第28話 勇者達
3か国の通貨の基準を決めたり、ドワーフ国や魔導士の街に屋台を出したり。獣人国に冷蔵庫と屋台を見せたりして俺は忙しく暮らしていた。忙しさの余り勇者なんか忘れていたいたのだが、新しい情報が入って来てので、放置できなく成って来ていた。なんでも召喚した勇者がやる気満々で魔王討伐の為に準備しているそうなのだ。
「参ったな、やる気のない勇者だったら俺と上手くやれるんだがな。」
「働き者の馬鹿が一番厄介だぞ、馬鹿な事を沢山するのだ。」
「そうなんだよな~、怠けてくれれば良いのに。」
折角温泉でゆったりしてたのに渋々魔王城に帰る事にする。最近はケロべロスにも慣れて来たので背中に鞍を付けて乗ったりもしていた。だが馬と同じく尻が痛くなるので気分が良い日にしかしない。
「サラ、どういう情報だった?」
「勇者が4人でチームを作ってランク上げをしてるという報告でした。」
「あれか・モンスターを倒して経験値を貯めてランクアップって奴か。」
「そうです、南の国のダンジョンでレベル上げを行っている模様です。」
面倒な事に成りそうだった、今は弱いかも知れないが本当に強く成られると迷惑なので対応する事にした。
「セイロン男爵に連絡を取ってくれ。指示を出す。」
「了解です魔王様。」
「魔王様、お呼びですか?」
「ああ、勇者が余計な事を始めたそうだな。」
「はい、ダンジョンでレベルアップを始めた様です。4人でチームを組んで毎日潜っております。」
「そいつらを浚ってこい。睡眠薬でもしびれ薬でも何でも使え。レベルの低い今なら簡単に出来るだろう。」
「了解しました、殺さなくてよろしいのですか?今なら簡単に出来ますが。」
「殺すのは何時でも出来る、今はここに連れて来るだけで良い。迎えにケルベロス犬車を送る。」
「では、明日か明後日に決行いたします。」
やりたくは無かったが、浚ってくる事にする。弱い今なら何でもやり放題だ、有無を言わさず殺すことも考えたが俺は良い人間なので止めておく事にした。多分今ならヒノキのこん棒と布の服から鉄の剣と革の鎧に代わった程度だろう。今なら勝てる、ごめんな勇者達俺は負けるの嫌いなんだ。
そして3日後睡眠薬で眠らされた勇者たちが魔王城に連れられてきた。4天王も興味津々で4人の勇者を見ていた。
「なんだお前ら!縄を解け!」
「あんた達何よ!こんな事をしてタダで済むと思ってるの!」
流石に勇者たちは威勢が良かった、知らない世界で魔族に攫われてこれだけ元気なのは凄いと思った、俺だったら怖くて黙ってる所だ。
「お前が勇者か?」
「そうだ!お前は誰だ!勇者にこんな事をして良いと思ってるのか!」
「俺は魔王だ。魔王だから勇者に嫌がらせするのは当然だろ?」
「卑怯だぞ!お前たちは大人しく待ってれば良いんだ!」
「お前たちが強くなるのを待ってれば良いのか?」
「そうだ、そして俺達にやられれば良いんだよ!」
「オルフェイス、その餓鬼をひもで縛って木からぶら下げておけ。」
「はい、魔王様。」
4人とも何故か平気な顔をしていた、何かがおかしい。魔族に囲まれて怖がっていないのだ。こいつら馬鹿なのか?確かに見た目は馬鹿そうだが、いくら馬鹿でも恐怖心位は有るはずだ。俺はサキュバスのサキちゃんにコッソリ彼らが洗脳されてないかどうか聞いてみた。「サキちゃん、あいつら変だぞ。洗脳されてないか?」、「そのような兆候は見れません魔王様。」。
「さて残りの3人に聞こう。何故俺を狙うのだ?」
「お前は大勢の人間を殺しただろ、だから俺達が復讐してやるんだ!覚悟しておけ!」
「あれは人間達がここに攻めて来たんだぞ、反撃しただけだ。それでもこっちが悪いのか?」
「当たり前だ、魔族が悪いに決まってるんだ!」
「オルフェイス、その馬鹿も木からぶら下げておけ。」
さて男2人は木からぶら下げた、大声をだして喚いているが2~3日飲まず食わずにしとけば大人しくなるだろう。さて残りは魔導士風の女と僧侶風の女が2人だ。2人とも不細工な女だった。
「さて、お前達2人も魔王を倒したいのか?」
「当たり前じゃない、あんたを倒して王子様と結婚するのよ!」
「そうよ、あんたなんかに負けないんだから!」
「ふ~ん、俺を倒したらお前らが幸せになれるって事なんだな?」
「そうよ!だから私たちが強く成ったら殺してやるわ!」
「それじゃ、あの馬鹿達2人も、俺を殺せば王女と結婚とか貴族にしてやるとか言われたのか?」
「そうよ!当たり前じゃない。」
「オルフェイス、このブス達も木からつるしておけ。」
俺はため息をついた、この馬鹿4人は魔王を殺して幸せになる未来を確定したものと考えている様だ。自分たちは不死身で死なないとか、死んでも生き返るとか考えているのだろう。確かにゲームなら何度でも生き返れるかも知れないが、ここでは生き返る保証など無いのだ。それに殺さずに無力化する方法など幾らでも有るのだ。有りもしない未来にすがって現実を見ない阿呆共が少し可哀そうになってきた。生き返られると厄介なので、俺は奴らをアンデッドにして召喚した王族にプレゼントする事にした。
「オルフェイス!やつら4人をアンデッドにして王都に捨てて来い!」
「はい魔王様、すばらしい仕返しでございます。このオルフェイス、感動で打ち震えております。」
またオルフェイス達4天王が俺を憧れの対象みたいな感じで見ている。他の魔族は俺と目を合わせようとしない。なんでだ?仕返ししただけだぞ。あいつらだって俺の仲間になるなら大事にするつもりだったんだぞ。馬鹿過ぎだから仲間にしなかっただけだ。俺は悪くない。