生首屋敷
※都市伝説風にしてみた。
【 生首屋敷 】
母から聞いた話。
母が働いていたスーパーの近所に悪い方の意味で評判の屋敷があった。
200坪以上は余裕でありそうな日本建築様式の豪邸。
中古で売りに出ていたのを独身のおじさんが買った。
いったいいくらで売りに出てたのか非常に気になるけど、相場より随分安かったらしい。
そのおじさんが引っ越してきてから、数ヶ月は問題なく過ごしていた。
ある日、そのおじさんが生首?を塀の周りにびっしりと並べ始めた。
屋敷は広く、当然塀も広い。
それをカバーする数の首…当然近所は騒然となった。
よくよく見ると生首は、マネキンの首だった。
それでも気味が悪いのには変わりはないので、町内会長さんが苦情を言いに行くと、ブツブツと独り言をつぶやくだけで会話にならない。
そんな薄気味悪いおじさんを前に、町内会長さんは「子供たちの通学路でもあるし、怖がって大変なので首を外に出さないでほしい」と懇願した。
話を聞いていないと思われたおじさんだったが、翌日には首を全部撤去した。
昼間の間だけは。
そう、子供達の通学時間じゃなければいいと解釈したらしく、マネキンの首は夕方から早朝に並べるようになった。
さすがに毎日全部置くのは大変らしく、角に生首を一つずつ置く。
近隣住民が警察に相談してはみたものの、人に危害を加えるといった凶暴性もなく、マネキンの首に異常に執着しているだけなので、そちらで対処してくださいと突き放された。
そして「何かあったら110番してください」とお決まりのセリフを言った。
仕方なく町内会長がおじさんのところに、「とにかく時間に関係なくマネキンの首を出さないで欲しい」とお願いしに行った。
今度は強く言おう!と勇んで来たのだが、玄関の前で驚いて固まった。
昨日まではなかった観音像と巨大なたぬきの置物が,、玄関に置いてあり入れない。
2つの置物がだだっ広い玄関前を塞いでいたのだ。
仕方がないので一旦外に出て、塀の外のインターホンを鳴らすが出てこない。
雨戸は全て閉めてあるし、中の様子を見ることもできない。
ふと見渡せば、生首は撤去されている。
夜の見回りに生首がなければもう関わりたくないと、真剣に思ったそうだ。
玄関に不気味な置物が置かれてからは、生首は塀に置かなくなりとりあえず平和になった。
母がそこまで話してオシマイと言った。
「ちょっ、なんでそんな終わり方なの? もっとこう、ギャーとか怖い話になるんじゃないの?」
学校でも噂に尾ひれつきまくって、元の話はうやむやになっていた。
母はしばらく話そうか迷っていたが
「本当に、聞きたい? 後悔しない?」
と、そこまで言われると怯んでしまい、それ以来話してくれなくなった。
噂好きな母が言いよどむような結末がどんなだったのか、真相は謎のまま。
※実際にある家の話し。母が妙に詳しかった。
本当にマネキンの首を並べてたそうな(母は夜に見てしまったと言っていた)。何がしたかったのか…不明。
今は首は置いてない、首は…ね。