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ぶ~外れです! 賞品は魔王です!  作者: ピッピ
第7章 魔王冒険編
110/128

第110話 激突

 巨大な古龍の前に立ちふさがる勇気と愛の冒険者チームは余りに小さく頼りなく見えた。幾ら神の加護を受けているとはいえ、強大な古龍10頭に立ち向かうのは狂気の沙汰だ。どれほどの勇気が有れば古龍に立ち向かう事が出来るのだろう?王都の住民は全員勇者チームの為に祈っていた。

 一方王都全員に見られてる事を知っている魔王たちは大喜びで小芝居をしていた。古龍のジジババ達も観客の多さに驚いて尻尾をブンブン振って喜んでいた。


「さて行くか!マーガレット、ゲイボルク用意!派手に行くぞ!」


「おう!いっくぞ~!!!!」


 古龍を空から地面に落とすのはマーガレットの龍槍ゲイボルクだ、この槍は兎に角派手なのだ、魔族最強のシルフィーネの思念を受けた龍槍は光り輝いたり分裂したり、思念で方法転換から巨大化まで自由自在に変化するのだ。


「おい!勇者刀抜いて魔力を高めろ!お客さんが見てるぞ!手を抜くな!」


「おっ、おうッス!」


「龍槍ゲイボルク!!!」


 マーガレットから放たれたゲイボルクは光輝いて古龍上空で10に別れ、各古龍に着弾した。空中に10個の爆炎が上がり古龍達が地上に落ちてきた。王都からは割れんばかりの歓声が聞こえてくる。


 ズウ~ンンン!!!古龍が地面に落ちた音と振動が王都を揺らしている。古龍の落ちた場所には大穴が開いていた。そして苦しそうに啼く古龍達。凄い演技だ、古龍のジジババの演技力は半端じゃなかった。見ている俺達が心配に成程の落下演技なのだ。だけど中の古龍が俺の方をチラチラ見ていたので親指を立てて合図してやった。「古龍!グッジョブ!」ジジババは嬉しそうにウインクをした、あいつらどんだけ丈夫なんだ。


ギョエア~!!!!!!!地上に落ちた古龍のうち2頭が光の粒子となって消えていった。消える前に俺の方をチラチラ見ていたので、多分古龍の演出なんだろうな、芸が細かいやつだ。消えた古龍を見た王都の連中は凄い盛り上がりだ、笛や太鼓で音頭を取りながら足を踏み鳴らしている。今やイケイケ状態で狂乱状態だった。


~ワッショイ!ワッショイ!ワッショイ!~

~賢者!賢者!賢者!賢者!~


 30万人を超える人間達の揚げる歓声は凄まじい、古龍の咆哮以上の大音量なのだ。これが塵も積もれば山となるって事なのか。凄いもんだな。


 グオ~!!!!バシン!バシン!


 古龍のジジイが俺をチラチラ見ながら尻尾で地面を叩いている。何だありゃ?何やら口から炎も漏れてるようだな。オマケに期待を込めた目付きで俺を見ている・・・・おお!あれは王都を攻撃する合図に違いない。俺は古龍に親指を立てて腕輪ちゃんに指示を出した。


「腕輪ちゃん、防御魔法を王都に展開してくれ!住民に良く見える障壁を頼む!」


「任せるのじゃ!」


 腕輪ちゃんが王都正面に巨大な魔法の障壁を創りだす。勿論防御力等殆どない見掛け倒しの紙障壁だ。ただし見た目は7色に光って綺麗だった、言うなればシャボン玉みたいなものだ。

 そして障壁が完成するまで待っていてくれた古龍が口からデカイ火の玉を吐き出した。火の玉が向かってきた王都住民は悲鳴を上げて逃げ惑っていた。喜んだり悲鳴を上げたり忙しい奴らだ。そして巨大な火の玉は障壁に当たる寸前で大爆発を起こした、王都住民が立っていられないほどの地面の揺れと大音響で住民はただ悲鳴を上げるだけだった。勿論火の玉にこんな威力は無いのだな、地面を揺らしたのは地龍のジジイだし、火の玉を防いだのは多分水龍のババアだ。


「よし、今度はこっちの番だ。勇者やれ!」


「そんじゃ行くっす、ドラゴンバスター!!!!!!」


 勇者の魔剣から無数の光の弾が発射される、見栄えが良いように一度上空に向かってそれから古龍の居る場所に落ちてゆく無差別飽和攻撃だ。早い話がマップ攻撃だな、王都の連中に良く見える様に考えた攻撃なのだ。古龍の周りは着弾の影響で土煙が上がり全く見えない状態になっていた。勇者は魔力切れで膝を着いて苦しそうだ。そして煙が晴れて少し古龍が見え出した途端に古龍が苦しみ出し派手に3体が倒れた、これはハッキリ言って臭すぎだったので古龍たちには親指を下に向けダメだしをしてやった。ダメダメな演技です、ブ~なのです。

 ダメ出しを食らった古龍は臭い芝居を挽回するべく迫真の演技に全てを掛けてきた。次の攻撃は長老の次に強い雷龍の婆さんがやるみたいだった。体中から青白い火花を散らし、雲を呼んで気象すら歪めているのだ、王都上空は厚い雲に覆われ辺りは夕方並に暗くなって来た。


「腕輪ちゃん、俺たちを防御しろ。あれはヤバイ攻撃だ!」

「え!王都は?」

「それどころじゃね~!俺達が消し飛ぶぞ!勇者も全力で防御だ!」


 俺達は雷龍の攻撃を防御する為に固まった、王都の連中の心配をしてる場合じゃ無いのだ。俺にも分かるほどの膨大な魔力が渦巻いているのだ、古龍がこれ程の力を持ってるとは思わなかった。雷龍の周りの古龍達も慌ててバタバタしだしたようだ、その婆さんを止めてくれないと悲惨な事になるのは間違いない。

 雷龍の攻撃は凄まじいものだった、王都を覆う真っ黒な雲から稲妻が無数に落ちてくるのだ。雷の閃光と轟音でこちらの感覚がおかしくなりそうだ。空気はオゾンの香りが漂い、轟音が鳴り響くたびに心臓が止まりそうになる、これが根源的な恐怖というものなのだろう。俺達に当たる雷はなかったが、周りに落ちる度に寿命が縮む思いだった。王都には結構雷が落ちていたが、他の古龍達が防御してくれていた様だった。


「あのババア!・・・やり過ぎだ!イザベラ!構えろ!」

「え!何を!・・・・・」

「行け~!!イザベラ・アタック!!」


 散々雷を落としてドヤ顔をしている雷龍にイザベラをぶつける事にした。仕掛けは簡単、勇者の光魔法で光らせたイザベラを魔力で打ち出したのだ。悲鳴を上げながら高速で雷龍とすれ違った瞬間に雷龍はひときわ甲高い声で鳴き、そのまま崩れ落ちた。中々の演技なので親指を立ててほめておいた。雷龍は俺にウインクして光と成って消えていった。更に俺は指を2本立てて古龍に合図を送る、あと2体、古龍にやられて欲しいのだ。雷龍のお陰で王都が消滅しそうになったので、早めに芝居の幕を下ろそうとしていたのだ、古龍の力は強すぎて危険だ、制御出来る訳が無い。



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