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ぶ~外れです! 賞品は魔王です!  作者: ピッピ
第1章 新魔王
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2話 魔界

昨夜の地震は怖かった


 目の前に大勢の悪魔が居る、そして俺は一人少し高い位置にある椅子に腰かけている。外国に行って大勢の人の前に居るのも怖いだろうが、ここはもっと怖かった、頭から血の気が引いていくのが分かる位の恐怖だ。変な汗も声も出ない。人間と言うのは本当に怖いと体が動かなくなるようだ。


 「魔王様、初めまして。4魔将筆頭、闇のオルフェイスです。以後お見知りおきを。」


 魔族の中からイケメンの男が出て来て俺に挨拶している。色白で長身、金髪のサラサラヘアー。純白の豪華な白い服を着ている。見た目は完全に人間の様だが、口から牙が出ている。唇も口紅をつけてる様に真っ赤だった。そして黒いマント。


 「あの、もしかして吸血鬼さん?」


 「そうです、魔王様。オルフェイスとお呼び下さい。」


 「あの~、オルフェイスさん。何でこんなに集まってるんですかね?」


 「勿論、新魔王をお迎えするためです。マイロード。」


 「あの~、新魔王とか意味わからないんですけど?」


 「?我々魔族を救う為にいらしたのでは無いのですか?」


 物凄い目つきで睨まれた、鳥の様な表情の全く無い目だ。多分違うと言ったら殺される、俺はまだ死にたく無いので話を合わせる事にした。


 「勿論君たちを救いに来たに決まってるじゃないか。嫌だな君~。」


 「いや~魔王様のブラックジョークは流石です。」


 「で、一体何で困ってるんだね?言ってみたまえ。」


 「人間共が我が国に軍隊を送って来ているのです。このままでは我々は滅んでしまいます。」


 どうやらこの魔族の国は人間と戦争をするらしい。そして部が悪いようだ。


 「魔王よ!心配ご無用ですぞ!人間如きに遅れは取りません!」


 「え、そうなの?」


 今度はデッカイ蜥蜴が俺に言った。3メートル位の背丈の有る蜥蜴?ドラゴン?ぶっとい尻尾で身体を支えて2本の足で立っていた。


 「これは失礼した、吾輩は4魔将の一人・地将軍のバルトです。吾輩の軍団が人間を蹴散らして見せま   しょう!」


 「バルト勝手な事を言うな!お前の軍団で人間の兵士3万をどうやって蹴散らすのだ。」


 「それは勿論、正面から堂々と蹴散らすに決まっておるわ。」


 「ふん、相変わらずの脳筋じゃなバルトは、この間人間相手に酷い目に会って逃げ帰っていたのをもう忘  れたのか。」


 「え~と、貴方はどちら様でしょう?」


 「魔王様、私は水魔将・流水のオルカです。お見知りおきを。」


 「ああ、どうもご丁寧にありがとうございます。」


 今度は大きなシャチの魔物が宙に浮かんでいた。異様な光景だったが俺は不思議と、そんなもんかなと思い始めていた。ここは俺の知ってる世界とはまるで違う世界なのが分かったからかも知れない。兎に角周りは化物だらけだ、人間は居ない。というか敵らしい。


 「ふん、馬鹿らしい。そいつが魔王のはず無いじゃないか!人間じゃないか!」


 「黙れ!シルフィーネ!不敬だぞ!」


 今度は、綺麗な魔族が現れた。見た目は物凄い美女で人間と変わらないが。やはり目が怖い、何故か光ってるのだ、


 「申し訳ありません魔王様、彼女は混乱しているようです。寛大な処分をお願い致します。」


 「処分?」


 「通常、魔王に不敬を働けば死罪でございます。」


 「ふん、人間如きに私を殺せる訳ないだろう。私だって4天王の一人なんだ。」


 魔族が仲悪いのと、説明が下手な事は良く分かったが。現状や自分の置かれている状況はさっぱりわからなかった。会話から情報の断片を得るのにも限界が有るので、聞く事にした。


 「オルフェイス、俺が魔王だと思う理由はなんだ?」


 「理由は、その腕輪です。それを付けている者は魔族の王となります。」


 「それじゃあ、この腕輪をお前に渡したら、お前が魔王になるのか?」


 「その腕輪を装備出来れば、魔王になります。でも出来なかったら死にます。」


 「じゃあ、試してみようぜ!」


 また違う悪魔が出て来た、今度のヤツは黒い鬼みたいな奴だ。頭から角が生えていて凶悪な顔をしていた。


 「その腕輪をよこせ、俺が魔王に成ってやる。」


 「そうか、じゃあ俺の代わりに頑張ってくれ。」


 いい加減面倒なので、腕輪を渡して元の世界に帰りたい俺は腕輪を黒鬼に渡そうとしたのだが、腕輪が外れない。俺の右手の手首にガッチリはまってビクともしないのだ。


 「あれ?あれ?・・外れない。」


 「何をやっている!ふざけるな!」


 黒鬼は怒って俺の左腕の腕輪を取ろうと手を伸ばした。


 「ぐわあぁぁ~!!」


 黒鬼は全身が黒い炎に包まれ床に倒れた。不思議な事に燃えているが全然熱くない、黒鬼の身体が焼けただれているのに熱を感じないのだ。


 「馬鹿め、地獄の火炎に焼かれるとは・・もう2度と復活できんぞ。」


 「地獄の火炎?」


 「そうです。魔王の腕輪を無理に取ろうとすれば、地獄の火炎で焼かれます。この火は相手が死ぬまで決  して消えない魔力の火炎なのです。そしてこの火炎は魂まで焼き付くと言われています。」


 という事はこの腕輪は誰かに取ってもらう事は出来ないって事だ。外そうとすると死んでしまうなら、誰も俺からこの腕輪を取ってくれないだろう。どうすれば良いんだ?自然に腕輪が外れてくれるのを待つしかないのか?


 「皆見たか!魔王の腕輪は新魔王を守ったぞ!彼こそ正当な新魔王である証だ!」


 「「「「「おおおおお~!!新魔王!新魔王!新魔王!」」」」」」


 イケメンの兄ちゃんが要らん事を言うので、場が異常に盛り上がっている。これじゃあ逃げられない。今更違うと分かったら殺される。なにせ相手は悪魔だか魔族だか知らないが恐ろしい奴らなのだ。


 「オルフェイス君。僕は疲れたから少し休ませてくれないかな?」


 「おお、これは失礼しました。異次元からの長旅さぞやお疲れでしょう。お部屋に案内いたします。」


 こうして俺はひとまず大勢の魔族の前から逃げ出して豪華な部屋へと案内されて行った。


 


  


 


 


 

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