第17話 サキュバス達
いま俺の目の前に裸のサキュバス達が20人程立っている。皆凄い美人だったり、美少女だったり、巨乳から貧乳まで全部揃っている、身長も150センチから180センチ位までそれはそれは多種多様だった。
「サキちゃん、これは一体何事だ?俺を殺しに来たのか。」
「違いますよ魔王様。皆この間のトイレットペーパーが欲しいのですわ。」
「成程、それじゃ魔力を分けてくれるのか?」
「勿論です、ただし全部吸うのはやめて下さいね。死んでしまいますから。」
俺は有難くサキュバス達から魔力を分けて貰った。肌が密着する必要が有るので俺も服を脱いでサキュバス達に抱き着いた。ついでに色んな所にも触っておく。後から後悔しない様にするのが俺の主義なのだ。1時間後、俺の前には魔力を吸われてぐったりしたサキュバス達が床に倒れていた、知らない者が見たら俺が化け物じみた絶倫魔王に見えるだろう。
「腕輪ちゃん、頼む。」
「任せておけ、今度は儂も分も寄越すのじゃ。」
今度は20人分の魔力なので前回より多くの物が転移出来た。待望の醤油1リットル、砂糖と塩が1キロ
石鹸3個、シャンプー1本、ティシューペーパー10箱、トイレットペーパー24ロールだ。20人分で5キロ位の取り寄せ能力だった。俺が転移するにはサキュバス300人以上必要な様だ。全部で100人しか居ないので不可能って事だな。
俺はどうしても醤油が欲しかったのだ、待望の風呂は入れたが、石鹸とシャンプーが無かったので嬉しさは半減だったので、石鹸とシャンプーも引き寄せた。これが無ければ風呂に入った気がしないのだ。
「魔王様、また見慣れない物が有りますね?」
「石鹸とシャンプーは風呂で使うやつだ、塩と砂糖と醤油は料理だな。紙は昨日と同じだ。」
「魔王様、私たちに少し分けていただけますか?」
「勿論だ、皆に分けよう。」
トイレットペーパーとティシュペーパーをサキュバス達に分けてやったら嬉しそうに胸に抱え込んでいた、よっぽど欲しかったのだろう。裸の美女達が胸にトイレットペーパーを抱えている姿は異様だったが喜んでいるみたいだから良い事にした。
「風呂で使うやつは何ですか?」
「やって見せるからついておいで。」
サキュバス達も魔族の中では珍しく風呂好きなので、風呂道具に食いついた様だ。言葉で説明しても分かりにくいので実際にやって見せる事にした。魔王用の風呂は大きいので何とか皆入れるだろう。
「まずはシャンプーの使い方を教えるぞ~、洗う時は上から洗うのが基本だからな。」
頭や体にお湯を掛けて、髪を洗う。久しぶりなので全然泡が立たなかったので2回洗った。それを見たサキュバス達も当然2回洗った。腕輪ちゃんもチャッカリ風呂に入って髪を洗っていた。
「次はお湯に浸かってから身体を洗うぞ。」
お湯で身体を温めて垢を落としやすくして石鹸で身体を洗う。何故か俺と腕輪ちゃんがペアで背中を洗いあっている。サキュバス達も真似して背中を洗いあっていた。何だか違う文化を教えてる様な気がするが気にしない事にした。見てる分には凄く嬉しかった。見られる事なんか全然気にしない、オッサンだから羞恥心なんてとっくの昔に擦り切れて無くなったのだ。
「よ~し、身体を洗ったらゆっくり風呂につかって上がるぞ。」
そしてサキュバス達は石鹸とシャンプー目当てで毎晩俺の風呂にやって来る様になった。シャンプーは毎晩1本無くなるので毎日腕輪ちゃんが引き寄せている。早い話が俺が毎日サキュバス達に抱き着いて魔力を吸ってる訳だ。これじゃどっちがサキュバスか分からなくなってきた。でも魔力を吸われてヘロヘロになってもサキュバス達には毎晩俺の風呂にやってきた。
