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Vtuberの妹の中の人ですが  作者: 針坂時計


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11話

【ごめん、急遽お泊りオフコラボすることになった】


金曜最後の授業が終わってようやく週末じゃー帰るかー、って思ってたところにお姉からRINEが来た。

お泊まりオフコラボって、ライバーさんがウチに来て泊まりで配信するってことかな。


【了解。ごはんは?】

【ごめん、用意してもらっていい? 1人だけだから。メニューは任せます】


返事代わりにスタンプを押してRINEを閉じる。塾の無い日でよかった。

えーと食材は余裕あると思うけど2人分だから買いに行かなきゃかな。いつもは商店街のネットスーパーでまとめて買ってるから実店舗に行くの久々な気がする。


「あーちゃん、帰ろ?」


「ごめんしーちゃん、ちょっと買い物行かなきゃになった」


しーちゃんとは最近よく一緒に帰るのだが、彼女は電車組なので、商店街を回ると遠回りになるので付き合わせるわけにもいかない。


「夕飯のお買い物?」


「うん、お姉の友だちが来ることになって」


「それ、付いてってもいい?」


「いいけど、ほんとに食材買うだけだよ」


「あーちゃんとならどこでも楽しいから」


健気なやつめ。しーちゃんとは1年のとき、もうひとりの別のクラスの友だちを巻き込んで色々…ほんっっっっっとうに色々あって以来仲良しである。

しーちゃんは女子から誤解されたり妬まれたりすることが多かったみたいだから、気兼ねなく付き合える友だちが欲しかったんだろうね。


「じゃ、いこ」


「うん、放課後デートだね」


しーちゃんはふんわりと笑った。



★



にこぷれの人だから十中八九女性だろうし、そんなにガッツリなメニューでなくて大丈夫かな。野菜中心のヘルシーメニューにしよう。

しーちゃんと手を繋ぎながら商店街までぷらぷらと歩く。校門で担任の北川先生に「志津木ー皆瀬ー、気を付けて帰れよー」と挨拶されたのでさよーならー、と返す。…名字で呼ばれたの久々(はじめて)だな。10話も重ねてようやく名字で呼ばれる機会が来た。

てか何故我々は普通に呼ぶのに、影山さんはギャル山なんだろうか、あの担任。


6月の始めだというのに外は既に蒸し暑い。昨日降った雨が纏わりつくような湿度を置き土産にしていた。

他愛もないことを話しながら歩いてたらスーパーについた。この時間は奥様でいっぱいだな。制服JKは普通に目立つ、というかなんだか微笑ましく見られてる気がする。


「シェフ皆瀬、本日のメニューは?」


「蒸し野菜サラダと和風パスタにしようかと」


どっちも楽ちんで美味しくて言うことないね。野菜たっぷりで美容にも健康にも嬉しい。汁物はインスタントでいいか。

にんじんとキャベツ、ブロッコリーはストックがあったはずなので、カリフラワーとパプリカ、スナップエンドウ、さつまいもあたりがあればいいか。野菜だけだとちょっと味気ないので鶏むねも入れようね。

パスタもストックがあったはずだけど2人分だし残量が心もとないから一応買っておこう。お姉も私もパスタ好きだから余ることはないしね。あとはシメジ、椎茸。えのきは味噌汁用のやつがあったかな。


「あーちゃんって料理上手だよね。前の調理実習でも班の中心になってたし」


1年のときの実習かな。あの時は本当にハラハラした…。料理に慣れてない人が多いのか、手のひら開いて包丁持つ人とか、隠し味と称してレシピにないもの入れようとする人とか、調味料を目分量でだっぱだっぱ入れようとする人とか…。サラダ油なんて入れれば入れるほど美味いしヘルシー!じゃあないんだよ。特に男子はほっとくと滅茶苦茶するキッズが多いからほんと困る。


