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第六話 大通りに行きます

予想外にキャラクターが増えてしまいました。私もびっくりです。


 

 

 街に入ると大通りがあってそこをずっと真っ直ぐ行けばお城の前に出る。

 その通りにはたくさんのお店が並んでいる。

 どのお店もお客さんがいっぱいいて大賑わいだ。

 


 「ふぁ〜!!」


 「驚いたか? ここは、この国でいちばん賑わう通りなんだ」


 「しょうなんでしゅか? しゅごいでしゅ!」


 「そうそう、今日からフィオーネは城で過ごすことになる。国で保護された子供は英才教育をして言い方は悪いが、国に役立つように教育されるんだ。昔ならそれこそ王の側近にするために育てていたぐらいにな。まぁ、国に役立つように教育するといってもその先どこに就職するかは本人の希望しだいなんだがな」


 「わたちもおちえてもらえるんでしゅか?」


 「あぁ、フィオーネが望むならもちろん」


 「たのちみでしゅ!」



 クスクスと微笑ましいものを見るような目で見られる。

 な、生暖かい目になっているような気がしないこともないけど、ここはスルーです、スルー。自衛大事。

 ジェイドさんは近くの露店によると、何かを買って渡してくれた。

 


 「ほら、ベリゴの実のジュースだ」


 「あいあとーごじゃいましゅ!」


 「はい、よく言えました。どういたしまして」



 相変わらずの表情筋なので声で嬉しいと伝える。

 ………なんかすっごい子供扱いされてるけど! 恥ずかしいんですけど! 何なのこれ羞恥プレイっていうか幼児プレイ!? 何なのその罰ゲーム。一体誰が得するの。



 「あぁ、流石にその服をずっと来ているわけにいかないからそのへんで服を買って着替えてから行くぞ」


 「あい!」



 そうして服屋さんにはいると女の人がいた。

 桜色の髪をポニーテールに結んだ、金色の瞳をした美人さんだ。歳は23~25ってところだろうか。

 ジェイドをみると目をまんまるくして大声で話し掛けられた。



 「ジェイド!! あんたいつの間に子供なんてつくってたんだい! 恋人つくる前に子供なんてあたしはそんな子どもに育てた覚えはないよ!!」


 「ああ、育てられた覚えもないからな」


 「そりゃそうだろうさ。それよりその子はどうしたんだい。まさかほんとに隠し子ってわけでもないんだろう?」 



 どうやらジェイドさんと軽口を叩きあうほどには仲がいいようだ。ジェイドさんも余裕そうにふふんと笑っている。冗談だってちゃんと気づいているんだ。

 


 「この子はフィオーネ・レンジア……というらしい。本人も記憶喪失でな。服の衿に刺繍で縫ってあったからおそらくそうだろうと推測したらしい。魔の森に捨てられていた」


 「そうかい、そんなことをするやつが……ああ、フィオーネちゃん、私はエリザベス・セレスト。エルザってよんでね」


 「あい。えるざしゃん」


 「……それにしても、なんとまぁ悪趣味なことだ。……フィオーネちゃん、それにしては身体はきれいだねぇ。服もそんなにボロボロなのに染みもほとんどついてやしないじゃないか」


 「そういえばそうだな……フィオーネ、服とか体を洗うのはどうしたんだ?」


 

 うーん。

 隠すのもいいけどきっとこれから力になってもらうとしたら会う機会もきっと多いよね。その時に何かあったら困るしある程度は教えてもいいよね。多分。

 


 「えーとね、かわもみじゅうみもみちゅからなかっちゃからまほーをちゅかっちぇらの。まほーでにゃんとかしちぇらの!!」


 「魔法で……?」


 「清潔(くりーん)にゃの!」


 「その年で魔術が使えるのか? 普通の子供ならまだ魔力が足りなくて火種ひとつ起こせないはずだが……。フィオーネは魔法適性があるのか? いやそれにしても使えるのがはや過ぎないか……?」


 「うぇっ……? だめらの?」


 「ああ、ダメじゃないか。ジェイド、フィオーネちゃんが怖がってる。考えるのはあとにしてはやく城に連れていって休ませておやり」


 「ああ、わかっている。エルザ、この子に似合うワンピースを選んでやってくれ」


 「ワンピースだね。それじゃあ、これとこれとそれと…こっちのこれもかな。ほい、フィオーネちゃん、こんなかから好きなの選びな」

 


 そう言ってエルザさんが見繕ってくれたのは、どれも花柄やリボンがついた、かわいい系のワンピースだった。

 

 私はそのなかから、黒の生地にフリルがたっぷりついていてウエストをぐるっとまいて後ろで結ぶ赤いリボンがついているワンピースを選んだ。ちょっとゴスロリっぽいけど私の髪は白銀色だから黒地には映えると思うんだ。

 

 それを選ぶとエリザさんはちょっと待ってな、というと店のなかに引っ込んでいったかとおもうと、すぐに手に腰のリボンと同じ色のカチューシャと茶色の編上げブーツを持って戻ってきた。

 どうやら服にあうものを用意してくれたみたいだ。



 「ほら、これもあげるからつけてごらん」 


 「あい!」



 エルザさんは店の奥の部屋に私を連れていくと着替えておいでと出ていった。

 私がワンピースを着てカチューシャを装着して編上げブーツを履いて出ていくとエルザさんは満足そうににっこり笑っていた。


 

 「やっぱり似合うね。可愛いよフィオーネちゃん」


 「たしかに。黒地だから髪の色がよく映えるな。瞳と同じ色のリボンも似合っている」


 「りぼんといっちょ? わたちのめ、あかいろ?」


 「あぁ、赤色と言うか紅色だ。深紅の瞳をしている。もしかして知らなかったのか?」


 「あい。かみはながいからみえちゃけど、めは、ものをうつしゅもにょがにゃかっちゃからわかんにゃかっちゃ」


 「そうなのか? とても綺麗な色だ」


 「じぇいどしゃん、あいがちょー」


 「あぁ。………そろそろ行くぞ。エルザ、世話になった。またよらせてもらおう」


 「あぁ、いつでもおいで」



 エルザさんは店の外まで見送ってくれた。

 エルザさんにひらひらと手を振るとエルザさんも振り返してくれた。

 


 「さて、次は城に行くぞ」


 「あい!」



 漸く、城に行くようです。

 うわぁ、緊張する。

 ジェイドさんは大丈夫だと安心するように笑ってくれる。

 

 ……不安です。

 主に王様とご対面イベントのフラグが立たないか。




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