〜。・戦い始めようよ・・ ・。〜
「ありがとぉっ!」
「いーえ、どーいたしまして」
ようやく引越しの片付けが終わったころ、風歌が言った。
部屋は今までの部屋より、6畳ぐらい広い部屋に変えてもらった。
そして、それを半分に分ける。
と風黄8畳・風歌8畳になった。
仕切りは、一枚の大きな白い布。
しかも、風歌の家具はほとんど(というより全て)青系の色。
風黄の家具はほとんど(同じで全て)オレンジ系の色。
「なんというか・・・」
「しっかり分かれてるね」
感想はこうだったが、とりあえず、全ては終わった。
――はずだったが・・・。
リリンッ リリンッ
リリーンッ リンッ
と、綺麗な鈴の音がした。それに続いて・・
ピリロリ〜 ピリロリリラ〜
ピラピ〜 ピ〜ラピラ〜
と、透き通るような笛の音が鳴った。
「・・・・天・・歌・・・・?」
「あん?天歌??」
その瞬間に事は起こった。
突然、風歌の目の前に、魔法陣が出来た。
「移動魔法陣!?」
するとそこから、ぬっ、と人の手が出てきた。
「うわっ・・」
「ひぃっ・・」
そして、それはだんだん出てきた。
出てきたのは・・―――一人の少年だった。
真っ赤なつんつんに尖った髪と眼。焼け焦げた服。美少年並の顔だった。
「久しぶり、フウカ・・」
「・・・エン?」
風歌は少年に尋ねる。少年はこくり、と頷く。
「・・・・・・・言っとくけど、戦うなら外でお願いします」
「はーい」
風歌はまるで、生徒のように返事をした。
「誰?オマエ」
エンと呼ばれた少年は風黄を見つけ尋ねる。
「んぁ?」
「あぁ、秋風風黄。あたしを助けてくれた人!」
風歌は楽しそうに言う。
「ふ〜ん・・」
エンはそう言って、風黄を見る。そして、
「オマエ――チビだな」
「うるせー!(怒)」
第一印象がコレだったらしい。
風黄はすっかり、エンを嫌っている。
風歌は仲直りさせようとしているが、無効。
「あ〜ぁ〜・・」
風歌は諦めた。
そして、エンのほうを見ると言った。
「エンが此処に来たって事は、戦い――だよね?」
エンは、大きく頷いて、
「モチロン。まぁ、オレとしては戦いたくねーけど」
「あたしも同感。けど、やんなきゃいけないんだよね〜」
同じ格好をして、ため息をついている二人を見て、風黄は、
「・・・・・・・・・・」
何もいえなかった。
内心、神ってこんなキャラだったか?と思う。
しかし、流石にこのままではいけないので、渋々戦い始めようとしている。
が―――・・。
「ふっうっきっ〜!遊ぼうぜ〜!!」
いつもながらハイテンションな少年・祐二。
「うわっ、来た・・」
風黄は呟いて、ドアを開けようとする。が――。
「・・・・・・・・・・・何してんだ?」
二人を見る。二人は、風黄の部屋で喋っている。
「あのさ、せめて風歌の部屋で待機してくれよ。オレの部屋だと、見事な誤解&勝手に連れ込んだということで、寮長&寮母さんに怒られる。ちなみにキミらもね」
「は〜い」
「はーい」
生徒だ。
先生の言うことを素直に聞く(はずもないが)生徒だ。「怒る」と言う単語は効いたようだ。
そして、だらだらと風歌の部屋に入る。
そして、同時に。
「風黄〜!!」
と、ドアがイキオイよく開かれた。
ドアの外には、祐二&個性的な四人が揃っていた。(がり勉は部屋で勉強中)
みんなおしゃれな格好をしている。
「風黄!みんなでどっかいかねー?」
「遠慮しとく」
と、いいドアを閉めようとしたとき、
「なんや!?ノリ悪いなぁ〜」
「そうですよぉ〜、行きましょうよ〜」
「そ・・そうですよ・・行きましょうよ・・ね?」
「行かなきゃ、変だ!」
一体何事だ。
「ほら!みんな言ってるんだ!さっさと行くぞ!ついでに風歌っちの服なども買おうぜ!」
「はぁ?なんでオレま・・・」
最後まで続かないうちに、風黄は祐二に連れ去られていた。
「いいか?風歌っちだって、いつまでもあんなワンピースで過ごせるかっての!」
「本人が嫌がってないんだからいーんじゃねーの?」
「いいや、違う!」
「なんでだよ!」
「さぁ?」
「・・・・・・・・・とにかくオレは行かない」
二人のこそこそした話は他人から見れば変だった。
