〜。・暇つぶし・。〜
「風歌、復活!!!」
翌日、風歌は部屋を走り回っていた。
「う・・・うるさい・・」
昨日、エンに燃やされたノートを祐二らに借り、夜中まで写していた風黄は、重い瞼を開けた。
「あれ?風黄、元気ないなぁ〜??」
「そりゃまあな・・・エンのせいで・・」
そう言うと、ばたり、と風黄はベッドに顔を埋めた。
「ありゃ、風黄〜??風黄?風黄君〜?今日、学校じゃないの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・学校・・・?」
「そ。学校♪」
「学校?・・・・・・・・そうだ、学校!!!」
そう叫ぶと、風黄は洗面所に行き、顔を洗う。続いて朝食を取り、制服に着替える。かなり制服がぶかぶかなのは、身長が足りないから。机の上の、ノートなどをかばんに入れる。
10分で準備完了だ。
「よしっ!宿題とかは入れたし、忘れ物はない!はず・・まぁ、いいや。行ってくる!いっとくけど、技は使うなよ!びみょみょみょみょ〜ん・・・」
「判った!びみょみょみょみょ〜んね!て、もう八時半!」
「八時半!?着席時間ぢゃん!」
風黄はそう言って、走り出した。
「あ〜ぁ・・大変だなぁ〜・・って、んん?」
風歌が見つけたもの。
筆入れ、又は、ペンケース・筆箱。
「・・・・忘れ物発見。だめじゃん・・って、風黄いるかな?」
風歌はベランダに出て、入り口を見るが、風黄が残したと思われる、ブレーキ後があるほか、何もない。もしくは誰もいない。
「どーしよ・・・・一時間目は・・体育だから、流石に筆箱は使わないよね・・?」
風歌は考えたあげく、届けることにした。
真っ白い部屋。
一人の少年と、一体どれだけあるんだと思うほどある花束の山。
少年のそばには、小さい花瓶。
その中には、小さい花束。
少年は呟いた。
「・・・・・・・・・・・・・暇だ・・」
そして、もう完全的に治った腕の傷などをみる。
多少の痛みはあるが、しっかりと動く。
そして、少年は、パジャマから普段着に着替える。
病院のほうで洗ってくれたので、綺麗になっている。
そして、病院の代金(家から送ってくれた)をベッドの上におき、窓から出る。
すたっ、と地面に着くと同時に・・・
キャ―――――――――――――――ッッッ!
と歓声が上がった。
そして、看護婦が病人を置いて追いかけてきた。
何十人も。
「どーして、こうなるんだか・・・」
少年はそう呟いた。そのとき、眼の端に、蒼いものが移った。
「・・・・・・・・風歌・・?」
少年は、風歌に追いつくようにスピードを上げた。
「あれ?ライトじゃん。傷、治ったの?」
「まあな。それより、どこ行くんだ?」
「ん?風黄に忘れ物持っていくの。一緒に来る?」
風歌の問いに、
「暇だからな」
少年はそう言った。
追っかけの看護婦は院長に怒られていた。
「おおぉ!?風歌とライトじゃねーか!」
「あっ、エン!」
「エンか・・」
「何しに行くんだ?」
お決まりの言葉。
「風黄に忘れ物を届けに行くの。ど?一緒に来る?」
「モチロン!」
そして、三人は風黄の通う学校へと走っていく。
「・・・・・・ペンケース・・ねぇ・・」
風黄はギリギリで間に合った。
そして、忘れ物には、机にかばんの荷物を移している最中に気づいた。
「お・・オイッ・・今日、テストじゃねーか・・」
祐二が驚愕の顔になる。
「あ・・あぁ、ヤベぇ・・でも、ま・・一時間目は体育だし・・」
「二時間目だぞ。テスト」
「・・・・・・・・・そうだな」
二人は会話を終えると、更衣室に向かった。
そして、体育が始まると・・・
「よっしゃー!祐二!パスッ!」
「おしっ!任せろ!」
そして、バスッ、とゴールにボールが入り、ピピ―――――ッ、と笛が鳴る。
「よっしゃ!祐二、ナイスパス!」
「風黄こそ!ナイスシュート!」
すっかり、忘れ物のことなど忘れていた。
「そうですか、では、秋風君の教室は、4階です。えっと、1−4ですね」
「ありがとうございます。じゃ、急げ!」
「おうよ!」
「ったく・・」
三人は、常人ではありえないスピードで階段を上っていった。
「速いわ・・」
受付の女性は呆気に取られた。
ダダダダダダダダダダダダ
と、三人は4階へ一気に上りついた。
「後は、1−4を探すだけ・・っと、あれ?祐二??」
