天井を走り回るもの
【 天井を走り回るもの 】
実家はとても古い。
昭和40年ぐらいに建てられた平屋の一軒家である。
7DKと無駄に広いが、嫁いで家を出た今はとても住みにくい家だった記憶しかない。
中学になったころ、物置部屋を片付けて自分の部屋として父が与えてくれた。
最初は嬉しかったのだけど、その部屋で寝起きするたびに妙な音がすることに気づいた。
天井を誰かが走り回る音がするのだ。
パタタ、パタ…タタタ…ガタン。
うるさくて眠れない日が続き、家族に訴えたけどそんな音は聞いたことがないと言う。
まさか心霊現象?!と鳥肌が立ったが、音をよく聞くとやっぱり現実に何かが走りまわっている。
たいてい夜遅くまで勉強しているときに聞こえるので、家族は寝ていて聞こえていないだけだった。
これは確認しなくてはと、押し入れにある布団類を出してよじ登り天井の蓋を外してそーっと中を伺う。
ねずみでありますように…と思いつつ、私の目の前にひょこっと現れたのは…。
「イタチーー!?」
私の声に驚いたのか、イタチはササッと逃げていった。
天井裏で夜毎騒いでいたのは、イタチ…。
心霊現象でなくてホッとしたけど、なぜ天井にイタチが住み着いたのかは謎である。
ちなみに春になると恋の季節に突入、床下がとても騒がしくなる。
※これも実話
いまだにイタチ一家は住み着いてます。
入口らしいところはすべて塞いだのに…。