黒い少年
少し黙り言葉を紡がないでいると、またじりっと近づいてきた。
{{怒ったの?お前}}
「別に」
{{、、、怒ることないよぉ。お前人間だから}}
「お前、じゃない」
{{、、、なに?聞こえない}}
「ラインハルト」
{{うん?知ってるけど?}}
「私はラインハルト」
{{もー、しっているってば}}
名前を呼んでもらおうと思ったけど、知っているの一点張りで呼んでもらえない。
私は馬鹿でもお前でもないのに。でも、呼んでと素直にお願いするのもなんだかなあ。イヤな気がする。
「もういい」
{{なにーもー。わからないなあ、お前はぁ。あ}}
フィールがもう少しこちらに近づいたときに、少し話声が聞こえた。
ピコとクーの声がする。
{{帰ってきたようだけど、いらないのも来ちゃってるなあ}}
「え?いらない物?」
声はするけど、姿はまだ見えない。でも何だか、おかしい?
足音が聞こえる。ザリザリと、下の床の砂をすりつぶして歩く音。ピコとクーは出せない音。
青紫の頼りない光は、音のなるところまでは光を届けれないので、ただ闇の方から能天気なピコとクーの声が聞こえて、でも足音も同じように近づいてくる。
そうして、緊張してその時を待っているとぴょこりといつもの調子でその闇から出てきたピコとクー。
こちらに気が付くとにこりと笑って元気に手を振るので私も手を振り返す。
「ライン!大丈夫?」
ふわりと、距離を詰めて聞いてくるピコ。
いつもの調子になんだか安心する。
「大丈夫だよ、ありがと」
「心配しましたよ!急に大フィールにつぶされたと思ったら寝てしまうから」
横でやれやれ、なクーにも一言謝る、心配かけてしまったなぁと。
でも、心配されるのはやはりうれしい、、、でも今すごく気になることがあるのだけど、、、。それ誰?
ピコとクーの後ろには黒い人影、というか少年?なんだが私によく似ているような。
少し癖のある短い黒い髪に黒い目で、ニコリとこちらに笑顔を振りまく少年。服は少し豪奢な作りのようだがカラーがないというか白黒な印象。というか私が着ている服によく似ている、、、?
「えっと?誰?」
私がその少年に声をかけると、ピコが面白そうにふふふと横で笑う。
クーもなんだか楽しそうだ。
大フィールは特に感想はなくその奥を見ているのかな?関心はこちらになさそう。
にこにことその黒い少年はしゃべらずにこちらを見ている。
えっと?
「私の知っている人?」
そう問うとこくりとうなずくのだが、私によく似た少年はしゃべらない。
、、、、、、、、、、。
沈黙が続くが、思い出せない。
正直自分の交友関係は基本的にそんなにない。いや、挨拶を受けたり、招待されてパーティなどに赴いて、などはあるが交友、となるとそんなに、、、というかほぼないのだが。
この少年のように、私に似ている人とは交友関係を持ったことがないと思うのだが、、、。
「わかんない?」ふふふと笑いながら私に声かけるピコだけど、本当にわからない、というかどこからこんな子連れてきたのか?
どこかに繋がっているのかな?この城の地下から?
もう一度少年を見て考えるも思いつかない。
「ごめんね分からない。誰でしょうか?」
素直に降参する。本当にわからないかな。
その時に、ぼよんと大フィールが跳ねてこちらの方に来た。
{{ラインハルトは馬鹿だね。フィールだよ。私。見せたでしょ?姿変わるとこ}}
そう言われて、びっくりする。そういえばフィールの姿は見えていなかった。でもこの少年がフィール?
「あはっはは。ばらしちゃった~。せっかく面白かったのに」
「ねー、やはりわかりませんでしたね。そうですよフィールなんです」
ピコとクーは楽しそうに口々に言うけど、それでも信じられない気分だ。
「フィールなの?」
そう少年に問うと、またニコリとして笑う。
{{そうだよ~、フィールだよ。ラインわからなかったの~おかしいねぇ}}
やっとしゃべってくれた少年の声は確かにフィールの声で。
その声で、やっとフィールなんだとわかって納得できた。けど、なんでそんな姿なのか?
{{びっくりした?ふふ、面白いでしょ?でも少し窮屈}}
といってその少年フィールはしゃがんだと思うとふわりと闇に消えて、ぽんっと軽く跳ねる音がした。
そうしていつものフィールの姿に戻った。
「フィールだ、、、」
{{ライン、さっきのもフィールだよぉ}}
「そうなんだけど、びっくりして」
フィールはいつものように私の肩に乗ってすりっと私のほほに体を寄せてくる。かわいい。
一度撫でる。やはりふわふわなこちらの方がフィールって気がするな。
「なんで、そんな格好に」
{{変なの連れてきた?}}
なんでな格好をしていたのか、フィールに問うと、その質問に大フィールが重ねてきた。
さっきも言ってたけど、なに?連れてきたって。
そうみてピコクーに顔を合わせると困ったような顔。
え、なに?




