ミラの雨
一周年記念短編です
門前にて。
僕は小さくため息をついた。
防水加工をされていなかったデジタルの腕時計はとっくに機能を失い何も写さないままだ。
あーあ、あの時防水加工されたの買っとけば良かったなって思ったのも後の祭り。やっぱりケチるとだめだなぁ。
通信機器まで壊したくないので鞄の中に入れたままだけど、こちらも防水じゃないので隙間から水が入っていないとも限らないし、少々不安な気持ちを抱えつつ僕は新しいブレザーの制服でずぶ濡れのまま立っていた。
今更走ったところで変わらないと思うってこともあるし、今さっき上った坂道のせいで疲れがピークに来ていたということでもある。
本当にこの一時間ほどの間に体力的にも精神的にも疲れる事が目白押しで、指定された登校時間に明らかに間に合っていないということもさらに追い打ちをかけていた。
普通の学校なら休みになっている位の雨だけど、何しろこの学校はこんな高い場所にあることもあって全生徒が寮に入ることになっているんだって。
事前に校内の地図が郵送されてきていたので確認したけれど、校舎と寮は渡り廊下で繋がっていて……パンフレットに載っていた写真から屋根壁付きの渡り廊下だから豪雨だろうが槍が降っていようが通れる仕様のようだ。
今頃始業式はもう始まっていて、爽やかに進んでいるんだろうな……。
向かって右側の門にジョウヤ高等学校と書いてある看板が目に入って。今なら泣いていても分からないだろうから、泣いちゃおうっかな。
そう思ってふと顔を上げた時だった。
「君が転校生?」
この豪雨にあって、すっきりと僕の耳に届いたその声は目の前に傘を持って立っている──いや正しくは傘を持たせて立っている生徒の声だった。
時々どのチャンネルを見ようか迷っているときに見かけるゴルフ中継で、ゴルファーがさしてもらっている位はあると思う大きさの傘を、その生徒の後ろにいる人がさしているんだけど、あきらかにさしている人は半分濡れていた。制服を着ていないから生徒じゃないっぽい。濡れているから確実ではないけど、高いスーツなんじゃないだろうか。
傘の中にいる生徒は後ろの人が濡れているのにも気づいていないのだろう。
僕の視線に気づいて後ろを振り返った。
「武藤さん。一緒に入ってくださいと言いましたよね?」
「は!」
そのままの姿勢を崩さずに武藤と呼ばれた人はキレよく返事をする。絶対に雨に濡らさないという気概が見えた。凄いなこの人。
このままだと武藤さんも濡れ続けてしまうようだし、急いで校内に入った方がよさそうだった。
僕も服が張り付いて気持ち悪いし。
「あ、あの。本日転校してきました香野空露舞です。お待たせしてしまったようで済みません」
何を隠そう僕は七面倒くさい名前持ちだったりする。自分で言ってて悲しくなるけど。空に露が舞うと書いて何故かアロマと読む。
香水集めが趣味の父方の祖父母につけられたらしい。
ちなみに僕は香水にまったく興味はない……ときているから祖父母の嘆きがハンパなかったりするんだよね。
「アロマと読むのですか。勉強不足でしたね。初めましてアロマ君。僕は第五十六期生徒会会長、由利雷刀と言います。理由の由に便利の利、雷に刀と書いてゆりらいちです」
使われている字を聞くとかっこいいなと思うけど、耳だけで判断するとライチ──つまりはフルーツ(?)のライチを思い出してしまう名前だった。
「そのままでは風邪を引きますね。行きましょうか」
「あ、はい」
近づいて行くと由利生徒会長は僕と肩を並べて歩き出した。それは良いけど、目線で武藤さんに僕を傘に入れるよう指示を出してるあたり、少々怖い。
雨は衰える様子を見せずにザーザーというよりはドドドドという滝のような音に近い音を立てていて、大きな傘なのだし入ろうと思えば何とか入れるはず。そう思った僕は何度も由利生徒会長を見て目で訴えたんだけど帰ってくるのは微笑みだけだった。
