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〜。・光の失われた眼・。〜

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォッッッ!

風は辺りを飲み込む。

瓦礫の上のほうは、風によって飛ばされている。

「おいっ!どうするんだ!?風黄!」

「エン、黙れ。オレらの上の瓦礫がどいたら他のところに逃げるんだ!」

「しかし、どこに?すでに建物という建物は破壊されているぞ」

「・・・・・・・攻撃か?」

風黄の案に、エンは、

「風歌は?どうするんだ?まさか、あいつごと・・・・?」

「・・・・・・・出来ればオレだってやりたくねーよ。けどな・・・」

風黄は、瓦礫の間から見える風歌を見た。

すでに、光を失った綺麗な眼の先には、風黄たち。

横に、ミヤとキイティス。

「攻撃しないで助けるって言うのは、きっと、難しいだろ?むしろ、無理だ」

「そうだな・・・・でもよ〜・・」

「しつこい。無理といったら無理だ」

ライトがエンに向かって言う。

が、急に暗かった場所が明るくなった。

『・・・・い?』

三人は恐る恐る、顔をあげる。

「ひぃ・・」

「うわ・・・」

「最悪なことになったな」

そこには、にっこりと、しかし、極悪な笑みを浮かべている風歌がいた。

手にはモチロン、風玉つき。

「に・・・逃げろ!」

三人は風歌を突き飛ばし、逃げた。

「・・・・・・・・・・逃がさない・・・特にエン!」

「何故に!?て、うわっ!オレだけ狙うな――ッッッ!」

「死ね」

「嫌だ!て、うわっ!」

「・・・・・・エンは何かしたのか?」

「風歌の気にさわることを少々」

「そりゃあ、エンの責任だ」

「マジ!?光の神って噂じゃあ、困ってる人を助けるんじゃなかったのか!?」

「そうだな。でも、今は面倒だから」

「かみさま失格だ〜〜〜〜!!!」

「ごたごたうるさい」

「ひぃぃぃぃっ!」

「ったく〜〜〜・・・・ほれ」

「ぎゃあああ!ちょいまちぃぃ!目の前で何かを爆破させるな!やるなら俺の後ろで!」

「すまん。でも面倒だから」

「またかよ!」

「うるさいぞ。特にエン」

「何もかも信じられなくなっちまったあああああっっっ!」

頭を抱えて逃げるエン。

「たっく〜〜〜・・・・・置いてくぞ」

「ごめんなさい、待ってください」

三人は、逃げて逃げて逃げまくった末、

「行き止まりっ!?」

になった。

「よ・・・・ようやく・・・追いつい・・た・・・・」

風歌は息を切らしながら言う。

「あんまし説得力ないよ風歌」

「うるさい!もう、死んじゃえ!」

ぽぽぽぽぽぽぽぽ、と連続で風玉発生。

が、それをあっさり、三人は交わす。

そして、それぞれにちからを発揮させる。

風黄は、六人の精霊。エンは炎玉。ライトは手に電気をためている。

「何?攻撃するの?風歌を?」

どこからか現れたミヤが面白そうに言う。

「ミヤ・・・・・お前のせいだ!」

「そうだったか?」

エンは空中でパーカーのポケットに手を入れて浮いているミヤを見る。

ミヤはとぼけたように肩をすくめる。

「殺れよ、さっさと」

面白そうに言うミヤ。

と同時に風歌も走り出す。

今度は、手に風を巻いているかのように手を中心に風が音を立て、回っている。

そして、三人の目の前に来て、地面を思いっきり殴った。

風圧で地面が二・三メートルへこみ、土が三人のほうへ飛ぶ。

すると、三人が一気に駆け出し、風歌へ攻撃を仕掛けた。

精霊たちは、風歌を拘束し、エンが炎玉を投げ、ライトも風歌がやったように地面を思いっきり殴る。すると、ひびが入った。と同時に精霊たちが風歌を離し、風歌はその中に落ちた。

「――――――――――ッ!」

風歌は間一髪で地面を掴む。

「ホントにやったな」

ミヤは驚いているのか、面白がっているのか判らない口調で言った。

「ふぅ、成功だ」

風黄は安堵のため息をつく。

「そうだな、これでしばらくは時間が稼げる。・・・エン、何している?」

ライトの眼には、エンが風歌のいる穴を見ている風景が映った。

「いや、別に」

しかし、その眼はしっかり風歌を見ていた。

それを見た風歌は一度、顔を下に向け、にやりと笑った。そして、

「お願い、エン・・・・・・・・・・・・・助けて」

突然、前の風歌と何も変わらない口調で言った。

眼は光が宿っていて、涙まで浮かべている。

今まで風玉があった手は震えている。

「ふ・・・・・・・風歌?」

エンは恐る恐る聞く。

「うん、そう。あたしだよ、風歌だよ」

風歌は優しげな笑みを浮かべる。

「エン!惑わされるな!」

風黄が叫ぶ。

「酷い。ねぇ、風黄の言うことなんか嘘よ。あたしは本当の風歌。助けて、エン。この穴から出して!」

風歌はエンに向かって言う。

「エン!そいつは風歌は風歌でも今は殺人鬼だ!」

「エン、助けてよ。怖いよ・・・・寂しいよ・・・・・ねぇ、エン、お願い!」

「エン!」

「お願い、此処から助けて!」

エンはぐっ、と拳に力を入れた。

そして――――――――――。



「エン・・・・・・・?」



声を出したのは――風黄たちだった。

「エン、ありがとう!助かったよ!」

風歌はエンの手を借りて大地に上がってきた。そして、

「お礼に――――――・・・」

手に風玉を作った。

「!?エン!逃げろ!」

「!?」





「お礼に、殺してあげる。――あたしを助けてくれた“馬鹿な神様”」




風歌が極悪な笑みを浮かべたと同時に、風玉は変化し、刃になった。

そして、それは鈍い音を立てながら、エンの腹部に突き刺さり、貫通した。


「――――ッッッ・・・・・!?」


エンは、眼を大きく開け、風歌を見た。

風歌の眼は光が宿っていない。

「ホント、バカ。可笑しい」

風歌はそう言い、笑った。

「う・・・そ・・・だったの・・・か?」

「そう、完璧な嘘。あの時、風黄たちの言うことを聞いてればよかったのに。ていうか、普通信じる?」

風歌はそういい、エンにそっと触れた。

「バーカ、ホン・・ト・・・・・・」

風歌の言葉は最後のほう、途切れた。

「・・・・風歌・・?」

そして、小さく言った。



「ゴメン・・・・・きっと助けるから」



「・・・・?」

エンが痛みに絶えながら、風歌の顔を見ると風歌は唇をかみ締めていた。

「ちょっと、聞いてくれる?」

風歌は小さくエンに耳打ちすると、優しく笑った。



「んじゃ、よろしく」



眼には本物の光が宿っていた。


見てくださってありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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