「何だ?知り合いか?」
ライトが聞く。
「うん、風黄の友達らしいよ」
「へー・・じゃ、アイツに聞けば?」
「そうしよう!」
風歌たちは祐二のもとに行った。
「あれ?風歌っち〜♪」
「どーもっす!風黄、知らない?」
「風黄?あぁ、きっとそろそろ更衣室から戻ってくるよ。で、どうしたの?」
「忘れ物届けに来たの」
「忘れ物?あぁ、筆箱か・・って、風黄だ!」
「おーい!何してんだ〜?」
風黄は、体操着袋を持って教室の前まで走ってきた。
「おぉっ、風歌とエンとライトか〜・・で、何の用?」
「忘れ物。はい」
「・・・ペンケース!サンキュー!助かったぜぃ!」
風黄はそう言って、筆箱を受け取った。と、同時に。
「コラッ!そこ、何してる!?チャイムはなったはずだぞ!?」
と、怒鳴る声が聞こえた。怒鳴ったのは、二十代前半当たりの青年だった。
「うげ・・オレ、中入るわ・・」
祐二はそそくさ、と教室に入って行った。
「あ・・矢幡先生・・・・すみません・・忘れ物を受け取っていたんで・・」
風黄は、引きつった笑顔で答える・
「何?何を忘れたんだ?」
「ペ・・ペンケースです・・」
「ほぅ、で、そこのキミたちが届けてくれたと?なるほどよーくわか・・・った・・」
「・・・・・・・・・・・・どうも」
風歌は、上目遣いで(ただたんに背が低いだけ)で矢幡を見る。
「えー・・どうも。キミは・・フウカ・・ちゃんだよね?」
「えぇ、今は風に歌と書いて風歌ですけど」
風歌は、満面の笑顔で。矢幡は風黄と同じように引きつった笑みで挨拶を交わす。
「何?知り合い?風歌」
「うん、あっちのね。家が隣同士だったんだ。本名はケイシ・エメルトン・キオラ・ヤハタだったようなきがする」
「正解です。よく、覚えていらっしゃいました」
矢幡は、敬語で言う。
「いいです。ここでは、敬語を使わないでください。それと、早く授業を始めないと。テストなんじゃないんですか?」
「ハッ、テスト!そ・・それじゃ・・また!ほら、秋風君、中に入って!」
「は・・はい・・じゃ・・どーも・・」
「うん、バイバイ」
パタン、とドアが閉まる。
「オレらの出番なかったな」
「暇つぶしにはなったがな。で、どうするんだ?」
「何が?」
「この後だ」
「この後?そうだね・・・―――ここの探検でも行かない?姿隠して」
「賛成。楽しそうじゃねーか!」
「そうだな、暇つぶしにはなるな」
「じゃ、決定。どっか隠れて、姿隠そう!」
三人は、階段の陰に隠れた。そして、姿が見えないように、魔法をかけた。
「ホント、神が魔法使えるなんてな〜」
「オドロキだよね。魔法使いだけかと思ったのに〜」
「神は不可能なことはないというワケか・・」
「でも、まぁ、とにかく役に立ったよね。まぁいいや、行こう!まず、一階から!」
三人は、しずかに、そろりそろり、と進んだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
風黄はその様子を見ていた。
姿見えないのに、なんでこそこそする必要があるんだか・・・。
「ふぅ・・」
息をついて、テスト用紙に眼をむけ、答案用紙に答えを書く。
思ったより楽だ。
これなら、上手く行きそうだ。
――全てそうだったらいいのに。
そう思うときもある。
どうやら、この戦いはそうは行かないみたいだな・・。
教室の窓から数メートル離れたところに、黒い影が一つ。そして、カラスが一羽。
黒い影は、にやり、と笑った。
「良くわかっているな・・光の神・・」
そして、黒い影は、揺らいでから消えた。
「・・・・・・・・・・・」
風紀の横を通りかかった矢幡は、足で少し机を蹴る。
小さくガタッと揺れる。それに気づいた風黄は、矢幡の眼を見る。
――来たな・・。
――そうですね・・。もしかして、神殿隊?
――そうだ。光の神・・。
――ご存知でしたか。まぁいいです。
――わたしは今から、応援を呼びます。
――わかりました。
二人の眼での会話は終わった。
さぁ・・来てみろ・・ミヤ・・・ッ!
風黄はそう思った。そして同時に、他の司神に願った。
どうか、アイツを倒してくれ、と。
見てくれてありがとうございます。
そして、ちょっと理解できないところがありましても、広い心で見てください。
ということで、ありがとうございました。