この場合、僕が一番濡れ鼠なのだから傘に入らなくても良いような気がする。ちらっと濡れながらも傘を持っている武藤さんを見ると、目で何も言ってくれるな……という無言の視線が返ってきた。
この人を必死にさせているのは何なんだろう。
あきらかに僕らより年上の人なのに。
結局後ろにいる武藤さんは僕らが生徒玄関に入るまで傘には入らず、僕ほどではないにせよびしょ濡れだった。
生徒玄関前で立ち止まって、武藤さんは傘を閉じる。
って……えっ、いやそのままさせばいいじゃないか。そもそも入ってくればいいのに。
白く煙る生徒玄関外に立っている武藤さんは、もはや僕と同じずぶ濡れの状態になっていた。
あーあ。スーツの素材ってわからないけど、たぶん下着まで濡れちゃってるぞ……と自分と同じ状況に同類の憐れみというか妙な連帯感というか先に行く由利生徒会長と一緒には行かずに生徒玄関の引き戸を開けて武藤さんに声をかけた。
「中に入らないんですか?」
武藤さんは驚いた顔をして瞬きを数回、その間に前髪から落ちた滴がまつげに滴り、それがまた落ちていくのを僕は見た。
「生徒ではありませんので、こちらからは入れないことになっています」
「こんな状況で、誰も文句言わないと思いますよ」
ある意味非常事態だもんね。
このまま武藤さんを豪雨の中にほっておけるほど、非情な人がいないと信じたい。
だって生徒玄関から顔を出して左右をみたけれど、他に玄関らしき場所が見あたらない。ということは、遠くに行かないと入れないということだ。
生徒会長に傘をさすくらいだから、まさか今日初めて学校に来たってわけでもないだろうし、良いよね?
と考えて、僕は勝手に武藤さんの腕を引き、生徒玄関へと入れてしまったのだった。
僕も武藤さんもあちこちから滴がしたたる良い男……なんちゃって。ゴホンゴホン。
上履きに履き替えようと考えた時、はたと気づいた。今更な感じもあるけど、そういえば上履きは鞄の中だ。ずぶ濡れとはいかなくても、湿っている可能性大!
恐る恐る学校指定鞄を開けると、僕の予想を反して中身は無事だった。
ありがとう! 学校指定鞄!
ホッとして上履きを出すと、僕と武藤さんが引き戸のところで話している間に由利生徒会長が連絡したのか、先生が二名やって来ていた。
その手にはバスタオルが抱えられていて、さらに武藤さん用だろうスリッパもあった。
良かった。今すぐ別の玄関へ行けなんていう学校じゃなくて。
「上靴は今、履かない方が良いですよ。守衛が使うシャワー室がありますから、そちらに入ってからの方が良いでしょう」
確かに靴は泥だらけで靴下も、せっかく新品のを履いて来たのに茶色くなっていた。
「靴下を脱いだらこのスリッパを履いてください」
スリッパが汚れるかなとは思ったけど、洗えば良いかと思い直して言われた通り靴下を脱ぎスリッパを履いた。武藤さんのスリッパももちろんあったからね。
でも、どうしても服や髪から滴るのは止めようがない。廊下に点々と落ちるけど後でモップを借りて掃除するから許してもらおう。
先生に挨拶しようと思ったら、それは後でゆっくりできるからと言われてシャワー室に案内される。
ここはやはり年上である武藤さんからと思っていたら、何故かひょいと武藤さんに脇に腕を通されて持ち上げられ、シャワー室に入れられた。
ここでモタモタしているよりは、さっさと入って出た方が良いと判断。まずは上着とシャツを脱いでさらに靴下を脱ぎ、ズボンを脱いで下着だけになった。
さすがに見られて下着を脱ぐのは恥ずかしいので──だって四人に見られているからさ──扉を閉めて下着を脱ぐと、全部をかごに入れた先生が何処かへと走って行った。
僕は急いでシャワーを浴びた後、扉を開けて外を覗くとバスタオルが渡されたので、さっと体を拭いた後、腰に巻いて出ると別なタオルが頭に被せられた。「アロマ君はこちらへ。髪を乾かしましょう」
僕の後に武藤さんがシャワー室に入ったんだけど、その脱ぎっぷりの男らしさと言ったら!
