第113話 嫁との共同作業
「「「魔王、お帰り」」」
「おう、待たせたな。昼飯食ったか?」
「まだだ、お主を待っていたのだ」
シルフィーネとトランザム、ミーシャが俺達の帰りを待っていた。最近王都の飯ばかり食っていたので久しぶりに俺の世界の飯を食いたくなってきた。シルフィーネに魔力を分けて貰って、魔力変換だ。
「◎の屋の牛丼で良いか?」
「お~久しぶりッス!つゆだくでお願いするッス!」
「「何じゃそれは??」」
あっちの世界に行った事が無い人間がいた事を忘れていた。それにイザベラやマーガレットは俺が本物の魔王である事も、魔力変換で色々な物を召喚出来ることを知らないのだった。今回の件で色々やらかしたのでもう隠す事も無いだろうな。俺がごく普通の控えめな冒険者って言うのは無理だろう。
「まあ、良いから食えよ。赤い奴は辛いから少しにしとけよ」
「まあ、辛いんですの・・(´∀`*)ウフフ」
シルフィーネは悪食なので最初に肉を全部食べて、紅しょうがをご飯に乗せて食べていた。トランザムとマーガレットは真似して泣きながら全部食べた。他の連中は当たり前だが俺と同じようにして食べて満足そうだった。
「はあ~久しぶりに食べると美味いっすね~!」
「だよな、金が無い時に食べると虚しかったんだがな。やっぱり気分次第だな、食事って奴は」
「所で主よ、これからどうするのだ?」
「そうだな・・・・」
イザベラが公爵、マーガレットは男爵になったのでこれから当分は忙しいだろうから俺は魔族の国に帰ることにする。こっちの世界に来てから色々考える事が有ったのだ。それにここでは魔力の補給が出来ないので趣味の料理屋や小説が上手く出来ないのだ。あっちで色々片付けて又こちらに遊びに来たらマーガレット達にも都合が良いのだ。
「私も一緒に行きたいぞ、魔王」
「でもお前は新しい領地でする事が有るだろう?」
「私は馬鹿だから何をして良いのか全然分からんのだ。むしろ私は何もしない方が上手く行くハズだ。考えてもみろ私は潰れかけた騎士の末裔なのだぞ」
成程その通り、こいつが領地経営なんか出来るわけ無いな。俺も男爵領の経営なんか分からないけどな、でもこういう時の対処法は知っていたのだ、こういう場合は出来る人間にさせれば良いのだ。丁度知り合いに男爵が居たのを思い出した俺はセイロン男爵にマーガレットの新領地の経営を任せる事にした。男爵は頭が良いし情報収集もしてくれるので完璧なのだ。
「という訳なんだ男爵、頼むよ」
「ほほう、アルガルド帝国の男爵領を切り盛りしながら情報収集とは面白いですな。部下は連れていけますかな?」
「部下は大丈夫だ、それにバックアップの戦力として魔道士や魔女、場合によっては古龍が出撃予定だ」
「成程、戦闘になったときは帝国を丸ごと蹂躙出来る戦力ですな。面白いお引き受けします、そして必ずや帝国一の領地にして見せましょう!」
男爵は変なスイッチが入ったようでノリノリだった。情報収集しながら領地の運営をするつもりの様だ、後は魔道士と魔女の協力体制だがこっちは簡単だった。男爵になったマーガレットが魔女のトランザムを貴族に任命するだけで良いのだ。そうすると魔道士と魔女が喜んでマーガレットのバックアップに入ってくれるのだ。
「マーガレット、トランザムを貴族にしてくれ。男爵なら任命出来るだろ?」
「うむ、男爵ならナイトの位に任命出来るぞ。じゃあどっか適当な所の領地のナイトに任命しよう」
「本当かい!アタイが貴族になれるんだ!しかも領地付きって豪勢だね!」
「トランザム、魔道士の長老達に話して街造って貰おうぜ。魔女の薬とか売ったら儲かるぞ」
「そりゃあ良いね!魔女の貴族は初めてだから魔女の長老も喜ぶよ」
あっちの大陸では魔女と人間は仲が悪いのだ、そして魔道士や魔女は人間から嫌われて街から追い出されて俺の領地に住んでいた。こっちの人間にとって魔女や魔道士はまだ侮蔑の対象になってないので、俺は今の内に魔道士や魔女の有益性を前面に押し出して有利な地位を得ようとしてたのだ。この国にとっても魔道士や魔女と仲良くするといい事ばかりなのだ。
「トランザムが領地付きの貴族になったんだよ、長老」
「何と!人間に嫌われている私たちが貴族に・・」
「こっちの大陸では嫌われて無いからトランザムの領地運営に協力してやって欲しいんだ。そうすりゃ魔道士の地位向上の役に立つと思うんだよ」
「魔王様ありがとうございます。私達の為に色々お考え頂きまして、魔道士と魔女は魔王様に永遠の忠誠を誓います」
「そんな物はいらんよ。自分の力でアルガルドでの地位を掴み取ってくれ長老」
長老は俺の先見の明と寛大さに涙を流して感動していた。魔道士や魔女が違う大陸で新しい人生を始めるチャンスを造って貰ったのだ。そして領地付きの貴族が同胞で魔王の嫁でも有るのだ。魔道士と魔女が全力でバックアップしたトランザムの領地は多分凄い領地に成るだろうな、やり過ぎないように注意が必要だ。やり過ぎると又人間に恐れられたり嫌われたりするのだ。
「色々考えておるの~、自分の事以外には頭を使う馬鹿じゃ。ドワーフの事も考えて欲しいものじゃ、一応第2婦人なのじゃからな」
「へへへ、それなんだがなミーシャ。チョット造って貰いたい物が色々有るんだ」
俺はミーシャにギアを使った動力の伝達装置とチェーンを使った動力伝達装置の絵を書いて見せた。俺はスクリューを使った船と自転車を作りたいのだ。ミーシャはこの装置が儲かりそうだと一発で見抜いた様だ
俺に抱きついて大喜びしていた。
「流石は魔王じゃ、金儲けの天才じゃ!ドワーフの国はこれで豊かになるはずじゃ」
最近のドワーフの国は景気が悪くなって来ていたのだ、俺のせいで大陸の戦争が無くなりドワーフの武器や防具が売れなくなったのだ。そこで俺は武器産業から平和産業に方向転換をさせたかったのだ。船や自転車ならこっちの大陸にも売れるからドワーフは大儲けできるはずなのだ。こうして俺の周りの連中はチャクチャクと力を増して行くのだ、そして嫁達の力が増せば夫で有る俺の力も増すのだ。
「ワハハハ~!!大儲けなのだ!わらしべ長者祭りじゃ~!!!」