2日目も変わらないスタート
「まあ、そんなわけがないよな。島のままだ」
目が覚めると、もう太陽が真上に上っており、その日差しは目に痛いぐらいだ。
そして、体のあちこちがかゆい、痛い。寝ている間に何かの虫に刺されたのだろうか。
体に筋肉もずきずき痛い。これはうわさに聞く筋肉痛か?初めてのことが多いな。痛いけど、かゆいけど。
そういえば、虫といえば川に行ったときに大きなブンブンいう虫いたし。こういうところは虫が多いのだろうな。少しげんなりする。
そうして、太陽がまぶしく思い、横を見ると昨日作った水が入ったコップがある。そうして昨日のことを思い出す。
しかし今現在だが昨日の気持ち悪さや、おなかの具合もよくなっているようで、本当にほっとした。
生水の恐ろしさが本当に身に染みた一晩だった。
生水怖い。武術訓練の時にこう少し生水のことを真剣に聞いておけばよかったと心底思った。
誰が、川の水にそんなものが入ってると思うのか。それとものどの渇きに負けでたらふく飲んだのが間違いだったのか。
お腹の調子がよくなったのか空腹感を感じる。うれしいような、悲しいような。
昨日のめまいは収まっているが、今度は空腹で目が回りそうだ。
「あ、起きた~?」海の方から声がする。ギャアっという声も。いやお前しゃべれるだろ、クー。
起き上がるとギャリッとした背中の感触、ベッドにした流木の上にも砂が入り込み少しべたつく。
ぱんぱんと、砂を払い落とすとピコとクーはもうこちらに来ていた。
クーが何やら持っているものをこちらに差し出す。
手のひらで受け取ると、ちくちくして動く!!見るとカニが3匹歩いてたので、慌てて払い落とす。
なんでだよ、いやがらせか!少し叫んでしまったじゃないか!
睨みつけると、あああ、と残念そうなピコの声。
「もったいないよー。人間はごはんがいるでしょ?せっかく捕まえたのに、クーが」と言いつつ逃げたカニを目で追いかけてる。
ごはんといっても、そんな小さなカニなんか身がないだろうに。
「たべるところないでしょ、それ。」
「全部食べるんだよ。おいしいらしいよ。油で揚げると」
「どこに油があるんだよ?」
「どっか?」
はて?と首を掲げるピコ、かわいいけど。
「ほら、残念ですけども。頑張って取ったのですけども!ラインハルトはいらないといっていますよ。やはり果物のほうがよかったのでは?」
横からクーがしゃべる。言い方が恩着せがましいぞ。
正直おなかがすいているのでなんでも食べれそうだが今は果物が食べたい、なんとなく水は飲みたくないので。生水怖い。
「そっちがいいです。どこにあるの?」
果物が欲しいので問うとお化け二人はツイっと森のほうに目をやる。
「一緒に行こうか」そうしてギャアと歩きを進められて、昨日に続いて森の中に入る。
昨日の沢の方とは逆のほうに蔦や根っこを乗り越えて進むと、少し開けたところに木々がぽつぽつとある。
そうした木に見た目はオレンジ色の柑橘っぽい実がなっていた。
緑のものもあるが、熟れているようなものもある。
お化け二人に振り向くと、ふわりと宙に浮き器用にクーが足で実を落としてくれた。
ぽとぽとと、3つほどその実を拾い服にこすりつけ汚れを取る。
なんとなく柑橘系のさわやかなにおいがする。城の方でもこのような実は見たことがあるように思う。その時は、綺麗にカッティングされていたが。
「これ食べれるの?」
「たべれるよー。おいしいらしいよ。」
というので、のども乾いているし分厚い皮を剥いてみるとよく見るような房が現れた。そのまま、1房口に入れると、酸っぱいが水気が多く、少し甘みも感じ幸せな気分になる。
おいしくて夢中で丸ごと1つ食べてしまい、そのあともう一つ食べる。こちらは先ほどのものより甘い。
2つ食べて空腹も少し落ち着いたところで、まだ、お礼も言っていないことに気が付いた。
この二人には、変なことはするし騒がしいが昨日より助けてもらっている。
「ありがとう、助かった」
「どういたしまして」満面の笑顔で返すピコ。その横でギャアとクーも鳴く。
そのあと、もう少し柑橘系の果物を落としてもらい、3つほど持ち帰るようにする。そうして、帰りにリンゴの木のようなものも見つけクーに落としてもらう。
小さなリンゴだが貴重な食料になりそうだ。
ほくほくな気分でまた、砂浜に帰ろう。
そうして帰った砂浜には、私が乗った船の残骸か、毛布っぽいものと、ピクニックセットが打ち上げられていた。
毛布というか、帆?かな。なんでか焦げてはいるが洗って使いたいものだ。
そうして、ピクニックセットはその名の通りピクニックに行くときの皿やカトラリーなどがそろっており、外のバッグが木で作られていたためか浮いてここまで運ばれてきたようだ。
他にも何かないかと探してみたがあとはめぼしいものは無いようだ。
でも、本当にうれしい。文明的なアイテムが手に入ったので。
ピクニックセットは中は湿ってはいたが川の水でよく洗い干しておく。
内容は皿3枚フォーク3本スプーン3本ナイフ3本ランチョンマット、厚手のシートがあった。いろいろ本当にありがたい。
これを洗っている途中にピクニックしよ!と誘ってくるピコ。どこにだ。すでにここがピクニックといってもいいんじゃないか。帰りたい。
もう一つの帆はどうしようか。本当に船の帆っぽいが、、、、。そして重い。頑丈な分だけ重い。
でも、海水で濡れておりこのままでは何にも使えない。
とりあえず乾かすか、とずるずると引きずり砂浜に広く敷いておく。昨日は大きな岩に敷いておいて服を乾かしたがここには砂浜ぐらいしかないので。
そうしてるとやはりおなかが減ってきた。
ちゃんとしたものが食べたいが、当たり前だがそんなものは無い。
「ここらへんで食料になるようなものってある?」
近くの砂場で遊んでいるピコとクーに問うと、というか、何しているの。
お化け二人は大小の穴を石や砂などで作り遊んでいるよう。
いいな、ごはん食べなくても平気なものは、と思いつつ再度聞いてみると今度は貝を食べるといいよと教えてくれた。
貝とは何かわからなかったが生き物らしくおいしいとのこと。
どこかと聞くと砂の中とか岩場にいるとのこと。
3人で朝より波が引いた場所に行き砂を掘ると、なんだか見慣れない塊が出てきた。
とても固いが石ではない感じで、筋があり、黒っぽいが模様がある。
それがころころと大きさは手のひらから指先までの大きさで出てきた。
「それが貝だよー焼いて食べるとぱかってなる。」
「ぱか、、、」
ぱかとは、なんとなく出てくるイメージではあるのだが。まあおいしいらしいので、拾い集める。
この貝は結構ここに生息しており、鍋いっぱい取れた。ピコの言うようにおいしいといいな。本当におなかがすいているので。
どんな味か少し楽しみだ、ちゃんと食べれるもの、だよな?ピコ、クー?
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