第22話 魔王ちゃくちゃくと準備する
サキュバス達と温泉で1週間遊びまくった俺は渋々魔王城に帰って来た。20人の美人と毎日温泉に入ったりドングリ料理を作ったり、運動したりしてとても面白かった。もう胸を見たら20人全員の区別がつく程になっていたのだ。魔王城には魔族が沢山居るから俺は怖くて嫌いなのだ。
「今帰ったぞ、オルフェイス。これは土産だ、4天王で分けてくれ。」
「これはドワーフ領で採れる希少金属と宝石ではありませんか。こんな貴重な物を頂いて宜しいのすか?」
「大した事はない。気にするな。」
「流石は魔王様、ドワーフも手なずけましたか。僅か1週間でドワーフを手なずけるとは・・魔王様の実力は計り切れませんな。」
ドワーフが俺にくれた物は宝石とか貴金属だった、男の俺はこんなものに興味無いのでサキュバス達やアルにやったのだ。残りは全部4天王にやろうと思ってたのだが、サキちゃんが大変価値が有る物だから俺も持ってた方が良いというから良さそうな物をポケットに一掴み貰っておいたのだ。
宝石をやったサキュバス達は偉く喜んで俺に色々なサービスをしてくれた、嬉しかったが手を出せないので物凄く辛かった。何時でも相手をしてくれる美女が20人居るのは良い様でとても悪いのだ。アルがやらせてくれれば嬉しいが、あいつはどうも俺の護衛のつもりでいるようなのだ、まあサキュバス達も俺を守ってるみたいなのだが。
「何も変わりはなかったかね?」
「獣人国の魔導士と魔女が挨拶に来ました。今は街に泊まっております魔王様。」
「そうか、じゃあ会おう。何か用が有るんだろう。」
魔導士と魔女は俺は苦手だった、というよりもブッチャケ嫌いだった。人間に迫害を受けたから人間を嫌う気持ちは分かるが、何時までも恨んでいてもしょうがない。振られた女を憎むようなもんだ。もっといい女を作れば良いだけなんだ。あいつらも人間よりも住みやすい国でも何でも作って楽しく暮らせば良いと思うのだ俺は。そしてその国に人間が攻めてきたらぶち殺せば良いだけだと思う。
「魔王様、面会ありがとうございます。」
「気にするな、何か用が有るのだろう?」
「実は私共獣人の国から出ようと思います。そこで獣人と魔族の国境にある魔王様の森に住まわせていただけませんでしょうか?」
「森を荒らさないなら住んで良いぞ、獣人と何か有ったのか?」
「獣人と我らは良好な関係なのですが、やはり我々だけの場所が欲しいのです。人数が少ないので国を興すのは無理ですが、町なら出来る人数が居りますので。」
「そうか、そう言う事なら構わん。好きにしろ。」
俺は彼らに好きに街を作らせる事にした。上手く行けばその町にも俺の隠れ家が出来るかも知れない、それに又人間と戦争をする事に成ったら、人間大嫌い魔導士が魔族を助けに来るかも知れないのだ。どう考えても俺に損は無かった、魔導士がタダで国境の砦を造ってくれる様なものだったからな。
「何だオルフェイス、今度は文句を言わないのか?」
「ふふこのオルフェイス、魔王様に学びました。今度は魔導士達を手なずけるおつもりですな?」
「まあそうだ、タダで味方と砦が出来る様な物だな。」
「くくく、それだけでは有りますまい魔王様、人間との戦の時には彼らを使うおつもりでは?」
「そうかも知れんな。」
「向こうから魔王様の元に来させる人徳、喜んで死地に送る非情さ。このオルフェイス、感動で前が見えませぬ。」
「そうか、まあ頑張ってくれ。」
俺は魔導士や魔女なんかどうでも良かった、なんか気持ち悪い連中だし俺はあいつらの事を知らないし。俺は取りあえず自分さえ良ければ他はどうでも良い人間なのだ。最近は少しサキュバス達の事も考える様になって来たが、多分付き合いが長く成って来たから愛着がわいて来たのだと思う。こっちに来て考える事は一つだけ、どうやって生き延びるかって事だけだ。人間共は又お互い争っているから脅威にはなりそうに無い、俺の脅威に成りそうなのは1つだけだ。
「セイロン男爵を呼べ、話がある。」
「はい、直ちに呼びます。」
呼んでも直ぐに来れる訳じゃないので自分の部屋で待機する。
こっちに来たときは何もなくて寂しい部屋だったが今は中々住みやすい部屋になった、何故かサキュバス達も俺の部屋に住んでいる。理由は簡単だ、俺の部屋は快適なのだ。魔王の部屋にはトイレと風呂、そしてデッカイ寝室が有る。そして俺が一番初めにしたのはトイレにトイレットペーパーと芳香剤、風呂にはシャンプーと石鹼、寝室にはフワフワの毛布を置いたのだ。この設備を知ったサキュバスは俺の部屋から動かなくなってしまった。もう普通の生活はしたく無いのだそうだ。うじゃうじゃ居るサキュバス達を避けながら椅子に座るとサキュバス達がコーヒーを持って来てくれたり、お菓子をくれたりする。完全に俺は甘やかされていた。
「魔王様、セイロン参上いたしました。」
「おうセイロン男爵、座ってくれ。コーヒーやお菓子は好きにつまんでくれ。」
「ありがとうございます、魔王様。」
「どうだ?人間達の様子は。」
「酷い物です、東の国は南の国に蹂躙されています、同族同士で殺し合い、奪い合う事態です。どちらの国も相当な被害と怨恨を残すでしょう。」
「予想通りだな、人間らしいと言えばそれまでだが。」
「もう直ぐ決着が付きそうですが、私はそのまま情報収集をすれば宜しいのでしょうか?」
「ああ、頼む。一番注意しなければならないのは新技術だ。これを重点的に調べてくれ。」
「新技術?どのようなものでしょうか?」
「今まで見た事のない物、特に兵器だな、大きな音を出して爆発する様な物を見つけたら直ぐに報告して欲しい。」
「分かりました、大きな音と爆発ですな。」
俺がこの世界で一番恐れているのは俺と同じく異世界から来た奴だ。黒色火薬とか作られたら非常に迷惑なのだ、銃器とか持って来られたら災厄以外の何物でもない、その時は直ぐに排除しなくてはならないと思っていた。異世界に来た人間が舞い上がって魔王を討伐しようとするのは勝手だが、俺は素直に殺される気は無いのだ。やられる前にヤルのが俺の主義だ。