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第5話

気づいたら、私は金曜日に友達に誘われても、断るようになっていた。

そして、つまらなそうな顔の友人たちを振り払って、駆け足で家路を急ぐ。

架琉くんに会える毎週金曜日が、待ち遠しくてたまらなくなっていた。



家には自分のお小遣いで買ったお菓子がたくさん常備されている。

全部、架琉くんの好きなもの。

金曜日だけの、私の彼氏…



ほとんど本気でそう思っていた。




ある日の木曜日、次の日は架琉くんに会えるなあなんて思いながらのんびり帰宅していると、遠くから小学生二人組が歩いているのが見えた。

そういえば、小学校って駅と反対側だっけ。

時間的にあまり小学生とすれ違わないので珍しそうに彼らを見つめているうちに、片方が架琉くんだったことに気づき、思わず「あっ」と声に出してしまった。

もう片方は…女の子だった。


(小学生が、カップルで下校するか普通…)



そんなことを思っていながら、私は自分の心臓がチクッと痛くなったのを無視できなかった。

もうすぐそこがマンションの入り口だったので、架琉くんと私は、入り口で鉢合わせる形となった。

女の子のことを考えると気づかないふりをする選択肢もあったけれど、さすがに不自然だったので私はお姉さんらしく明るい声をだした。



「こんにちは」

「うん…」




架琉くんは、目をそらしてぼそっと返事をするだけである。

女の子は不審そうな目つきで私を見ながら、小声で彼に耳打ちした。



「だれ?」

「隣のお姉さん」



架琉くんは、女の子につられたのか、なぜか小声で答えた。

私はもやもやする気持ちを堪えながら、笑顔を作ってその場を立ち去ろうとしたが、女の子の一言で動き始めた身体がぴたりと止まってしまった。



「ねえ、前に言ってた人?」

「うん」

「ふーん。おばさんじゃん」






おばさん…






モテないけど、さすがにこの年でおばさんと言われたことはなかった。

そうか、このくらいの年齢の子からすると、私はすでにおばさんなんだ…




「かーくん、早くいこう!カード見せてくれるんでしょ」

「う、うん」



女の子は架琉くんの腕をぐいっと引っ張って、二人は階段を駆け足で上がっていった。

さっさと立ち去るつもりだったはずの私は、一人取り残されてしまった。





おばさんじゃん。





この言葉に相当ショックを受けてしまったのか、なかなか足が動かない。

いや、違う。

おばさんと言われたこと自体にそれほどダメージはなかった。だって、実際私はおばさんじゃないから。



私は…結局、「おばさん」と言われてしまうような年齢の子に、勝手にときめいていたんだ。

小学生の気まぐれな言葉を鵜呑みにして、一人で浮かれて…


実際、同年代の女の子と、楽しそうにしてるじゃん。

私のことなんか、知らないって感じだったじゃん。





ほんと、バカみたい。






楽しみだった明日が、急に憂鬱になってしまった。


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