表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぶ~外れです! 賞品は魔王です!  作者: ピッピ
第1章 新魔王
3/128

3話 俺魔王になる

魔王の部屋に案内された俺は部屋に鍵を掛けて取りあえず引きこもった。何とかして腕輪を外さなくて殺されてしまう。こんな怖い所は嫌だ、俺は元の世界に帰るのだ。必死に腕輪を回したり、濡らしたり、柱にぶつけてみたが駄目だった。ビクともしない。それでも諦めずに腕輪を弄りまわしていると何か聞こえて来た。


 「こら!やめんか!儂の身体をいじるでない!」


 「はあ?」


 「腕輪を触るなと申している!」


 目の前に金髪の女の子が、腰に手をあてて立っていた。白いワンピースを来た小学生か小柄な中学生位の女の子だ。


 「お嬢ちゃん、何処から来たの?親御さんは?」


 「お嬢さんではない!大魔王様と呼べ!」


 「はいはい、で大魔王ちゃんは何処から入って来たの?親御さん何処?」


 密室に女の子と二人は非常に不味い!通報されてしまう。俺は非常に焦っていた、交通違反で裁判されたり刑事の取り調べ室に行った事は有るが、こんな事で引っ張られるのは嫌だ。


 「ふん、まだ混乱しているのか?人間。」


 「人間?」


 「その腕輪は何をしても外れたりせんよ、儂が次の依代を見つけない限りな!」


 「依代・・・俺が・・依代?」


 「何で俺がそんなモンに成ってんだ?」


 「うむ、前の魔王は面白くないのだ。おまけに風呂に入らないから臭いのだ。お主は清潔そうじゃったか  ら次の依代になって貰ったのじゃ。」


 「やっぱり、あの悪魔のせいなのか?」


 「そうじゃ、事情を教えてやろう。実はな・・・・・・」


 前の魔王が適当に政治をやっていたせいで魔族は衰退し、人族が繁栄しすぎたらしい。そして結構無茶な事ばかりやらかして人間の怒りを買い戦争状態になってしまって、怖くなった魔王は俺の世界に逃げ出して魔王を辞めたのだそうだ。その時ちょうど俺がいたので新魔王にしたという事だ。


 「あやつは本当にクズ魔王であった。」


 「じゃあ俺はどうすれば良いんだ?」


 「なに、儂に任せておけば大丈夫だ。」


 「信用できん。」


 「何じゃと!儂が信用出来んと申すか。」


 「前の魔王で失敗してるだろ。」


 「あれは、たまたま失敗しただけだ。」


 俺はこの腕輪ちゃんを信用してなかった、そもそも何で腕輪が魔王を決めるんだ。そこで腕輪ちゃんに聞いてみる事にした。


 「なあ、何でお前が魔王を決めるんだ?」


 「ふふふ、知りたいか?・・どうしてもと言うなら教えてやろう。」


 「・・・いい・・知りたくない。」


 メンドクサイ相手なので無視する事にした。俺はメンドクサイ女は嫌いなのだ。ちょうどその時部屋のドアをノックする音が聞こえて来たのでドアを開けに行った、何だかもうどうでも良く成って来たのだ、世の中なんて、なる様にしかならないのだ。


 「魔王様、戦略会議の時間でございます。」


 「戦略会議?なんの戦略?」


 「魔王様明日から開戦ですぞ。」


 「・・・マジ?」


 俺が魔王と言う事はきっと戦争に負けたら俺は殺されるだろう。勝つのは無理でもなんとか逃げる時間ぐらいは稼がなくては行けなくなった。こうなったらもうヤケクソだ、気持ちを切り替えて魔王になったつもりで行くしかない。あのクソ悪魔に仕返しするまで絶対死んだりするものか。


 「状況を報告しろ!」


 「はい、魔王様。」


 この魔族の国は5つの国に囲まれてるそうだ、そして2つの国、ドワーフ族の国と魔導士達の国とは比較的仲が良いそうだ。そして他の3つの人間たちの国とは仲が悪く今回の戦争の相手は特に仲の悪い自由都市国家と戦争になったらしい。


 「相手の戦力はどの位だ?」


 「約3万です。魔王様。」


 「こちらはどの位だ?」


 「3500です。」


 「・・・・・・」


 そりゃあ前魔王が逃げる訳だ。10対1じゃ勝てないもんな。互角の戦闘ならキルレシオが100対1になる戦力比だわ。でもさっきの部屋にいた連中は人間より強そうに見えたな。


 「その3万と魔族3500が平原で正面から戦ったらどっちが勝つ?」


 「我々が勝つでしょう。ただし結構な犠牲が出るでしょうな。そう・・約半数は死ぬでしょう。」


 つまり魔族は一人で人間10人分ぐらいの戦闘力が有るって事だな。それなら幾らでもやりようは有る。どうせ死ぬなら派手に死んでやる事にした。


 「よし、防衛部隊を組むぞ、防衛部隊を3つと遊撃部隊を1つだ。」


 「魔王様。正々堂々と正面から戦っても我ら魔族は負けませんぞ!」


 「黙れ!正面から戦うのは馬鹿だ。味方に犠牲を出さずに相手だけに犠牲を出す様にするのが正しい戦争の仕方だ!」


 「ほう、流石は魔王様。何か作戦がおありですか?」


 俺は正面から戦いたがる馬鹿共を無視して汚い戦争をする事にした。攻めて来る人間達には気の毒だが俺も死にたくないのだからしょうがない。各将軍たちに1000名ずつ兵隊を任せ、城壁を8時間ずつ守らせる事にしたのだ。そして竜を扱う将軍を俺直属の遊撃部隊にした。


 「たった8時間で交代して休息とは軟弱な!我らなら3日位続けて戦えますぞ!」


 「それじゃあお前は1週間飲まず食わずで戦えるのか?3日後も初日と同じ位戦えるのか?」


 「それは・・・無理ですが・・・」


 「後退して休息する事で戦力の低下が防げるのだ。それに経験を積むことで戦力が上昇するのだぞ。」


 「成程、流石は魔王様。ご慧眼でございます。」


 「こんなの戦いの常識だぞ。慧眼でも何でもない。」


 この世界では今までは戦線布告したら平原で名乗りあって正々堂々とぶつかるのが普通だったらしい。なんと馬鹿らしい、スポーツか何かと間違えてるようだ。俺はそれからも色々と戦い方を教えて行った、汚い戦い方をこの世界に持ち込んだのだ。魔族たちは新魔王の汚さに驚いていた。魔族に汚いとか卑怯とか言われたが全然気にしない。だって俺は魔王だから。


 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