出逢い
またしても調教物…にしようと思っているお話です。
俺、澤藤龍平《さわふじりゅうへい》。
こないだ素敵な女性と知り合った。
彼女の名前は藤井結衣《ふじいゆい》。
お互いに藤の字が名字に入ってるね。藤原家の子孫同士かな、なんて話しをしたのが始まり。
ただ、知り合った場所がちょっとアダルトなチャットだったから、すぐに話はそっち方向へ。
まぁ、俺が下心アリで入ったからなんだけど。
その後何度かチャットで話して、お互いに忙しい時間をやりくりしてデートまでこぎつけることに成功した。
初めてのデートはどこにしよう。しばらくはそればかり考えていた。
デートの日。
結衣は息を切らせて走ってきた。
「ごめんなさい!!」
目の前でぺこりと頭を下げる彼女がとても可愛らしく思えた。
時間も時間だ。
あんまりゆっくり出来ないのが残念だ、と思いながら、俺は彼女を近くの居酒屋に連れて行った。
個室があって間接照明で、なかなか雰囲気のいい店だ。
一番奥の個室が空いていたのはラッキーだった。
奥の個室に入って、俺が上着を脱いでカッターシャツだけになると、結衣も上着を脱いでブラウスになった。
まずはビール、ジョッキで乾杯。
半分を勢いで飲み干し、結衣を見ると頬が少し赤くなっている。
人のことは言えない。
空きっ腹にいきなり飲んだから、俺の顔も赤くなっているハズ。
注文した肴が何品か運ばれてきた。
その後、結衣が立ち上がって俺の隣に座る。
「どうしたん?」
「ん。背中向けて座ってたら、店員さんきても分からへんやん?」
そう言いながらぴったり寄り添うように座る。
俺はニッと笑うと首を伸ばして結衣の耳元で囁いた。
「トイレ行って下着とっといで」
チャットでは何度も交わしていた言葉。
本当に言われると思っていなかったのか、それとも期待通りのセリフを耳にした喜びなのか、どっちかは分からなかったが、結衣はさらに頬を赤くしてしばらく俯いていた。
その次の瞬間、店員がふすまをあけ、ほっけを運んで来た。
はじかれるように立ち上がると、結衣は傍のバッグを手に
「ちょっと」
とだけ呟いて個室を出て行った。