シャワー室の前で全部脱いで濡れた服をかごに入れると、前を隠しもしないで入って行った。後ろ姿しか見なかったけど、結構筋肉質で何かスポーツでもやっていそう。いいなぁ……あんな筋肉、僕も欲しい……。
「アロマ君?」
「え? はい、何でしょうか」
「ここに座ってくださいね」
言われた通り椅子に座ると、由利生徒会長がタオルで優しく僕の髪の水分を取って行く。自分ならガシガシと髪を拭くので何とも言えず、あまりに丁寧すぎるので固まっていると、思わずくしゃみが出てしまった。
「あぁ、すみません。時間をかけすぎましたね」
新たに乾いたタオルを肩にかけられて、由利生徒会長がドライヤーを手にした。
「あ、自分でやります」
「疲れているでしょう? 僕に任せてください。背もたれに寄りかかって……そう良い子ですね」
温風が髪に当たると何だか意識がふわふわしてきて舟を漕ぎそうになる。首が後ろにカクンとなって、慌てて起きようとした時に由利生徒会長と目があった。
「そのまま寝ても良いですよ」
そう言って首を支えてくれるけど、人間の頭ってハンパなく重いんだよ? 片手なんて無理だって。
だから何とか起きていようと目を見開くんだけど、そのうち瞼がくっついて……。
何処かで武藤さんの「ありがとうございました」という声を聞いたような気がしたけど、僕はそのまま眠ってしまったのだった。
ハッと目が覚めて、見えた天井は見覚えがないものだったけど、見覚えがあるような雰囲気があって、飛び起きると周りにカーテンが引いてあった。
病院か……保健室のどちらかだと思われる。
慌ててベッドを降りようとすると、上半身は裸だったものの下は履いていた……これ誰かが履かせてくれたってことだよね。
うわーうわー、恥ずかしい。
スリッパを見つけたので履いてカーテンの隙間から出ると、保健室だったようで白衣を着たガタいの良い男の先生が丸い椅子に座って回っていた。うん、回ってた。回りすぎて気持ち悪いって言ってた。
「あの~」
「んあ?」
気持ち悪いと言いながら回っていた先生は、ようやく僕に気づいたようで回るのを止めると、机の上に置いてあった服を僕に渡してくれた。
「これ、新しい制服な。着替えたらそこ座って」
先生の前にある丸い椅子を指された。
まさか一緒に回ろうとか言い出さないよね……。
受け取った制服をカーテンの内側に入って着替える。よくよく考えたら、この下着僕のじゃない。しかもさっき聞き流しちゃったけど、新しい制服って言わなかった? サイズは同じだけど、内ポケットの生徒手帳が入っていないし。
あのずぶ濡れ具合だと生徒手帳も濡れてるんだろうなぁ。乾かしてもしわしわになって使えそうもない。
カーテンを開けて出ると思わずため息が出てしまった。
「どうした? 具合でも悪いか?」
指示されていた丸い椅子に座ると、額に手を当てられる。
「熱はないな。あぁ、もしかして腹減ったか?」
ツイッと先生が時計を見たので一緒に見てみると、もうすぐ正午という時間だった。
「昼休みは十五分からだから、もう少し待てな」
「はい」
ジョウヤ高等学校は始業式から授業があるんだって。
転校初日にずぶ濡れで、しかも昼まで保健室にいて寝ちゃうなんて前代未聞だよね、きっと。
「九月初旬とはいえ、まだ暖かかったのは良かったな。四月だと風邪をひいていたかもしれないぞ」
高い丘の上にある学校なので、麓よりは気温が低いのだと教えてくれた。四月だと、建物の影に雪が残っていることもあるのだとか。
「寒気がしたりとかはないか?」
「はい、無いです」
「そうか。校内は空調が利いているから寒くはないと思うが、ちょっとでもおかしいと思ったら保健室に来いよ?」
「わかりました」
「素直な生徒は大歓迎だ」
