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ぶ~外れです! 賞品は魔王です!  作者: ピッピ
第8章 魔王内政編
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第121話 魔族の国強化計画

「魔王様どうされました?」


「ああ、サキちゃんか。色々有ってな」


「そういう時は美味しいもの食べて寝たら良いですわ」


 魔道士の街から帰って来た俺は珍しく悩んでいた。人の考えは良くわからないし最初は小さな問題でも加速度的に大惨事が起こるのは良く有る事なのだ。自分では上手くやっていたつもりだったがこの大陸でも戦争以外の色々な問題が起こりそうな気がしていたのだ。事前に問題を解決出来れば一番良いのだが、どうやら俺には無理なようだ。

 じゃあどうすれば良いのか?・・・問題が起きた時に素早く鎮火出来れば良い。ではどうすればそれが出来るのか?・・・俺が十分な戦力を投入出来れば鎮火する・・やっぱりこれしか無いよな~。自分に出来ることは魔族の国を良くして戦力を増強する事しかない。そして何か有れば部下に頑張ってもらうしかない様だ、そして失敗したら自分の世界に逃げるのが一番現実的の様だった。


「魔王様、トランザムが魚を持ってきましたよ。今が旬らしいです」


「へ~、秋刀魚か。良いな」


 サキュバス達にご飯と大根の味噌汁を作ってもらい、俺は中庭に魚を焼きに出た。秋刀魚を室内で焼くと大変な事になるからな。トランザムには大根おろしを作ってもらい、マーガレットにはカボスを切ってもらう。俺の地元では秋刀魚にはスダチやレモンではなくカボスと醤油をかけて食べるのだ。因みにカボスジュースなるものだって有るのだ・・自慢にはならないけどな。

 網の上に秋刀魚を並べて焼いたら物凄い煙が出た。サキュバス達が驚いて見に来る位の煙なのだ、傍から見てると魚を焼いてるとは思わないだろうな、そして秋刀魚は油が乗っているので表面が直ぐに真っ黒になるのだな。


「焼けたぞ~!」


 グリルと違い炭火で焼けばあっという間に焼きあがる。そして熱いうちに食べるのが秋刀魚を食べる時の醍醐味だ、今回は炭火焼きなので頭も内蔵も取らずに丸焼きだ、これが真の秋刀魚を焼く作法なのだが七輪を持っていない現代人には中々出来ないのが現状だな。


「「「いただきます!」」」


「真っ黒です」

「でも美味しい」


 炭火で焼くと油が焼けて表面は真っ黒に成るんだ、そして小骨が多くて食べにくいので貧乏人用の魚って認識だったな。安かったので秋には必ず食卓に出ていた気がする。

 綺麗なお姉さん達とご飯を食べたので気分は落ち着いた。お腹が膨れると気が大きく成って細かい事はどうでも良くなる、後は風呂に入ってのんびり昼寝でもすれば大概の悩みは解決する・・訳はない!


「チョット内政してくる」


 イカン・イカンまた現実逃避する所だった、宿題を先延ばしにして夏休みの終わりにまとめてする様な行為は良くないな。俺はそれすらやらずに廊下で正座させられていたけどな。


 魔王城に4天王を緊急招集して会議を行う、4天王は普段から城の傍に居るので30分もしないで全員集まる様にしているのだ。


「第7回4天王会議を始めます」


「魔王様、いつも回数が違っていますが何か意味があるのでしょうか?」


「そんな細かい事を気にしてはいけません。大事なのは会議の中身なのです」


 真面目な4天王筆頭オルフェイスが必ず冒頭にツッコミを入れてくれるのだ、そして俺がお約束でボケているのだが、ボケとも真理ともつかない微妙なボケなので4天王は何時も困った顔をしている。やはり書記を置いて会議の記録を取った方が良いな、何回目か覚えてないしな。


「今回の会議は魔族の国の強化について話し合いたいのです、みなさんの現状と10年後の予想収益を教えてください」


 事前に会議内容を伝えてないので勿論正確に答えられる者は誰も居ない、答えても間違っているだろうから答えに期待もしていない。だがこれで良いのだ、俺の狙いは俺の提案によって彼らの予想を上回る結果を出すことなのだ。簡単に言えば魔王さんスゲ~って思って貰えれば良いのだ。


「現状は分かりました、平和で各々が潤っている様で安心しました。しかし現状に満足しては未来は暗いのです更なる飛躍の為に4天王の皆さんに仕事を与えます」


「いったいどのような計画ですか?魔王様」


「この大陸の陸・海・空の輸送を全て魔族が分捕ります」


「そのような事が出来るのですか?」


「出来ます、そして既に手はうってあります」


 俺の計画はと言うと、最初は魔道士達にさせる予定だった飛行船をシルフィーネにやらせる。空のことならシルフィーネが一番詳しいから。そして自転車による交通網は陸戦に強いバルトにさせる、そしてスクリュー船を使った海運を水に強いオルカにさせるのだ。そして統括はオルフェイスに丸投げだ。


「成程・・船の動力部と自転車は既にドワーフ達が開発中、道路建設は魔道士達が既に行っているのですか。素早いですね魔王様」


「これで俺達魔族の国が更に潤うのは間違いない、そして海路でアルガルド帝国との貿易は拡大する。俺の予想では今は1ヶ月掛かる船旅が1週間に短縮されるからな」


「そんなに早くなるのですか?」


「なる!今は夜間は沖合に停船しているが、1日中走らせる様になるからな。そして予想平均速度は3倍だ、その為の方法も考えている」


 今の船旅は陸の側をのろのろ走って夜は泊まるのだ、だから隣の大陸まで1ヶ月も掛かる。これをコンパスを使って夜間も進む様にすれば今でも2週間掛からずにアルガルド帝国に着くはずだ、それプラス帆船から動力船に替える事で風に頼らずに何時でも一定速度で進む快速船になる、オマケにオルカは海の魔獣リバイアサンやクラーケンの親玉なので俺達の船だけは襲われないのだ。


「成程、海運は確実に取れますね」


 陸送も自転車を舐めてはいけない。リアカーを引っ張ったり自転車を連結すれば輸送力はかなりの物になる、道さえよければ人間でも驢馬並の輸送量が運べる。そして馬のように金が掛からないので儲かるはずだ。つまり道さえ出来れば自転車やリアカーがバンバン売れるのだ。これでドワーフの国が潤う予定だ。


「俺は何をするんですか?魔王様」


「力の強い魔族が居るだろう?」


「そりゃあ居ます」


「そいつらを輸送に使う」


 戦争も起こりそうに無いので無駄飯を食ってる連中を金に成る事業に使うのだ。今でもバルトの領地で採れた肉等の輸送に使っている様だが、道が出来れば他の国にも運ぶのだ。


「最後は空だ」


「ドラゴンによる輸送ですか?魔王様」


「違う、空を飛ぶ船を造るぞシルフィーネ。火と風を操る奴を集めておけ」


 空は熱気球を連結した奴で勝負する事にする。この世界には魔法が有るので火魔法で空気を温め、風魔法で好きな方向へ移動するのだ。これも魔族なら魔法が得意な連中が多いので他の種族に負けることは無い。


「素晴らしいです魔王様」


「オルフェウス、全事業を統括してくれ。俺は飛行船の制作に入る」


「了解しました!」


 こうして第7回4天王会議は終わった。俺は魔族の国の強化に乗り出した訳だ。




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