表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

86/93

フィールの過去

 







 そうして震わせた大きな毛玉はぼよんっと少し大きく跳ねて私の上に頭から乗っかかってくる。あの大きな毛玉が頭の上に乗るようには想像できない。


 多分!絶対私つぶれたっと思ったけど、そんなに重さが感じることはなかった。


 、、、、あれ?暗い?










 目の前には黒い短い髪と黒い目の男がいる。


 浅黒い肌には細かい傷が浮いており、体も大きくとても強そうだ。辺りはもう夜で、なぜだか森の中のようだ。

その男の前には焚火があり、時折狼か、獣の鳴き声が聞こえる。


 後は、パチパチと炎が爆ぜる音。それだけの静かな夜だけど、前の男は私に話しかけてくる。


 いろんなことを私に何かするたびに声かけてくるけど、私はそんな男が大好きだ。


 でも。


 これは、誰だっけ?


 そうして、時折その男は私の名前を優しく呼んでくれた。そのたびになんだかうれしくなる私。


 そんな感じに男を観察しているといつの間にか目の前には、大きな切った肉がある。そして目の前にいる男もその大きな肉を大きな口でばぐりっと食べた。


 もう!私は、お肉は食べないんだよ。ガイナ。いつも準備するけどさぁ。


 あ、ああ、そうだ。ガイナ。ガイナだ。今日は依頼でここまできていたんだった。ごめんね、ガイナ。少しフィールおかしかったかも。


 うん。今日も一緒に頑張ったね。


 大きいドラゴンだったね。もー。おきくてびっくりしたけど、私強いから~。うん、ガイナも強いよね。頑張ったよね。依頼は成功だ!


 でもこのドラゴンどこか持って帰らないとだめじゃないかな?おいしい?食べちゃう?

 ふふ。大きすぎるから無理だよう~。







 ガイナ。結婚ってなに?


 うん。その人間と一緒になるの?家族?うーん?わからないけど、フィールと同じ?、、、違うの?わからないけど、ガイナは幸せ?にこにこ?


 そっかあ、ならいいと思うよ。


 うふふ。フィールも、家族だった?そうだよね。ガイナとフィールは仲良しなんだよね。


 あ、でもその子も一緒に依頼に行くの?ん~?行かないの?フーン。


 ん、いいよ。お引越しするの?そっか。いいよ。ガイナがニコニコしてくれるならば。フィールもニコニコ。


 お嫁さんって人ができたんだね、オヨメサン?









 ~~~?大きなおうちにきてから。なんか、うん?なんでかな。ガイナ元気ない?うーん?大丈夫?依頼に行こう?前みたいに。、、、、、、ダメ?なんで?


 ん~~~?オトウサンになるの?そう?ここから出ないの?、、、、え~~~。


 フィールとお出かけしよう?この頃ガイナのにこにこ見てないよ。


 ん~~~~。だめ?


 約束?コドモを守るの?んん~~~?わからないよガイナ。


 コドモって何?大切なもの?フィールより?あは。変な顔しないで。わらっちゃったぁ。


 大丈夫だよ。コドモって人間?なの?ガイナと同じなのね?うん。


 大切にするんだね?約束?ン~~~。わかった。







 ん。また寝てた?なんでだろ。んー。まただ。ガイナがいない。


 この頃ガイナに会えてない気がする。なんでだろ。そうだあの部屋に行こう。




 そう思っていたのに、目の前の人間と、そのお供のように炎の精霊がいる。私を邪魔をするように。


 この人間いつもガイナの近くにいるからなあ、お嫁さんだっけ?違う?ん?ちっちゃい人間はどこ?まあいいや。



 ねえ、人間。ガイナどこ?、、、、なんでこの頃邪魔するの?




 ちょっと。やめてよ。炎の精霊なんかにフィールが撒けると思うの?高々四属性程度なだけでさぁ。なんなの。わかってたことでしょお?


 フィールがおとなしいから勘違いしたの?もーー。嫌だなぁ。


 ほら!ガイナ呼んできて。も~~~。はーやーくー!


 フィールがガイナのトコにいこうか?もーーー。うっとおしい!無駄に暑いんだよねぇ。炎の精霊って。ほら邪魔。


 そんなことするならば、ガイナ探してきて。


 無駄に、この家大きいから嫌になる。は?なに、も~~~。もういい。



 はあ。ガイナに会いたいだけなのに。も~~。


 ん。


 こんにちは、私。うん。じゃあお願い。ガイナを一緒に探そう。



 ここかな、ガイナ。


 ここ?


 ン~~。寝てる?ガイナ。


 あ、見つけた。ガイナ。


 ん、え。ガイナ?ガイナ?ガイナガイナガイナ!!


 なんで、私っ。なんでガイナが胸が、穴、、、。いっぱいの赤。


 ダメだよ、この赤はだめ。だって、あああ、なんで。ドコドコないよ。これじゃあガイナが動けない。私と一緒に、旅もできない。


いいよ、一緒にお肉も食べてあげる。


お歌も歌ってあげるよ。


フィールがさみしかったら一緒にいてくれるんでしょ?

ねえ、ガイナ。


 お喋りして、一緒にご飯食べて。わらって。   ガイナぁ。




 ガイナぁ。





 なに?お前たち。


 っちょっと。何、来ないで。なんなの人間たち。そんなものフィールに効くわけないじゃん。切れないのわからない?馬鹿なの?お前たちなんなの?


 あ、お前たち?お前たちがガイナをさしたの?ドコドコとったの?なんで?!


 わからないっ。はあ?儀式?なんだそれ?は?カミサマ?イケニエ?


 わからないけど、お前らがガイナを。


 は?怖い?そうだよ。ドラゴン様だもの。カミサマじゃないよ。フィールなの。ガイナがくれたフィールなの!!






 ん。ねえ、私ガイナを探して。ね。溶けるまで守って。


 嫌だけど、一緒にいることができないのはわかっているよ。うん。








 ガイナ、ガイナ。悲しいよガイナ。フィールも溶けてしまうよ。ガイナ。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