おはようございます、お嬢様
我々従者共の朝は早い。
なぜならうちのお嬢様の朝が早いからだ。
明朝、お嬢様起床。身支度をととのへダンス稽古1流。その後1流のバスタイムを経て、朝食。
学院へ向かう前に王立図書館へ足を運び学院が始まるぎりぎりまで本を読まれる。
お嬢様は今年で、16歳。学園にもだいぶなれたようで立派なレディとして平凡で退屈な学園生活を思うがままに動かしている。
この世界は16歳で成人となり庶民だろうがこじきだろうが最低4年学校に行くことを義務づけられている。
この制度は先代糞じじいが編み出した制度で、最近ようやく定着してきたものだ。さすがの賢王もこれには頭を悩ませたそうで、ウンウン唸っており大変面白かった。
思わずお嬢様も同情したらしく忙しい王に変わり手伝いを申し込んでいた。
最終的に徴兵制を利用し4年間の学園入学を義務づけたのだっけ。
あの頃から貴族達の意識改革も同時に行われた。庶民と貴族の仲が近づくことによる溝を減らし、将来の国内であらそう可能性を減らすためらしい。
私個人の意見としては平和なんぞもって50年だと思っているため無駄な行為に思えるがまぁ、お嬢様が戦闘なんかに参加した場合これ幸いと戦場をひっかき廻すこと間違いないのでできれば後120年ほど平和であってほしい。
閑話休題
先代王の貴族意識改革の話だったか。
結果、先代王は意識の切替を貴族的流行をもって行った
すなわち、平民の育成ゲームである。
より優れた平民を見抜き、自ら教育し、どれだけ優秀な人材を自分の元に置けるか、また現在価値ある人物を自分の物とするか。そのような従者自慢が大ブレイクしたのだ。
ちなみにこの制度はお嬢様の働きもあって主に10から20代の家をついでない貴族やまだ婚姻前のお嬢様方の嫁入り道具などを中心に最も流行り、仲の良い貴族の娘・息子の誕生日プレゼントとして贈られるなどいろいろな幅を持たせ今だ流行中である。
さらにここで アイリバイシャ学院が 平民、貴族が交わる学園 (クラスは別だが) として制度を改変した。
これに貴族と平民は喜び勇んでしがみついた。
先代王はこの期に学園を複数設立。そこでは学校毎に貴族平民をわけ、 アイリバイシャ学院を国内唯一の平民と貴族が通う学園とし、平民入試の難易度をあげた。
貴族の難易度はあげたところで金を積むだけのため、逆に従者の試験を設け、さらに教師達を王や他国の重鎮の元乳母や執事に一変、王命をもってその者等を学園に就かせ、貴族の手垢がかからないよう配慮して、その厳しさから途中退学者が最も多い学園にしたのである。
こうして アイリバイシャ学院は王国だけでなく他国からもお墨付きを貰う人材を育成する国最大の教育機関となった。
そんな場所に通うお嬢様はだからこそ朝が早い。
お嬢様は基本的に負けず嫌いという気、いやむしろ自分が認めたもの以外何でも見下したいと考える大変サディスティクな素敵なレディであるのが、だからといって踏ん反り返って偉ぶっている人間でもない。
サディスティクな人間はよく、マゾヒスティックな面も持つと言われるがお嬢様もその類に漏れることなく自らを痛め傷つけることが大好きだ。
お嬢様としては芸術とは自分の内面を見せ付ける恥ずべき自傷行為の中に存在し、その表層から浮かび上がる人間の本質の生への執着によって輝く、と考えていらっしゃる。
すべからく、お嬢様の本質、本当になりたい物とは恐らく、未来の皇后などという名誉ではもちろんなく
きっと自らが芸術品として方々に恥ずかしめられることなのだろう
そうしてお嬢様はようやく自分の生が感じられるのだ。
・・・やはり、うちのお嬢様は何かおかしい。
一流は一時間(適当)