前にみた青紫の炎の先には。
こっちは泣きはらした顔で、おもわずぼーと2人を見つめてしまったが、対した2人も困った顔でこちらを見ている。
「えっと。」
なんといえばいいのか、悲しい気持ちもどこかに行ったというか、泣いている顔をみられたことがなんだか恥ずかしい。今度は違う意味で顔に熱がこもる。
それを見ていたクーが二足歩行でこちらまで数歩あるいてきて、ぽんっと羽で私の肩をたたいた。
まあ、気にすんな?な、感じ?
「うん」
困ったような笑顔で、反対の肩もピコがポンとたたく。
はああ~~~っと大きく息を吐く。さっきまでのシリアスどっか行った。もういい。
なんだか腹の底から笑いがこみあげてきた。
もういいや。うん。
「なに?なんでもないけど?」
そう言ってみるも、まだ微妙な顔の二人。なんでクーが鳥で表情が読めないのに呆れた雰囲気と分かるようになったんだろうなあ、私。
「そういえば、どうやってここに来たの?」
秘技、話題ずらし。
「んー。なんかね。ラインが扉の前で消えたからあわてて追いかけたらここにいたの」
「すり抜けた感じですかね?生きていると色々ありますねえ」
「そう」
やはり、扉はすり抜けたんだな。なんでだろうか、、、とフィールは?
「あ、フィール?どこ?」
さっきまで肩に乗っていたと思っていたのに。今はいない。
足元を探してみても、居ない?
「ねえ、フィールは?」
きょろりとあたりを見回してみてもいない?さっきまで、扉の前までは確かに居たのに。
「フィール?あれ?」
ピコもきょろりと周りを見回す。
「フィールならば、さっきまでここに居たのですが、、、」
「いたの?」
「はい。でも、どこに。先に進んだのでしょうか?」
そう言い、扉の反対の先を見るクー。手前までうっすらと見えるが先になると黒い暗闇が続いておりよくわからない。
なんだかこの先には不安になるけど、でもフィールを迎えに行かないと。
「探しに行こう。ここでいてもどうにもならないし」
「でも、この先にはラインはいかない方がいいんじゃないの?」
「でも、このままここにいても朽ちるだけだと思うし」
母上が言うように神様がいるのならば、話ぐらいはできるのではないかとも思う。
だって長らくこの国を繁栄させてきた神様だもの。悪い者ではないのだろう、と思いたい。
いきなり食べられることはないだろう。
「うんー。じゃあ探しに行こう。でも危なかったらにげてね?」
「それはもちろん。みんなで逃げよう」
「じゃあ、先に行きましょうか、でもよくみえませんねぇ」
そう言い、3人で進んだ数歩でいきなり、壁にあるろうそく?が音を立てて火が付く。青紫色の光だが、なんだかそれ以上にとても明るく感じる。
前も見たことがあるような。
「あ、フィールがいたところと同じ感じだね」
ああ、そうだ。逃げ込んだあの洞窟のようなところに似ている。
あの時私は背中を切られて意識ももうろうとしていたけど、この火の色は覚えている。
そう思い、また一歩足を進めると、あの時と同じように炎が付いていく。
「なんだかすごいねえ。なんなんだろうね?」
「そうだね。あの時もこの先でフィールを見つけたしなんだか似ているね」
少し砂利が落ちているのか、じゃりじゃりする道を青紫色の炎が導くように足を進める。
相変わらず、この闇の先は見えない。
確実に足を進めているのに、なんだか同じところで足ふみをしているように感じるほど、進んだ気がしないというか、変な感じだ。どこまでフィールは進んだのか。
「どこだろうね、結構進んだよね?」
「ねー?どこだろ?」
「この廊下?回廊もすごく長いですよね、どこまで続いていっとおあっ」
少しだけ先に歩いていたクーが急に変な声を出した。
何事だ?と寄っていくと急に坂道に下っているところがあり、そこでこけたようだった。
少し下にクーが倒れているのをその派手な羽で確認できた。
私より先にふわりとピコもクーの所に降りて行った。
「クー,大丈夫?」
足元に気を付けて、少し坂道になったところを下る。じゃりじゃりするから少し私も滑りそうになる。ほんと城の中の廊下なのに、なんでこんなにじゃりじゃりするかな。
「大丈夫です、びっくりしましたけど」
体勢を整えて、白鳥すわりになったクー。無事そうでよかった。
「あ、」
やっと見つけた。フィールだ。
少し目の前にぽん、ぽんっと進んでいるところを見つけた。
「フィールっ」
少し足早にフィールの所に進むと、こちらにくるりとフィールは振り向いて私の手のひらに乗った。特に変わりないかな?けがもなさそう。
「フィール、どうして先に行っちゃったの?心配したよ!」
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