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ぶ~外れです! 賞品は魔王です!  作者: ピッピ
第3章 魔王暗躍編
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第30話 魔王やる気になる

 何だかこの世界に馴染んで来た俺は、逃げ出す事ばかり考えてここまで来たのだが、魔族とは何故か上手く行っている様な気がしていた。でも元の世界にも帰りたい、書きかけの小説が有るのだ、人気のない底辺作家だが何人か応援してくれている人の為にせめて完結だけはしておきたかった。勿論完結までの話なんかは全然考えていない、何時も適当に初めて適当に終わるのだ。


 「どうしたんです魔王様、悲しそうな顔してますわ。」

 「元の世界に帰りたいんだ。書きかけの小説があるんだよ。」

 「まあ魔王様は元の世界で物書きでしたの。」

 「違う、普通のサラーリーマン。小説は趣味で書いてるだけ。」

 「そんなに元の世界が面白かったんですね。」


 いや全然面白くなかった、今の方が綺麗なねーちゃんに囲まれて幸せの様な気がする。毎日色々やってるが仕事してるわけでもないし、相手に合わせる必要もない。あえて言えばネットが見れないのが不満なだけだ。ここでネットが出来れば俺は魔王の部屋から出ないだろう、引きこもりになる自信が有る。


 「いや元の世界は面白くなかったな、だが貯金や家とかあるから勿体ないだけだな。」

 「ここで私たちと楽しく暮らしましょう、魔王様。」


 良く考えたら魔王城って俺の家だしサキュバス達って俺のメイドさんだよな、金も結構持ってるし隠れ家兼別荘も2件持ってる。ペットにケロべロスだっているのだ。もしかしてこっちの暮らしの方が良いのかも知れない。ネットをしてないお陰で目も良くなってきた気がするしな。それに最大の利点は早起きして通勤しなくて良い事だな、基本的に毎日日曜日だからな。色々考えたらここの暮らしは以前より良い様な気がしてきた、そう俺は切り替えが速いのだ。1秒で考えが変わる人間だったのだ。


 「そうだな俺はこの世界で頑張るよ。」

 「私たちがお手伝いしますね。」

 「宜しく頼むよ。」


 よしこの世界で気楽に暮らすのだ、邪魔する奴は皆殺しなのだ。俺は魔王だからな、でも皆に嫌われない様に生活の向上をしていこうと思った。


 「‥と言う訳で皆さんに集まって貰いました。」

 「え~と、どういう事でしょう?」

 「魔族の暮らしを良くして、魔王の評判を良くしたいと思います。」

 「それがわれわれ4天王と何の関係があるのですか?」

 「私は魔族の暮らしを良く知りませんから、皆さんに聞きに来ました。」

 「魔族は今のところ平和で幸せそうですが・・どういたしましょう?」

 「それじゃあこれは宿題にします。3日後に又聞きますから皆さん必ず一つは意見を出して下さい。」


 やはりいきなり聞いても駄目だったので4天王には宿題を出した。良い意見が無かった奴は罰ゲームだ、辛子をぶっかけたオデンとか、ワサビ山盛りの寿司とかを食わせてやる。まてよ激辛カレーも良いかもしれん。その日の夜から俺は激辛カレーを作り始めた。あの10倍カレーより辛い毒みたいな食べ物だ。


 「魔王、良い匂いだな。少し食わせてくれ。」

 「駄目だ、これ食ったら死ぬぞトランザム。」

 「なんだ魔王、良い匂いの毒造ってるのか?」

 「いや、本当は死んだりしない。死ぬ程辛いだけだ、慣れたら美味しいらしいぞ。」

 「まあ、私辛いのは平気でしてよ。」


 サキュバスとトランザムがどうしても激辛カレーが食べたいというので少しだけ分けてやった。しかし、激辛は伊達ではなかった。


 「jぐ~!!!!!」

 「ぐへ~!!!!!」

 「な!辛いだろ?」


 俺が4天王の罰ゲーム用に毒を作っているという評判が広がったのは、その日の夜からだった。それを聞いた4天王はその日の夜から血相を変えて部下や民衆から不満を聞いて回っていた様だ。勿論俺も街に出て色んな奴から意見を聞いた。


 「どうだバルト、何か見つかったか?」

 「いや全然見つからん、どうするオルフェイス。このままでは俺達殺されてしまうぞ。」

 「我輩は見つけましたぞ。民衆は美味い酒が欲しいそうです。」

 「何だとそんな下らないもんで良いのか?」

 「大体庶民なんて美味い食い物か酒にしか興味無いから仕方ない。」


 4天王は4人で集まって内緒話をしていた、彼らも必死だったのだ。部下に聞いても不満は出ないし、街に行っても平和その物。今度の魔王は無茶は言わないし税金も安くなったから彼らは喜んでいたのだ。それに文句なんか言ったら後が恐そうだから言わないと言う者もいた。


 「参ったな、飯と酒しか言わんな庶民共は。」

 「では儂は酒にする。」

 「では私は飯で。」

 「仕方ないそれでは私は、イベントにしよう。」

 「オルフェイス、私の分は無いのか?」

 「シルフィーネはドラゴン族だから毒耐性Aだろ?大丈夫だ、問題ない。」

 「そんな!私だけ何もないとかズルいぞ!」

 「大丈夫、魔王様は女に甘いから、お前なら酷い目には合わないさ。」

 

 俺も独自に街で調査をしていた、魔王と知れると皆逃げ出すのでラフな格好だ。まあアディダスの上下のジャージですがね、お付きのサキュバスもお揃いだ。凄いスタイルの美人はジャージを着ててもカッコ良かった、やはり足の長さか?それともノーブラの胸か?


 「ふむふむ、成程。」

 「魔王様、何か気が付きましたか?」

 「うむ、ここは臭い。そして汚い。これでは文化的とは言えん、改善するべきだ。」

 「はあ、そう言われればそうですね。」


 ずっとここに住んでる者には分からないのだろう、俺が鳥のから揚げを知らずに鳥の天ぷらを食べていた様な物だ。そこに有る物が普通と勘違いするのだ。因みに俺の地元のラーメンは豚骨スープで紅ショウガと焼きのりが乗っているのが普通と思っていた。


 「むふ~!!やるぞ俺は愛される魔王を目指すのだ!」

 「素敵です魔王様。」

 「俺を愛さない奴は皆殺しなのだ。」

 「・・・・・・・」


 サキュバスは俺の冗談を聞いて引いていた、ただの冗談なんだけどな。ブラックジョークはサキュバスには難しかったようだ。


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