まぁ、いつものように、どうせ祐二がやったのだろうと思う人が99.9%だ。
後の1%は祐二本人だ。
ようやく話は終わった。
どうやら、祐二は説得できなかったようだった。
続いて、未由。が、うるうる光線失敗。
続いて、誠也。が、無理矢理作戦失敗。
続いて、信悟。が、お笑いでは連れて行けないことが判明。失敗。
ラスト、麻由美。が、コレが以外に・・。
「ね?行きましょうよ。風歌ちゃんだって、“女の子”なんですからあんなワンピースじゃ嫌ですよ」
「だって、“女の子”ですから、おしゃれだってしたいですよ」
「“女の子”は可愛くなりたいですよ〜・・ってもともとかもしれないけど・・だから、もっと可愛くなりたいですよ〜!」
女の子という単語&女でしか無いとわからないという気持ちを押して押しまくった結果。
「わ・・・・・わかりました・・・」
麻由美勝利、風黄敗北。
「じゃあ、用意してきてくれ!」
がっくり、と肩を落として部屋に向かう風黄。
そして、中に入ると、二人が結果を待っていた。
「・・・・・・・行くことになった」
「負けたのか!?」
「アレを聞いて見ろ。死ぬぞ」
「じゃ・・じゃあ、行けるの!?あたし!」
「・・・・まーな」
「えー!?オレ一人〜!?」
「・・・・・・・・・忘れてた・・・」
ガチャ、とドアを小さく開けた風黄は顔が半分出ていた。
栗色の眼が見える。
「あのさ、オレの友達が来るんだけどさ・・一緒にいいか?」
外の人物は考えた。結果は、
「OK!」
だった。
「お待たせ」
「こんにちわぁ〜☆」
「どうもっ」
風歌はいつものワンピース姿。エンは風黄に貸してもらった(たいして背は変わらなかった)赤いパーカー&オレンジのTシャツ&黒いズボン。
風黄は黒い髑髏マークつきキャップ&長め(といよりでかい)の黒い髑髏マークつきの半そで&やっぱり真っ黒で髑髏マークつきのだぶだぶズボン。
「なんか、髑髏が多くねーか?」
エンに聞かれて、風黄は、
「どーせ、渋谷でも行くんだろ?」
その問いに、外の人はうなずいた。
「だからだよ。オレの姉がそこで働いていてさ〜・・ったく、渋谷あたりに行くときは、このマークつきの着てかないと・・・殺される」
「えっ・・、もしかして・・お姉さん・・あの「DOKURO」の店員さん?」
「んぁ?店長」
「!!!!?」
その場にいた人(神除く)が硬直した。
「あのDOKUROの店長!?」
「DOKURO?」
「えっ?風歌ちゃん知らない?あのね、渋谷最強の「髑髏」をモチーフにした服とか売ってるかなりスゴイお店だよ!」
「へぇ〜・・」
「じゃ、お姉さんがそこにいるならそこへいこう!」
「ん?は?え?待て!オレはぜってー嫌だ!」
「・・・・・・・・・・女の子なんだけどぉ〜・・」
「わかりました」
風歌の言葉に風黄は素早く頷いた。
くすくす、と麻由美は笑う。
「あら?風黄じゃないの〜!久しぶりね〜・・って、ずいぶんと多くのお友達ね〜・・うまくいってるのね〜・・お姉さん、嬉しいわ!」
「こんにちわ」風歌。
「どうも」エン。
「初めまして」麻由美。
「こんにちわ〜」未由。
「どうも〜」誠也。
「こんにちわ☆」祐二。
「ハロー☆☆☆です!」信悟。
「こんにちわ、みなさん」
と、風黄の姉、秋風紫苑は笑いながら言う。
そして、
「今日は何しに来たの?」
と、営業も忘れない。流石、店長。弟の友達が来たにもかかわらず。
「姉ちゃん、コイツの服だって」
「コイツ?あぁ、この・・・・可愛い子ちゃん!?いいの!?」
「やるとは言ってねーぞ。服、どうにかしろだとよ」
「まかせて!ていうか、他の子もどうぞ!今日、新作が入ったの!あたしデザインのね!そうだ、風黄、今セール中なんだ!あのさ、後で暇だったらお願い!」
「・・・・何を?」
「セールしてるって、宣伝してきて!」
「さようなら」
「・・・・・・・・・全部、あんたに払わせるよ・・?」
決め手だ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・はい」
読んでくれてありがとうございます!
ていうより、戦い、始まりませんね。
ダメぢゃん!
すみません。やっぱし、コメディーに変えようかな?
でも、頑張ります!