学校の鏡
【 学校の踊り場の豪華な鏡 】
昔、通っていた小学校の踊り場にとても大きな鏡があった。
かなり上まで見上げたので、2mはあったと思う。
ほぼ壁一面に鏡があるといった感じだ。
鏡の縁は豪華な装飾が施され、田舎の小学校には勿体無い鏡。
OO会社寄贈と銘が入っていたので、学校に贈られたものだというのはなんとなく知っていた。
その鏡がある階の掃除には当然ながら「鏡拭き」があった。
これがとても嫌だった。毎日は拭かなくてもいいのだが、毎週金曜日には必ず拭くことが決まっていた。
当然誰もやりたがらず、じゃんけんで負けたものが掃除をしていた。
なぜ嫌がるのかというと、ありきたりな話だが「怪談」があった。
ひとりで鏡の前に立つと、後ろにもうひとり立っているとか、そういうよくある怪談が。
でも私が聞いたのは、全く違う怪談だった。
しかも誰から聞いたのか覚えていない。
その話はクラスメイトに聞いても誰も知らず、逆に馬鹿にされたのでそれから誰にも話していない。
”黄昏時にひとりで鏡の前に立ち、この世界から消えたいと願えば鏡が叶えてくれる”という話。
そもそもこの世界から消えたいなんて思うほど、自分は世の中を恨んではいない。
私は鏡をゴシゴシと拭きつつ、そんなことを考えていたら
「…チッ」
ものすごく不機嫌そうな舌打ちが鏡の中から聞こえた。
もちろん鏡には自分しか写っていないし、舌打ちもしてない。
その瞬間、鳥肌が立った。
鏡は半分しか拭けてなかったけど、そそくさと掃除用具を片付けて教室に逃げ帰った。
教室に戻って気持ちが落ち着いてくると、鏡にからかわれた気がして無性に悔しくなった。
次に掃除当番になったら、牛乳を拭いた雑巾で鏡を拭こうと思う。
※半分実話
通っていた小学校に、本当に不釣合いな豪華な鏡があった。
ついでにいろんな噂・怪談話も。
今は改築されて、学校にその鏡はない。
どこにいったのか…行き先が心配。
廃棄されてればいいんだけど…