「普通の家庭料理だよ?」


「それでも凄いよ。わたしなんてキッチンに立ったことすらないもん」


「料理は経験だから、やってけば出来るようになると思うよ。あ、お菓子買う?」


「うん、買う。あーちゃんに教えてもらおうかな」


「別にいいけど…」


母親とかじゃないんだな。頼れる親がいるなら頼ったほうがいいと思うけどね。

…母親、ね。やだやだ、めんどくさいことは忘れよ。

自分のお菓子はチョコでいいかな。私はアルフォート派だ。


「まぁ料理出来たほうがモテるとは聞くよね」


「モテたいわけじゃないんだけどなあ。あ、これにしよ」


「しーちゃんそのグミ好きだよね。まぁモテ関係なくても作れると便利だけどね」


ちょっと小腹空いたときに軽いもんとか作れたりするしね。あと人に美味しく食べてもらえるとやっぱり嬉しいしね。


「わたしが外で働いてあーちゃんに専業主婦になってもらえば解決するのでは…?」


「どうしてそうなった…?」


家族カードで会計を済ませて食材を袋詰していたらしーちゃんがおかしなことをいい出した。あ、レジ袋は5円払ったよ。さすがに学校にマイバッグもっていくほど主婦ではない。…どうでもいいな。

しかし急に何を言い出すのか、この子は。


「でも合理的でしょ?」


「いや、うぃーあー同性」


「水星じゃ全然ありらしいよ?」


「逆だからね、それ」


誰がたぬき娘だ。まぁあのアニメは楽しく見てたけども。

詰め終わった袋を持って外に出る。


「まぁいっか。じゃあわたし逆だからここでね」


「ん。付き合ってくれてありがと」


「お礼に料理教えてねー」


またねー、と手を振って去っていくしーちゃんを見送って自宅に向かって歩き出す。

…しーちゃんと同棲ね。悪くはないかな。しーちゃんのことは普通に好きだし、自分が誰かと付き合うとか想像できないしね。結婚は飛躍しすぎだけども。そもそも法律で認められてない…いや、私達が大人になる頃には世の中がもっと変わってるのかもしれないけど。


★


帰宅して平蔵くんを構いつつ食材を冷蔵庫にしまい、自室で制服を脱いでハンガーにかける。お客さん来るし、あんまりラフな格好もアレか。黒のスウェットシャツとショーパンあたりにしておこう。

んでリビングとお風呂を軽く掃除。お風呂は自動洗浄が付いてるけどまぁ一応ね。変な毛とか残ってたらやだしね。ついでにソファとかをファブっておこう。

夕食の下ごしらえをしてから軽く予習復習。野菜を切ってると平蔵くんが欲しがるんだけど、猫に野菜のあげすぎはよくないらしいので、かわいい誘惑を跳ね除けるのに苦労する。


ノルマを終えて平蔵くんと遊んでいたところでお姉からRINEが来た。19時30分頃に家につくらしいので、それに合わせてごはんの用意。

といってもサラダは耐熱皿に乗せてレンジにGoするだけだし、パスタもソースはオリーブオイルとニンニク、バターと醤油と塩コショウだけで出来るからそんなに複雑じゃない。一応ニンニクは香り付け程度にしておこう。キノコだけだと味気ないかな。ベーコンも入れるか。

蒸し鶏も下ごしらえしたらレンジでいいし、放置時間があるから片手間に出来るしね。文明の利器様々だ。あとは時間に合わせてパスタを茹でよう。


そうこうしてるうちに玄関の開く音がしたので平蔵くんを抱っこしてお出迎えに。


「おかえりー」


「にゃー」


「ただいまー、ごめんね急に」


「こんばんは、愛ちゃん。平蔵くんもこんばんは」


「獅子森さん、こんばんは」


ゲストは以前お会いしたにこぷれの社長兼ライバーの獅子森さんだった。相変わらずスーツが凄い似合う大人のギャルって感じ。


「ごはん出来てるからね、手洗ってきてね」


「ありがとうー。んー美味しそうな匂い!」


さて、二人が手を洗ってる間にお皿に盛ってテーブルに並べるかな。

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