頭をクシャリと撫でられたので、髪がきちんと乾いていることに気づいた。
「んっ? お前の髪、指通り良いな……触り心地も悪くない。むむむ、近年まれにみるキューティクル」
「ちょっ、止めてくださいよ」
「先生」
涼やかな声がして、先生の動きがピタリと止まった。
「あ、生徒会長」
「目が覚めたんですねアロマ君。体調はどうですか?」
「特に何ともありません」
「それは良かった」
ニッコリ笑って近づいて来ると、生徒会長の先生を見る目がスゥッと細くなる。
「いつまでそうしているつもりですか、先生」
未だ先生の手が僕の頭に乗っかったままで、名残惜しそうに一瞬だけクシャッと髪をかき混ぜた後、漸く手をどけてくれた。
「お前、絶対坊主とかにするなよ。そのキューティクル残せ」
坊主にする予定はないけれど、残せと言われても……どう残すの?
キョトンとしたまま、生徒会長を見上げると座ったままの僕の横に立っていた会長は、たぶん興味がわいたのだろう、僕の髪をワシャと掴んだ。
「わっ」
そしてそのままワシャワシャとかき回す。
僕、犬じゃないんだけどなあ。
「髪を乾かした時にも思いましたが、確かに触り心地が良いですね」
「だろ?」
いや、何で先生がそこで胸張ってるの。
生徒会長はその後、手櫛で僕の髪を直してくれたんだけど。丁度その時、ガラッと保健室のドアが開いて一人の男性が飛び込んできた。
「あ、あろまあああああああああ」
「あ、叔父さ……ちょっと待って、わああ! ぐえっ」
座ったままギュウウウウウウと抱きしめられた。
ぐ、ぐるじい……。
「理事長、首締まってますよ」
暢気な声で先生が言うと、漸く力を抜いてくれた。相変わらずだなあ。
「叔父さん? 理事長が?」
生徒会長が、横で僕らを見ながら呟いていた。思わずと言った感じで、僕の視線に気づいた会長はフイッとそっぽを向いた。
「アロマは僕の兄の子なんですよ。本当ならこの学園は兄が継ぐはずだったのに、研究者になって海外に行ってしまって……」
一緒に住んでいた母も海外に行ってしまったうえに、そっちで年の離れた妹が生まれてしまったのだった。長期間一人で住むということに難色を示されたけれど、僕は日本を出たくなかった。
それで話し合いの結果、叔父さんの学校しかも寮に入るということになったわけ。
未だ僕を離さないまま、叔父さんは頬ずりをしてくる。
「叔父さん、僕もう高校生なんだから頬ずりはやめてよ」
「いくつになってもアロマは可愛い!」
また力一杯抱きしめられて、気絶しそうになったのを先生に助けられた。
「理事長、可愛い甥っ子の魂が半分出かかってますよ」
「あ、アロマ」
ぜえはあ。
これさえなければ良い叔父さんなんだけどなあ。
「理事長、お昼休みも終わってしまいますし。転校の挨拶は明日ということにしたらどうですか」
「うんうん、そうだね。よし、アロマ。叔父さんと一緒に昼食を食べようか」
「いいけど……」
「放課後に理事長室へ迎えに行きます。寮へは僕が案内しますので」
会長がそう言うと先生が驚いた顔をしたので、思わず首を傾げると、会長の手が僕の頭に延びてきて……。
また、ワシャワシャと頭を撫でられた。
意味がわからない。
「由利くん、アロマは犬ではないよ」
「もちろん分かっていますよ」
「だが、しかし。そうやって撫でたくなる気持ちは良くわかる。良くわかるが、それは身内の特権である」
いや、そんな特権ないって叔父さん。
「アロマ君はキョトンとしていますよ、理事長。本人の許可があれば良いじゃないですか」
さっきのも許可してないですよ会長。
「言いながらワシャワシャするのをやめなさい」
「それは理事長命令でしょうか」
なんで二人で火花ちらしてるの?
