レッツ生まれて初めての料理はいかに?爆発編
そうして、鍋いっぱいの貝をどうすればいいか問うと、そのまま水と入れて鍋で煮ればいいとのことで。
まだまだ生水に抵抗があるが今現在川の水しかなく、致し方なく、水と手のひらサイズの貝を2つほど茹でてみようとしたときに気が付いた。
どうやって火を出した?
昨日は意識もうろうとしてて、でも石を重ねて鍋を置く所や、乾いた小さな流木を集めて燃やそうといわれてそのようにしたことは覚えているのだが、ここにあたりまでだが火はない。
自分は属性闇と火だが、火はごく弱いと言われているし、今まで出せたことがない。
いつも馬鹿にされていたことを思い出してすこし悲しく思う。
私の父と兄は優秀な炎使いで、私だけ先祖返りの闇魔法使いだと、さんざん言われて悲しかったのだ。
見返してやろうとがむしゃらに練習したが結果は同じ、小さな炎も出せない状態。
そんな私がここにきて火を出した?なんて、そんなことー
「火だしてたよ?」
と横からピコと肯定するようにギャアと鳴くクー。
「、、、、、、声に出してた?」
「うん、恥ずかしい自分語り始まったから、どうしようかと思った。放っておこうとも思ったんだけど、私は優しいから止めてあげとこうとも」
ピコの横で心なしかどんまいみたいな顔のクー。やめてよ、お前しゃべれるじゃん、なんで今しゃべんないの。
私がおかしかったのならば、全力で馬鹿にしろよっ!!
そうしてくれた方がまだましに思うからっなんとなくっ。
ぐあ、恥ずかしっ。
いつから一人語りになっていたのだろう、疲れが私をダメにする!
でも私は王族なので平気な顔をしておく。
何もありませんよ、何もありませんでしたな顔。
「で、私が火をつけたの?」
「平気な顔しても、口は歪んでるし~耳赤いよ」
にやにや顔のピコ。
「男の子の矜持ですよ。正直に指摘しないであげるのも優しさですよ」
やれやれなポーズのクー。
なんだよ、恥ずかしい時に指摘されるともっと恥ずかしいんだからな!
~~~~~っ
「もう!いいんだよ!忘れろっ!!」
一人大声で感情を爆発させた。
と、本当に自分周りで爆発した。
爆音とその衝撃の風を感じて、思わず砂浜に四つん這いになる。
砂が舞い散りそのあとすぐに自分にもぱらぱらと降ってくる。
少し爆音のせいでか、耳の奥で耳鳴りがする。
「びっくりした、なに?」
ここより距離を少し話したところにピコはいて、ふよふよこちらに近づいてくる。
自分の上に着いた砂を払い落として、ふと足元にクーの生首が落ちていた。
少し、ビビるが本体を探すと少し離れたところにおろおろと何かを探す体を見つけたので、そっと首を戻してやる。鳥の骨って軽いんだな。なんかかさかさするし。
首を戻した途端にギャアギャアと怒りけりを入れてくるクーので捕まえておく。痛くはないのだがなんとなく。
羽フカフカしてるので気に入ったが、骨の上に不思議パワーでついている感触。
まあいい。
「びっくりしたな、なんだこれ」
本当にびっくりした、何かが爆発でもした?するものあった?怖い島だな!ここ。
「何って、あなたの魔力でしょ。爆発。もうしないでね、びっくりするから」
「本当に、やめてくださいね、首が取れましたよ!」
口々に文句を言うお化けたち。
クーに至ってははあはあと呼吸が荒いような動作をしているが、君に呼吸必要ないだろ。
暴れるので、手を離すとピコのほうに走っていった。早い。
「私が?」
と、じっと手のひらを見る。特に変化もないいつもの私の体の一部だ。
でも、集中すると指先からチリチリした感触がある。
「フィア」
小さな炎の玉の呪文をつぶやくと、音もなくその指先に小さな炎が灯った。
!!びっくりして指を振るうとすぐに消えたが、確かに炎がでた。今までできたことがなかったのに。
「ほら、火が出るでしょー。もー、また貝を拾いなおしてやり直ししよー。」
お腹すいてるんでしょーとピコは何でもないように言っている。
まあ、おなかが減っているのは間違いないため、そのまま石と木を集め簡易の竈を作った。
貝をゆでるために、火が必要だ。
