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ぶ~外れです! 賞品は魔王です!  作者: ピッピ
第7章 魔王冒険編
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第109話 決戦王都前

 次の日の昼前にのそのそと起きだした俺達は遅い朝飯を食いに食堂に降りて行った。最近の自堕落な生活が身について早起きしなくなったのだ。まあ毎日遅くまで呑んで騒いでいたからな、いや~タダ酒は旨かったな。


「「「「おはようございます!」」」」


「うお!何だ!」


 大勢の人間が俺たちを待っていた。食堂は人間たちで一杯だ。王や上級貴族達もいる。


「いよいよ世紀の一代決戦ですな!出発前に是非お目にかかりたくてやってきました!」


「あ!どうも。気を使っていただいて申し訳ない」


 彼らは俺たちを激励に来ていた様だ。昼前に降りてきた俺たちを見て、昨夜は遅くまで作戦会議をしていたと思ってるようだ。自堕落で遅くまで寝ていたなんて言える雰囲気じゃなかった。幾ら俺でも無理だ、純真な瞳で見られると本当の事は言えなかった。やっぱり俺って善人だよな。それにこんな雰囲気じゃ飯を食うどころじゃないよな、仕方ない俺の口の上手さを見せてやろう。


「皆さんご安心下さい!この帝国の危機も今日で終わりです、昨夜神託が有りました、もうすぐ古龍が攻めてくるはずです。それを我々が迎撃いたします!」


「なんだって!神託!」

「古龍が来るだと!」

「迎撃するだと」


 俺の台詞を聞いた連中は大騒ぎだ、食堂に怒号と悲鳴が湧き上がる。古龍への恐怖心を思い出してしまった様だ。


「皆さん大丈夫ですよ、こちらには、魔・・・えへん!賢者様がついております」


 その場を沈めたのが聖女のサキちゃんだ。両手を胸の前で組み優しい微笑みを浮かべていた、サキュバスの洗脳も少し掛けていたかもしれないが非常事態だ、仕方ないな。


「そうだ、こちらには聖女様と賢者様がいるのだ!恐る必要は無い!」

「「「「そうだ!そうだ!」」」」


ーーー賢者!賢者!賢者!賢者!賢者!ーーーーーー


「う~胃が痛い」

「俺まで胃が痛くなってきたッス」


 うるさいので、もうこのまま出発する事にした。盛り上がりすぎて落ち着かないのだ。こんな騒がしい所で飯は食えないな、第一俺は騒がしいファミレスは嫌いなのだ、高い店の方が静かなので何時も高い店か餓鬼が利用しない店しか行かないのだ。食事は静かな所で綺麗なお姉さんと談笑しながら取るものだという断固とした主義を持っているのだ。


「サキちゃん、洗脳は後で解いとけよ」


「ハイ魔王様」


 俺達が街を進むと子供達が俺達の前に花びらを撒いていた、へ~本当にする奴がいたんだなって俺は感動した。これが花道ってやつなんだ、サキちゃんは嬉しそうだマーガレットは腹が減ってそれどころでは無いみたいだな。勇者夫婦は罪悪感で押しつぶされそうだ。


「おいおい。死にそうな顔してるぞ、大丈夫か?イザベラ」


「う~胃が痛い」


「全部俺のせいにしとけイザベラ、全部俺が悪いんだよ!お前は気にするな」

「わはは、潔くて素晴らしいぞ!魔王、それでこそ我が夫だ!」

「全ての悪を司る魔王様、素敵です」


「諦めるっすイザベラ、俺達みたいな小物じゃ相手に成らないっすから」


「恐ろしいものだな魔王とは・・・味方で良かった」


 イザベラは心底魔王が恐ろしかった、気がついたら魔王がこの帝国の救世主として崇められているのだ。この帝国に来てまだ半年しか経ってないのに帝国で一番の有名人で神の使者とまで言われているのだ。古龍だって知り合いみたいだし、全部の筋書きを書いたのも魔王なのだ。なんで黒幕の癖に王や貴族に信頼されて頼られているんだ、彼なら今直ぐにでも法王でも王でも好きなものに成れるだろう。そして帝国の住民は皆喜んで彼を迎え入れるだろう。


 帝国の住民たちに笑顔で答えながら俺達は花道を歩いて行く。王都正門から平原に出て準備開始だ。さて俺の書いた小説を堪能してもらおうか。


「爺さん、今何処だ?後どのくらいで王都に着く?」


「もうすぐじゃの、もう既に王都は見えておるぞ」


 通信玉での最後の通話だ、これ以降は戦闘の轟音で通信は出来なくなる。後はアドリブで勝負するのだ、古龍達が冷静に芝居してくれる事を祈ろう。


「腕輪ちゃん、戦闘準備だ!頼むぞ」


「任せておけ!」


 腕輪ちゃんの七つの強化魔法で俺達の体が7色に光輝きだした、王都の住民は神々しい俺達の姿をみて手を合わせて祈ったり涙を流したりしていた。次は勇者の風魔法で俺達を宙に浮かせる事にする。空を飛ぶ7色の冒険者は神の使いに見えるはずだ、バックに神々しい音楽が欲しい所だが無いから我慢することにしよう俺は奥ゆかしいからな。


「ワハハハ~!受けてるな!」


「そりゃあ受けるでしょうね。7色に輝いて空飛んでますから」


「おっ!ジジババが来た~!!!!グッドタイミング~wwwwwwww!!!!」


「草生やさないで欲しいッス!刈っときますね」


 前方から悪の化身古龍がやって来た、10頭の巨大な古龍が王都を目指している。だがその前に立ちふさがる7色の光を纏った冒険者5人!さて王都はどうなる?人類は助かるのか?或いは滅亡してしまうのか?

次週”決戦王都前”心して待て!


 多分筋書きが無かったらこんな感じだと思う、王都の住民は筋書き知らないから固唾を呑んで俺達を見てるはずだ、7色に輝いてはいるが余りに小さいからな。普通に考えたらあんなデッカイ怪獣に勝てる訳ないのが分かるはずだ。群集心理って恐ろしいな、俺達が勝つと思ってるみたいだもんな。


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