第123話 ドワーフの国
さてドワーフの国に来た俺はまずは試作品の自転車に乗ってみた。えらく丈夫に作っているので重いが何とか乗れるようだ。ただしドワーフの体に合わせて作っているので乗りにくいのだ、ドワーフは背が低くて足が短いので誰でも乗れるようにサドルとハンドルの高さを調節出来るように図面を書いて渡した。これで自転車については大丈夫そうだった。
「成るほど成るほど、サドルとハンドルの高さを変えて乗りやすくするのじゃな」
「でも精々身長で言えば30センチ位の差にしか適応出来ないから、自転車のサイズを何種類か作った方が色々な種族に売れると思うぞ」
「分かった、我らドワーフだけではなく人間や魔族にも合うサイズの奴も試作してみよう」
それからドワーフの王女のミーシャと自転車の販売と自転車を使った輸送の話なんかをした。まあ俺がリアカーの図面を渡したり自転車を連結して使う方法を教えただけだけどな。
「成る程、既に石畳の道も作り始めてるのか素早いのう魔王は」
「まあな、お前の国が豊かに成れば俺も潤うからな」
「で・・今作ってるのはなんじゃ?」
「おでん」
俺の料理を見ていたサキュバス達から歓声があがる、オデンは俺が居ないと作れない料理なのだ。この世界には練り物が広まっていないのだ。ジャガイモと大根しか入ってないオデンはオデンじゃないのだ。練り物が入っていないオデンは俺は断固として認めない。
俺が中身を色々と用意しているとサキュバス達が鍋の中を覗きにくる。そして俺の肩越しや胸の前で覗き込むからサキュバス達の胸が俺の腕に当たりまくるのだ。
「おい、サキュバス共。オッパイが俺に当たりまくってるぞ。俺に胸を圧しつけると鍋が大変な事になってしまうのだぞ」
「どうなるんですか?」
「中に色々な物が入って美味しくなるのだ。美味しすぎて食べ過ぎて太るのだぞ」
それから俺はサキュバス達に胸や太腿を圧しつけられて大変な思いをしながらオデンを作ったのだ。まあオデンは基本的にただ煮込むだけなので誰が作っても同じなんだが、中に入れるものでかなり味が変わるのが特徴だな。金が無い時は中身を全部食ってからモヤシを入れて食ったが結構いけたし、餅をいれてたら腹一杯になる便利な料理だ。
「美味しいです!魔王様。これは何ですか?」
「ロールキャベツ」
「ではこれは?」
「ホタテガイ」
「エビや蟹まで入っておるぞ魔王」
「おう!サービスで入れといたぞ。でも蟹はやりすぎだったな、出汁が出過ぎて辛いな!」
ミーシャはウオッカで食っている。オデンはどんな酒にも合う万能な食べ物だ、暖かいうちはビールにもよく合うし冷えても日本酒に合うしな。まあ俺は今日は白ワインで食っているが結構合うな。
「なんじゃそれは、いい匂いの酒じゃな」
俺がワインを飲んでいると、酒飲みのミーシャが白ワインに気が付いた様だ、ここらのワインは赤ワインしかないので白ワインは珍しいし、いい匂いがする。果実酒なので果物の甘い良い匂いなのだ。
「私にも下さいな魔王様」
「わっはっは、どれ口移しで飲ませてやろう」
「!!む~・・・・」
いきなりサキュバスに口の中のワインを飲まれてびっくりだ。サキュバスにセクハラは一切通じないのを忘れていた。サキュバスにとってセクハラはご褒美なのだ。
「こりゃ!嫁の前で何するうもりじゃ!魔王」
「そうだぞ!旦那ははしゃぎ過ぎだ!」
第1婦人と第2婦人の前でやり過ぎたようだ、反省せねばなるまい。俺は常識のある魔王だからな。晩御飯の後は温泉に浸かってのんびりする。船の動力部の試験は明日ゆっくりやる予定なのだ。
「魔王、新しい温泉掘り当てたぞ。白い温泉なのじゃ!」
「へ~、硫黄泉か。珍しいな」
「ほ~、白い温泉は硫黄泉と言うのか?変な匂いがするノジャ」
「慣れれば平気なんだがな、嫌う人もいるな」
サキュバス達と嫁2人を連れて硫黄泉へ。白い温泉で気持ちいいのだが一つだけ欠点が有るのだ、サキュバスや嫁の身体が見えないのだ。入浴剤を濃いめに入れた程の白さでお湯の中は全く見えないのだ。まあ僕は紳士だから期待してなかったけどね。
「ふひ~温まるな~」
「はあ~、のんびりする」
「気持ち良いです」
「魔王、明日は何をするのじゃ?」
「明日は動力部を見てやるよ、船は2隻用意したんだろ?」
「うむ、池に2隻浮かべてある。言われたとうりにしてあるぞ」
「まあ、今日は久しぶりにここの温泉に来たんだ、のんびりさせてもらうぞ。仕事は明日だ」
のんびりと温泉に浸かって、見えない分は全力で妄想して楽しんだ。まあ湯船から上がれば丸見えだから妄想する必要もないのだけれど。見えそうで見えない所が良い所なのだ。おいしいオデンとワインを女達に献上したので俺に対する扱いが非常に良い。体を洗って貰ったり、マッサージをしてくれたりして俺はとても嬉しかった。もっと俺を甘やかしてくれ。
そして夜はミーシャが俺の布団に潜り込んできた。第2婦人だから当然だな。第1婦人は気を利かせて別の部屋に寝に行った。マーガレットが気を使うのは珍しい。
「今日はミーシャに貸してやる」
「すまんなマーガレット、借りるぞ」
俺はマーガレットにレンタルされて一晩ミーシャの抱き枕になったのだ。