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フィールのもとに。

 






そんな焦れた騎士を一瞥する。


 もともと、私の指示系統でない騎士だし私の実を案じているというよりか、叔父上の指示通り動いておきたいだけだろう。自分たちの為に。


 別に私を案じてほしいとは言わないが、なんだかなあ。

その騎士たちの態度でわかるので、少し隠してほしいところだ。


 そして、今は3人ほど私の護衛に騎士がついているが、正直フィールの方が強いだろうし魔術を使えるならば私の方が強いだろう(私の場合は、ある程度対するものとの距離が欲しいけど)


 騎士たちの護衛といっても対人だろうし、大フィールと戦わせることはないけど、足手まといだ。


「いや、少し私はここで叔父上をまとう。城に行くのはそれからだ」


「殿下!ここは本当に危ないです」


「だが、私は城に戻る気はない。叔父上との重要な話が途中だしね」


「そんなことより、殿下の御身が大切でしょう!」


 そう大声をだし怖い顔をするけど、少しも怖くない。そもそも、その大切な御身の私にその態度は無いだろう。


 こんな話をしている間も背後の破壊音がやまないし。


 {{ねえ、どこかに行くの?待たない?}}

 ぽしょりと小声で肩で話すフィールをひとなでする。


「どこにも行かないよ」小声でフィールに返す。

 このまま、大フィールを迎えに行こう。さすがに落ち着くまでここで一人放ってはおけないし。


「は?なんですか?殿下、さあ、お乗りください」


 不機嫌を隠そうともしない騎士はやはり馬車に乗せて指示通り動きだそうとするけど、

「フィール、足止めお願いできる?」


 今度は、騎士たちにも聞こえるような声でフィールにお願いする。

そうしてお願いしたとたん船で叔父上を動けないようにした黒い靄が騎士たちの足元に絡みつく。

ゆらりゆらりとまるで黒い霧が生きているように、ひざ下まで騎士たちの体を絡め取ってゆくため、もうここから動くことはできないだろう。


 多分暫くの間だけど。


「うわっ」

「なんだ、これは」

「動けない?!」


 なんて騎士たちはざわざわしていたけど、そんなことをお構いなしに今度は、先ほど来た道を戻り始める。

向うは大フィールのところ。やはり今も暴れて周りを更地にしているけど、行けるところまで行こう。


「殿下!お戻りください!」

「殿下!あなたですか?殿下!これをほどいてください!」

 背後でやはり喚いている騎士たちに少し振り返り、一言。


「私はこのままあれを鎮めに行こう。お前たちは叔父上に報告をして退避を。ありのままに報告すれば罰されることはないだろう」


 そうして、又歩み始める。横にピコとクーがいてちょこちょこついてきてくれた。


「いいの?」

 少し不安げなピコ。


「母上に会いたくないし。そもそも彼女の中で私は死んでいる者だろうから、行けないし、フィールもほっておけないし」


 すこし、すねた様な口調になるけど、仕方がないと思う。


「まあ、どうせ方向性は決まってないのですからフィールも連れていきましょう?でも、なんであんなに起こっているんですかね?」


 {{なんでだろうね?わからない~。今はちぎれて行動してるからぁ}}


「そうなんですね。精霊の不思議ですね」


 {{うふふ。不思議生物なんだよぉ}}


「大丈夫ならいいよ。でも、困ったよね、いろいろ問題!」


「本当に、ねえ。なんで解決しないことがたくさんあるのにねっ、と」


 しゃべっているうちに時折小さな破片がこちらに飛ぶ距離に近づいてきた。


 土煙も少し足元で亭々するぐらいの距離。まだまだドラゴンになっている大フィールまで距離はあるが、少し危険かもしれない。


「もう、近寄れない?かな」

 肩に乗るフィールに声をかける。ふわふわ。


 {{ん~。もう少し使づいたらフィールが話すねぇ。大丈夫近づけるよ}}

そうフィールは言い、私やピコ、クーの周りにふわりと少し黒い靄が絡んできた。


 特に私たちの行動を阻害するのもではない、ただ漂っている印象の黒い霧。

 その時また小さな破片が飛んできたが、黒い霧に当たったと思ったら音もなくその破片は砂になり落ちる。


「すごぉい!」

 ピコが思わず声に出して手をたたき喜んだ。


 すごいな。あのかけらが一瞬で風化したように砂になった。私がこの霧に触れても何も起こらないのに。

そうして目の前の黒い薄い霧に触ってみるが感触はない。ただ少しひんやりしているような?


 {{ね、大丈夫。進もお~~}}


 そう言うフィールの言うとおりに、暴れているドラゴンの方に近づく。

そう進んでいると、当たり前だがドラゴンを牽制していただろう館の騎士たちの所に近づくことになった。


 牽制といってもできることはなくただ剣を構えて、ゆらりゆらりと突っ立っている者たちだけど。

ざっと30人ぐらいかな?まばらにドラゴンを囲んでいるので、はたから見れば立派に牽制してドラゴンを囲っているように見えるだろう。


 そんな騎士たちの方に私たちは黙って近づく。ここを通り過ぎないと大フィールに近づけないし。


「で、殿下。なぜここに!こちらは危険です。退避を」


 こちらに気が付いた騎士が私の方に駆け寄ってくる。

まだ新人か、青年というにはあどけない少年のような風貌。このような新人も駆り出しているのか、騎士の人数少ないんじゃないか?この館。


「私は行くところがあるので、気にせず」


 一応一言断りを入れて、そのままずんずん進んでいく。


 ちらほらと私に気づき騎士が近寄ろうとするけど、初めに声かけた少年のような騎士ほどは追っかけてこない。だってこの間にもがれきが飛んでくるし。


 そんながれきを器用によけ、手元の剣でいなして私についてくる騎士。意外に強いのかな?でも、まあ。


 そのまま、無視していると目の前のドラゴンが大きく咆哮をした。

ひどく大きな咆哮で、体中にびりびりと突き刺さるよう。


 思わず、両手で耳を塞ぎ息をひそめる。しばらくして、落ち着いたところにまた足を進めていった。


 先ほどまでついてきた騎士は、さっきのドラゴンの咆哮でダウンしたようだ。耳をふさいだまま膝立ちで動けない様子。


 多分私もフィールの闇が守っていなければこうなっていたんだろうな、と思う。

だってほかの騎士も同じように少し離れた場所で同じようにないっている者がいるから。


「結構大きな声だったね~」

 いつものようにゆったりしゃべるピコ。


「多分、こっちに気づいたんでしょうね。フィール」


 {{うん、フィールたちに私が気づいたみたい。こっちにくるな~って}}


 そういい、フィールはポンっと私の肩から跳ねて、大フィールのドラゴンのほうに行く。


 ぽんぽんと。


 ドラゴンは暴れるのをやめて、でもイライラした様子でその太い尾をがれきなどに打ち鳴らしている。


とりあえず、これからはがれきが飛んでくることはないかな。やはりがれきが消えるとはいえ、目の前まで飛んでくるのは、ドキドキするので。









ここまで読んでくださりありがとうございます。

多忙につき現在少しお時間をいただいています。

次回も26日に更新予定です。


また、お会いできたなら幸いです。

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