〜。・見舞い・お仕置き・。〜
「あの〜・・出来れば、それだけは・・・」
風歌の意見は、
「無理。だって、やることないし、なんなら廊下掃除でもいいけど?」
却下。又は、別の案。
「あーうー・・廊下掃除は・・ちょっと・・」
「二択式で、どうぞ。10・9・8・・・」
「待って!それは酷い!せめて、20秒!」
「なーな・ろーく・ごー・・」
「ちょっと遅くなっただけ!?えー・・・!?」
「よ――ん・さ――ん・に――・い――ち・・・」
「うぅっ・・!じゃあ・・どちらにしようかなっ!・・・・“気”!?・・」
「よし!決まり!」
そして、風黄は、そういえば、と呟く。
「風歌って、他人に“気”をあげたことある?」
「えっ?ないよ?」
「マジっすか?じゃあ、全部はもらえないな〜」
風黄は、腕を組む。
「って、全部貰う気?回復するの?」
「しない。普通の神は」
「普通の神は?」
「司神は一日で回復する」
「一日かかるんだ・・」
「て、そうだよ!一日で回復するなら、全部すっちゃえ!」
「やめろー!あたしを一日動かなくする気かー!」
「かも」
「・・・・・・・・・・」
風歌は全てを諦めたような顔になった。
「大丈夫。最初は辛いけど」
「・・・・風黄、やったことあんの?」
「うん。もらった」
「あげたんじゃないの?」
「まさか。あげるなんてしたら、そいつがオレの“気”に絶えれず、爆破だよ」
「体が?」
「うん、体が」
「うわっ・・」
「まぁいいや、早くくれ!腹減ったんだよ!」
「・・・うん・・」
と、思いついた。
「風黄って・・ここのご飯でも生きられるの?」
本来、神は神の世界の食べ物でしか生きられない。
もし、人間界に落ちても、一応、世界各地に数え切れないほどの神の世界の食べ物が売っている。それを探し、そこで買い、そして生きていくということになる。
幸いにも、この学園都市の中に、その店はあった。
風歌はそこで買って生きているが、風黄が買う様子など、一度も見たことがない。
風黄は、風歌を見て、知らない?と言う顔をする。
風歌は、縦に首を振る。
「あのな、オレ、一応ハーフなんだよな」
「ハーフ?何の?日本人とアメリカ人?」
「それで、神が生まれたら大変だよ・・オレは神と人間の子供」
「へー・・・・・・何故に神と人間が結婚!?ダメなんじゃないの!?」
「それがさー、神の男が、皇子だったらしくてさ〜・・結婚できたらしいよ」
「なんて、図々しい・・ってことは、風黄って王子様?」
「うん、そうだよ」
普通に言わないでください。
庶民のあたしが可哀想に見える・・。
「ま、“気”早くくれよ!」
「うん・・」
やっぱし、庶民は皇室の使いなのね・・。
ふと、そう思う風歌だった。
「よっ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
国立万石病院5階。
503号室。個室。
ベッドに一人の少年。そのワキにもう一人の少年。
ライトとエンだった。
「なんのようだ?」
「なんだよ、せっかく見舞いに来てやったのに」
「余計なお世話だ」
「・・・・・・そのワリには、たくさんのお花さんが後ろで踊っていること〜」
確かに、ライトの後ろには、大量的に花があった。
『ライト君へ』や『ライト様へ』・『弟ライトへ』などと、たくさんの手紙とともに。
「うるさい、好きで貰っているんじゃない」
「じゃ、これも貰ってくれ!」
渡したのは、小さい花束。
「・・・・・・」
「じゃ、渡したからな!オレ、風歌たちのトコ、行ってくるぜ!」
エンはそう言って、病室のドアを開けた。
と、同時に閉めた。
「・・・何してる?」
「ギャラリーがたくさん」
エンはそう言って、今度はライトに見えるように開けた。
その瞬間。
キャ――――――――――――――!!