そして、再度集中して呪文を唱えるとあっけなく火は灯り、そして流木に火が付いた。
少し煙が立ち、そのあとだんだんと勢いを増した青っぽい火が、鍋の下と石の間を大きさを変えながら舐めていく。
流木はよく乾いていたようだ。普段見る暖炉の炎より若干青いような炎は見る見るうちに勢いを増していった。
パチパチとという木が爆ぜる音と明らかな火による熱を感じる。
すごい、本当に火が出た。
少し感動をしていると横にきたピノとクーがじーっと鍋の中を見ていた。
鍋の中は少しずつ気泡ができており、中で貝が少しゆらゆら揺れていた。これがぱかっとして食べることができるのか。
そのまま三人で鍋の中を観察していると、鍋の中で揺れていた貝が急に大きく動き二つに割れた。結構な衝撃でお湯が飛び、白く濁る。
「っっ!びっくりした」
「ねー、ぱかってしたね。もう食べれるよ」
ニコニコ顔のピコ。
ピクニックセットの中から皿とフォーク、スプーンを取り出し、フォーク、スプーンで、鍋の中から貝を皿に置いた。
固い貝の中には片一方のほうに身だろうものが付いていた。
貝の中身は楕円形で赤黄色と少し白、端がひらひら?ぐねぐねしており黒っぽい。
真ん中の白い部分はぷっくりしており、過食部分は、、、、、、この白い部分を食べるのだろうか?
少し思案してピコとクーを見るとワクワクとした顔でこちらを見ていた。
なんだか聞きにくい。
皿に置いた貝は私の手のひらの半分ぐらいの大きさで、そのまま食べるには大きいので、ナイフとフォークを取り出して、、、皿を置くテーブルがない。
マナーの先生がすごいブリザードをおこしそうだが、皿を砂地に置き貝を切る。グネグネ弾力があり、切り切れない。
なんだこれ。本当に食べ物?
再度ピコとクーを見るともう興味がなくなったのか、波打ち際をうろうろしていた。
なんなんだよ。
お腹はすいてるし、果物だけでは力が出ないだろう。
意を決して食べることにする。
やはり、ナイフでは切り切れないため、行儀は悪いが、フォークで刺して丸ごと貝ににほおばった。
切っていた時も気になったが、端の方の弾力がすごいが、いい塩梅に塩味とうまみがあり、おいしい、ような?
と、咀嚼しているとジャリッとした感触がした。
慣れない感触で、咄嗟に少しえづきそうになったが根性で飲み込む。
なにこれ。じゃりってした。砂?砂が混じっていたのか?こんなことは今まで食事の際に起きたことがないので、どうすればいいかわからない。
「お、おい、ピコ、クー。貝食べたらジャリッてした。貝は食べ物のはずだろう?なんで砂っぽい触感があるんだ、、、」
慌ててピコのもとに聞きに行くと当然のように返された。
「砂の中に住んでるんだから砂もおなかの中にあるんだよー。ラインを今食べたらどっかで空気吸ってんだからラインの中から空気がでるでしょ?多分」
なんだ、そのたとえは。普通に怖いわ。
そうだそうだ、と言うようにピコの横でうんうんと頷くクー。
え、庶民の常識なの?庶民って砂食べるの?
残りの貝を無理やりあまり噛まずに咀嚼して飲み込む。空腹は収まるが、少し気分が下がる。王宮の食事が恋しい。
パンが食べたい。料理したものが食べたい。
城に帰りたい。
そんな気分で残りの茹でた貝も食べきり、なんだか今日はもう気力が続かず、また流木の上で寝ることにした。
なんとなくのどが渇き湯煎した水をのんで、いつの間にか暗くなり、ピクニックセットのランチョンマットがおなかの上にかかっていた。
見上げると、満点の星空がきれいだった。
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現在の持ち物
服上下、ブーツ
空瓶1(水)
金属製コップ
丸い瓶2(お酒?)
鍋(手持ちのパン的なもの)
帆(ラインがくるめる程度の大きさ、焼け焦げている)
ピクニックセット木箱
ナイフ、フォーク、スプーン各3
ランチョンマット
皿3枚
厚手のシート(レジャーシート)
食べ物
みかん3,リンゴ1
貝
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