には観光客用の施設に代えるので結構立派つくったのだ。従業員は浮浪児の中から見栄えの良い子をさら・・・いや違う、スカウトしてきて働いてもらってる。まかない付きで給料がまあまあなので喜ばれていた。
「ふ~む、この分だと後3か月位は掛かりそうだな。」
「かなり早いと思われますが?魔王様はご不満ですか。」
「いや不満は無いんだが、資金が持つかどうか分からんな。人間達から分捕った金も残りわずかだ。」
「足りなくなりそうですか?」
「多分ギリギリだな。3か月以上かかると不味い。」
「では私たちの出番ですわね。」
サキュバス達が俄然やる気を出している、サキュバスは金もうけが上手いのだ。特に夜の仕事をさせれば彼女達に勝てる者はいない。男を骨抜きにして貢がせるのは彼女らの天性の才能だった。
「魔王様、私達に店を持たせて下さいまし。食堂に負けないくらい稼ぎますわ。」
「良いけど、あまり男から毟るなよ。トラブルはごめんだぞ。」
「ふっふっふ、そこらあたりは十分承知しております。」
そして俺は1等地にサキュバス達の店を建てた、酒は魔力で召喚したウオッカやバーボンなど度数の高い物ばかり、そしてトランザムに用意してもらった氷、そして目玉の魔王特性タレによる肉料理。物凄い美人達と美味い酒と料理でサキュバスの店は大いに流行った。気合を入れて化粧をして着飾ったサキュバス達は美しかった、そして物凄く色っぽかった。料金は労働者3日分程なので高級店なのだが毎日盛況だった。俺も隠れて行ったが、何時も見ているサキュバス達が酒のせいか雰囲気のせいなのか、偉く綺麗に見えてドキドキしてしまった、これなら普通の男はイチコロだろうと思う。
「凄いなサキちゃん、労働者の給料全部巻き上げる勢いだな。」
「ふふ、死なない程度に貢がせますわ。」
「男たちが可哀そうだから手加減してやってくれ。」
「私たちの男は魔王様だけですわ、後は餌です。」
「あ・・ありがとう、身体を壊さない様にね。」
サキュバス達は何故か俺に忠誠を誓っていた、たまに触ったり風呂場でガン見する俺のどこが良いのか全然わからない。多分体の関係にならない男が珍しいのかも知れない。
「魔王殿、ひさしぶりじゃ。」
「おう、ミーシャどうした?観光か。」
「うむ、魔王の街が綺麗になったから見に来たのだ。」
「そうか、ドンドン見てくれ。食堂に行けば新作料理も有るぞ。」
「ほ~それは楽しみだ。」
ドワーフ族の女王ミーシャが遊びに来たので俺は魔王城に泊めて歓迎してやった。新作料理はオデンだ、普通のオデンと違うのは俺のオデンには海老や貝が入ってるから更にだし汁が美味しいのだ。
「さあ食えミーシャ。」
「もう頂いておるぞ、旨いな~。ビールって奴も中々の美味しい。」
「今度コロシアムが出来たら、格闘技大会するから見に来いよ。」
「それならドワーフも参加させてもらうぞ。我らが出ても良いのじゃろ?」
「おう、大歓迎だ。優勝者には賞金を出すぞ。2位と3位にも何か出す予定だ。」
「ふむ、面白そうじゃ、ドワーフ最強の奴を出すとしよう。」
ドワーフ達と仲良く成っていたので、ドワーフ族からも選手が確保できるようだ。つまりドワーフも観客として迎えられそうだ。ドワーフ達は結構金を持っているので良いお客さんになるだろう。ここはミーシャを接待せねばなるまい。
「風呂も有るから入れよ。温泉じゃないけど快適だぞ。」
「うむ、頂こう。」
「トランザム達も一緒に入って背中でも流してやれ。」
「うむ、分かった。」
ドーワフ族も参加してくれるし、後は獣人の国にも連絡して参加者を出してもらえば盛り上がりそうだ、盛り上がれば盛り上がる程俺が儲かるのだ。ここは営業員となって明日から獣人の国へ売り込みにいかなくてはならないな。
「フハハハハハ~、頑張るぞ~!」
「どうしました、魔王様いきなり。」
「いや、明日から営業するから気合いれただけなんだが。」
「魔王様が営業ですか?」
「大丈夫、昔やってたから。」
貧乏性の俺は次の日には獣人の国に行って王に会っていた。そこで魔族の国で大会の事を大いに宣伝しまくった。元々獣人は格闘系が好きな者が多いのと王が脳筋のお陰でどんどん話が進んで行った。
「面白そうだな、魔王。」
「そうだろ?獣人国からも選手を出してみないか?」
「儂が出る!獣人最強は儂だからな!」
「はあ、それはチョット不味いいんじゃないかな。」
「何でだ?儂は強いぞ。」
「負けたらどうするんだ?」
「儂は強い!」
「ドラゴンとか出ても勝てるのか?」
「・・・・・無理・・。」
獣人国からは力自慢の選手団が出場する事になった、獣人の王は応援団団長として見に来ることとなった。俺は試合が面白くなる様に出場選手を決める様に4天王に指示をだした。魔族は本物の化け物や怪獣みたいなドラゴンが居るので、そんなのが出場したら強すぎて試合にならないのだ。そこで俺は大会を体重別にして試合をする事にした。
「オルフェイス、人間の国にも招待状を出せ。」
「はあ、魔王様。人間が我らの大会に出場するとは思えませんが?」
「人間が馬鹿なら出ないだろうな、その時は俺達だけでやる。だが馬鹿で無かったら俺達の戦闘力を見る良い機会だから出場してくるはずだ。」
「成程、人間の知力を計るおつもりですか。流石です魔王様。」
「ふふ、出場すれば人間の戦闘力も分かるしな。フハハハハハ~。」
コロシアムが出来そうになってきて、俺は不安に成って来ていたのだ。勢いで1万人収容のコロシアムを造らせたのだが大きすぎた様だ。客が入らないとみっともないので人間にも声を掛けて観客を増やしたくて人間に招待状を出したってのが本音だった。
「人間から金をむしり取ろうとするその貪欲さ、このオルフェイス感動いたしました!」
「・・ふ、金は金だからな。」
次の日にはオルフェイスが周りに言いふらしたので俺は貪欲魔王って事になった。魔族では誉め言葉らしいが絶対嘘だと思う。だって魔族が俺と目を合わせないんだ、特に女子供は逃げるし男も下を向いて速足で何処かに行くんだ。