という、歓声が上がった。
「閉めろ」
「了解」
パシンッ、とドアが閉められる。
「さぁ、窓から出るか・・。窓の下にギャラリーがいないことを願うぜ」
エンはそう言って飛び降りた。
「・・ったく・・本当にここは5階か?」
ライトはそう呟いた。そして、ドアの鍵をかけた。
「コレでしばらく安全だろう」
「んん〜!」
口をふさがれたまま、風歌は何かを言う。又は何かを言おうとしている。
「何言ってるかさっぱり」
風黄は悪戯っぽい笑みで言う。
「んんん〜〜!!」
「さぁ?さっぱり〜?」
やはり、風黄は同じように返す。
「ん〜ん〜んんん〜〜!!」
「何?」
「んぐぅ〜・・って、オマエが離れればいいの!」
風歌は風黄をどかす。
「おっ、やっと聞こえた!」
「違う!離さなかったのはあんただ!」
風歌はバッ、と起き上がる。
風黄はそれをよけ、ベッドの上で座る。そして、口の周りをぺろり、となめる。
「ったくも〜・・今叫ぶだけでも疲れるんだから!」
「・・・それはどう考えても、自分の責任だろ・・」
「うるさい!大体なんで――――・・」
「大体?」
「大体なんで―――」
「なんで?・・・もしかして・・・貰うのにキ・・・・」
真っ赤になりながら、風歌は猛烈な勢いで、風黄をぶった。
「いってー!何すんだよー!!」
「知らん!あたしは何もしてませんし、何も聞いてません!」
そう言って、風歌は耳を塞いだ。
風黄は、ぶたれたところを抑えながらあぐらをかく。
耳を塞いだままの風歌を見て一言。
「ついでに、そろそろ、体動かなくなるよ?気がたりなくて」
「―――――――――・・・マジ・・?」
風歌は小さく呟いた。
風黄は、にやり、と笑った。
「ほうら、聞いてた」
「・・もしかして、嘘!?」
風歌はそう言って、風黄の元へ行き、目の前から見る。
「今回は、もっと強くする・・っ」
風歌は怒りの炎が見えそうな勢いで、先ほどから用意していたこぶしを振り下ろす。が――。
キシッ――――・・。
「え・・・」
風歌は自分の体が動かないことに驚いた。風黄を見ると、
「ほら、言っとくけど、今の嘘じゃないよ。オレがすった後、みんなしばらくしてから倒れるんだ」
と、言った。
叩こうと思い、出したこぶしがだらん、と下に垂れた。
続いて、体自身が、倒れていく。
ぽすっ、と風黄の腕の中に納まる。
「い・・息が・・苦しい・・かも・・」
風歌は途切れ途切れの言葉を発する。
「うん、苦しいかもな。一日中」
満面の笑顔で風黄は言う。
「この・・あく・・ま・・・ぁっ!」
「悪魔?一応、神様なんだけど。まぁ、そういうことにでもしとくよ」
風黄はそう言って、風歌をお姫様抱っこの状態で、風歌の部屋へ連れて行く。
そして、ベッドに寝かせると、すぐさま部屋を出る。
「助かった・・・」
そう呟いた途端、ドアがイキオイよく開かれた。
エンであった。
「よぉっ!元気か〜?」
「ま・・まあ・・い・・いや・・あっ、元気・・?」
「どっちだよ・・まぁ、いいや。風歌は?」
「寝てる」
「そーか、まだ寝てるのか〜」
「まーな」
風黄はそういい、安堵のため息を気づかれないようにつく。
あのままゆっくりしていたら、きっとエンに誤解されかねない。
しかも、息が荒い風歌の場合。
「こいつ・・・単純だからな・・」
ぼそっ、と呟いたつもりだったが、エンには聞こえていた。
「だれが、単純だって?」
「ん?あ・・聞こえたか?」
「モチロン。で、もしかして、オレのことか?単純って」
「モチロン・・・じゃねーっ!」
「ほぉ〜?オレのことか〜・・風黄〜!!」
「うわっ!やめろ!ここでやるな!あっ、宿題が燃えた!」
いつまでも、平和でありますように。
これは、ここにいるみんなの願い。
「―――・・う・・る・・さい・・・っ!」
風歌は聞こえないような声で言った。
すんません。
ちょっと、飛ばしすぎたかもしれません。
そしていつもいつもすいません。後になりましたが、
見てくれてありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。