「えーと。先生」
「んー?」
「これどうしたら良いんですかね」
「ほっとけほっとけ」
「いや、ほっとけってワシャワシャされ続けてるんですけどー」
髪の毛ぐちゃぐちゃだよー。
それにお腹すいた。
あー、先生また椅子に座って回り出したし。
頭上で牽制しあう叔父さんと生徒会長。
あーもー!
「二人とも僕の頭、触るの禁止!!」
僕が立ち上がって二人から離れて宣言すると、二人とも何故か泣きそうな顔になるからとっても困ってしまった僕でした。
「それなら俺は良いってことだよなー?」
先生が椅子から下りて僕の側にやってくると、モシャモシャになっていた髪を直しつつ頭を撫でられた。
「手櫛でここまで綺麗に直るもんなんだなぁ。お前シャンプー何使ってるんだ」
「えー? そんなに高いの使ってないですよ」
「相葉! アロマを返せ!」
叔父さんが叫ぶけど、会長と牽制しつつなので近寄って来れない。
頭を撫でている先生は僕よりかなり背が高いので、見上げるようにして顔を見た。
「先生、相葉って言うんですか」
「おぅ、相葉潤だ。アイドルをミックスしたみたいな名前だと言われるが俺のほうが先だぞ」
アイドルというよりは格闘家みたいな風貌だけど。
「アロマ君、僕と昼食を取りましょうね」
生徒会長が一歩前へ出てこちらへ来ようとするのを叔父さんが腕を引っ張って入れ替わる。
「君は授業があるじゃないか」
「生徒会特権でなんとでもなります」
「理事長として聞き捨てならないぞ!」
「理事長こそ仕事をしてください!」
何か面倒くさくなってきた。
お腹が結構派手な音を立てて鳴ったので、二人の動きが止まって視線がこちらを向く。
僕は深くため息をついてもう一度相葉先生を見上げた。
「相葉先生、この後お暇ですか」
「昼休み終了のベルが鳴ったら暇だな」
「僕とお昼食べに行きませんか」
「いいな、学食に行くか。お勧めを教えてやるよ」
早く昼休みが終わらないかなーと思って時計を見ると、横で叔父さんと生徒会長が何やら視線で協定を結んだらしく、ニコニコ笑顔で近づいてきた。
怖いってば二人とも。
「一緒に食べる約束だよね? アロマ」
「昼食後、学園内を案内しますよアロマ君」
一旦とはいえ仲良くしているから、そこは僕も大人な対応をしなきゃだめかな。
「それじゃ、全員で行きましょう」
そういうと満面の笑みになる叔父さんと会長。
お腹もぐーぐーなってるし、お昼休み終了のベル早く鳴らないかな。
何故か三人に囲まれてるし。
しかも三人とも僕より背が高いから、若干怖いんだけどなー。
「さぁ、学食に行きましょうか」
ニコニコ笑いつつ会長が僕の肩を引き寄せる。
「会長、まだベル鳴ってませんよ?」
「そのうち鳴るから」
叔父さんが今度は僕の肩を引き寄せる。
「そのうちって、後少しなら待てるよ叔父さん、子供じゃないんだから」
子供じゃないっていうあたりで何故か全員に妙な顔で見られたんだけど。
何だよ、ご飯ーって騒ぐ子供じゃないってば!
そのうち武藤さんもやってきて、三人が子供扱いするってことを訴えたんだけど。
武藤さんにまで頭を撫でられるし。
漸くベルが鳴って学食に行ったは良いけど、今度は僕の隣にだれが座るかで喧嘩になるし。
これからの学園生活に不安を覚えても仕方ないでしょ、これ。