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ぶ~外れです! 賞品は魔王です!  作者: ピッピ
第7章 魔王冒険編
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第102話 ドラゴン騒動

 ふらふらになりがらも頑張って帰っていたが流石に50時間程寝てないので、驢馬の上でいつの間にか寝ていたらしい。気がついたら記憶がないまま領地の傍まで来ていた。驢馬のロバートはとても頭が良くて温厚な奴だったので助けられた様だ、しかし、ロバートも塩や水を与えないと何時までもは持たないので俺はちゃんと休憩することにした。


「すまなかったなロバート、世話になった」

「ブルルル・・・」


 背中に積んでた荷物から水と岩塩を出してロバートに与えた、後はそこらへんの草を食べて勝手に休んでくれるだろう。俺も水を飲んで塩を掛けた保存食料を食べて休息に入ることにした。目をつぶって横になるだけで休息になると言う奴もいるが、あれは嘘だ。気が高ぶってる時は体は休まらないのだ、緊張してる時は何をしても疲れてしまうのだ。だから俺は開き直って寝た、魔物に襲われて死ぬなら俺はそこまでの人間だったってだけの話なのだ。


「ブルルル」

「おう、おはよう。ロバート」


 時間は良くわからないが、よく寝た俺はロバートの隣で目が覚めた。50時間ぶりの睡眠だが多分普通の長さの睡眠時間だろうな、2~3日寝ないで寝ても余分に寝たりはしない事を俺は経験で知っていた。昨日は睡眠不足と疲労で取り敢えず逃げてしまったが、今日は真面目に考えなくてはいけないな。睡眠はとったので後は脳を動かす燃料が必要だ。

 ロバートを連れて川のそばまで行き水と岩塩を与え、俺はお湯を沸かして食事の用意をする。相談する相手が居ないのは痛いが、俺を取り巻く状況を知っているのは俺と勇者だけなので文句を言っても仕方がないな。何時もの様に問題に対する対策を3つ程考えてメモ帳に書いてみる。


1、魔族の国に帰る

2、ここで隠れて暮らす

3、違う所に逃げる


 まあ現実的にはこの3つしか方法が無いだろうな、1を選んだ場合はかなり文句を言われるが、その内収まるだろう。問題はマーガレットを連れて帰った場合彼女の命の補償がないことだな。シルフィーネやトランザムやサキュバス達がただの人間の女を魔王の嫁として認めるかどうかは微妙だ。

 2を選んだ場合、俺がこの大陸に来ている事がバレているので、その内見つかるだろうな。その場合も俺は兎も角嫁が危険だな。

 3を選んだ場合は、嫁と一緒にこそこそ隠れて生きないといけなくなるな。俺の性格的に逃げ回るのは有り得ない。そんな事をするぐらいなら戦って死んだほうがマシだな。


 飯を喰いながらのんびりと考えてみたが、どうやら1を選ぶしか無いようだ。さて方針は決まった、ならば次は行動有るのみ。俺は来た道を引き返しギルドの街へと引き返した。今重要なのは話し合いなのだ、多分あっちの連中と連絡を取る必要が有る。つまり勇者の所に行かねば話が進まない。


「勇者と話がしたい」

「イザベラ様と旦那様は巡回に出ております、期間予定は1週間後です」

「・・そうか・・・」


 ギルドに戻って勇者に会いに行ったがすれ違った様だ。龍対策で巡回に出たそうだ、俺の驢馬では追いつかない。しょうがないから帰ってくるまで待機だ、ついてない時はこんなもんだ。その内マーガレットが来るだろうからアリア達が借りていた家に泊まることにした。予想通りまた浮浪児が住んでいた、今度は3人だったな。この街の浮浪児は殆どマーガレットの領地に連れていったので最後の連中なんだろうな。そして何時もの様に飯を食わせて風呂に入れてその日は寝た。

 そして次の日、子供達が腹を減らしていたので街に買い物に行ったのだが店が空いてなかった。皆ドラゴンを恐れて家から出てこないのだ、それに食料品は貴重品になってきたので店も売りたくないのだろう、全く手に入らなかった。仕方ないので手持ちの保存食を食べた。