「サキちゃん、サキュバス達って風呂が好きなんだな。」
「風呂というよりも、シャンプーと石鹸ですね。髪がサラサラになって見栄えが良くなりますし、石鹸で身体を洗うと良い匂いがしますからね。」
「うむ、儂もあれは気に入っておるぞ。だが醤油も中々の物じゃな。」
「あの、煮物って美味しいですわ。」
俺は醤油と砂糖を使って煮物を作ったのだ。塩味しかないこの世界では甘辛い味付けは新鮮で大好評だった。しかし、このお陰でサキュバス達は風呂の時間では無く、晩飯前に全員来る様になってしまった。作るのが面倒なのでカレーやシチューなんかにしたら、更に大好評で俺に対する好感度は最高潮だった。それに気を良くした俺は魔力を吸うときに違う所を吸ったりしたが、サキュバス達は見逃してくれるのだ。
「でも、毎日頑張っても少ししかストックが溜まらないな。大きな魔力が欲しいな。」
「4天王なら魔力が大きいが?」
「嫌だぞ、男に抱き着いたりしないからな、気持ち悪い!」
「儂は気にしないがのう。」
「俺が気にするんだよ。」
「女の4天王ならどうじゃ?あの娘は凄い魔力を持っておるぞ。」
「嫌だ、怖い!」
女の4天王は風のシルフィーネの事だろう、ドラゴンを操る女だ。見た目は凄く良いが、俺はあの女がクルミを素手で割って食べていた所を見たのだ。その気になれば俺の頭など簡単に握り潰しそうだ。だから今はサキュバス達だけで十分だ。シルフィーネに抱き着いたら反撃されそうだもの。それに毎晩サキュバス達に抱き着くのはとても楽しかったのだ。
そんな事をしていたらあっと言う間に使者が着てから5日たった。まだ西の国から返事は来てなかった。
「シルフィーネ、ドラゴン達を出して船を沈めろ。」
「了解しました魔王様。」
西の国に与えた猶予の時間は終わった訳だ、また通商破壊作戦に戻る事にする。ドラゴン達も休養十分で元気よく飛び立って行った。さて狩の時間だな。最近の俺はサキュバス達が城に住み着いたせいで魔族から絶倫魔王と呼ばれていた、20人のサキュバス達を同時に相手出来る魔族は居ないらしい。実際にはチョット魔力を貰ってるだけなのだが、まあ他人から何と言われようが平気な俺は知らん顔をしていた。
3日程船を沈めていたら、西の国の使者が血相を変えてやって来た。どうやら俺が冗談を言っていたわけではない事を理解したようだ。
「魔王様、船を破壊するのをおやめ下さい。」
「何故止めねばならんのだ?あれはドラゴンのストレス発散に丁度良いのだ。」
「我が国が立ち行かなくなってしまいます。」
「我が国に軍を送って来た国など亡べば良いのだ。」
「・・・降参です魔王様。」
それから素直になった西の国の使者と話をして、交易で得た利益の1割を魔族に治める事となった。俺は遊んでいても金が入って来る不労所得を西の国からも分捕る事に成功したのだ。ついでに毎週魚を荷馬車1台分持って来させる事にも成功した。醤油が有るので俺は魚が食いたかったのだ。
「流石です魔王様、西の国からも貢物を分捕りましたな。」
「良し、戦勝祝いだ。明日は宴だ、今回はシルフィーネの活躍で勝てた様なものだからな、シルフィーネを主役の祭りを行う。」
この戦勝祝いの席でシルフィーネに銀の勲章を渡して褒めちぎっておいた。これで残りの3人も何か有れば頑張るだろう。4天王にまとまられると困る俺は少し分断工作もやっていた訳だ。魔族の4天王すら信じられない俺はシルフィーネの嬉しそうな顔を見て少し自己嫌悪になった。