「主殿、来たぞ!」

「おう、来たかマーガレット。いきなりで悪いが食料を取りに行くぞ」

「そんなに状況が悪いのか・・・」


 この街は大きいので食料を大量に消費するのだ、供給が絶たれたら非常に脆いもんだ。マーガレットの領地の様に農民ばかりなら食料は次の年まで溜め込んでるので平気だが、都市の人間は非常に生活基盤が脆いのだ、金は食えないって事を忘れて生きてるのだ、ある意味夢の国に住んでる様なものだな。

 俺とマーガレットは子供達を連れて街の外にやって来た、マーガレットの馬に2人、俺の驢馬に1人乗せている。食料のない街にいてもしょうがないので、浮浪児を連れて領地に帰るのだ。領地には食物が沢山あるし仲間も多い。森や川で取れるもので何とか食べていけるだろうし、畑の作物ももうすぐ取れ始める頃だこの街にいるよりよっぽどマシなはずだ。


 その後領地に着いた俺達は平常の生活に戻った。ここにはドラゴンが飛んでこないし食料も豊富なので緊張感は全くなかった。緊張してるのは大都市だった、ここら辺は大戦の時と同じだった、その内難民が来るかも知えないな、それとも暴動が起きるのが先かな?どっちにしても良い予想は出来なかった。そんなある日ひよっこり勇者が顔を出した。


「魔王さん久しぶりッス」

「よお、巡回か?」

「そうっす、この国滅茶苦茶になりかけッス」

「だろうな、食料不足は一番痛いからな」


 王都では毎日ドラゴンが上空を飛び回り出したらしい、そして周辺の街でも毎日ドラゴンが飛び回ってるのだそうだ。王都は緊急事態を宣言して対ドラゴン戦用の舞台を編成中、冒険者ギルドも対ドラゴンのクエストを大量発注。この帝国が全て対ドラゴンの為に動いているのだそうだ。


「そりゃ又大変だな」

「そうなんすよ、国中ピリピリして住みづらいっす。のんびりしてるのは田舎だけっす」

「人が多いところを狙ってるみたいだな。脅すには効果的だな、長老は頭良いからな」

「何とかして欲しいっす、イザベラも困ってるっすよ」

「ああ、俺も話をしようと思ってたんだ、通信玉頼む」


 そして何時もの様に勇者に魔力を供給してもらって魔族の国に通信を始めた。俺は情報が欲しいのだ、そして長老と話がしたいのだ。


「チャックメイト・・」

「魔王!!!!!!通信を切るな!切ったら殺す!」

「何だいきなり!」

「切るな!絶対切るなよ!」


 これはあれかな?押すなよ、絶対押すなよって奴なのかな・・・いや違うな、あいつらこのネタは知らないハズだしな。びっくりして通信を切ろうとした勇者を制止して通信を続けた。


「お前誰だ!」

「ミーシャだ!」

「何でミーシャがそこにいるんだ?そこ魔王城じゃないのか?」

「交代で通信玉に張り付いておるのじゃ、少し待て。皆を呼んでくる」


「おい、何だかややこしくなってるみたいだな」

「そうっすね、訳がわかんねーっす」

「奇遇だな俺もだ」


「魔王様~!!!!良かったご無事でしたか!」

「オルフェウスか、状況を教えてくれ」


 ミーシャの次に出たのがオルフェイスだった、4天王筆頭で冷静で頼りになる奴なので状況を報告してもらう事にした。


「私・・・毎日怖くて泣きそうです・・魔王様。バルドやオルカは毎日シルフィーネに殴られて泣いております」

「何で?」

「魔王様が居なくなってから、シルフィーネやサキ、トランザムの機嫌が物凄く悪いのです。機嫌が良い時でも怖いのに最近機嫌が悪くて手がつけられません。そっちの大陸制覇などどうでも良いので早くお帰り下さい」

「成程・・・きっと食物が無くなったんだろうな」

「「「何だと~!!!」」」

「「「違います!!!」」」


 通信玉の向こうでは女達がギャアギャア文句を言っていた、多分俺が備蓄していた食物や石鹸やシャンプー等などの備蓄が無くなったので彼女達の機嫌が悪くなったのだろう。ミーシャや魔道士の長老達も居るそうだ、最近俺の顔を見てないので心配して来ているらしい、それに古龍の長老も俺が居ないので毎日文句を言いに来てるそうだ。仕方ないので古龍の長老に居場所を教えた、明日会いに来るそうだ。目印は人工湖真円の湖は珍しいので直ぐに見つかるだろうと思う、これでドラゴン騒動が終わってくれれば良いのだが。




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