初依頼は貝堀りです。それより!やっとパンを膨らませるものをゲットした!!
紹介された本が気になり依頼書はそのままに、まず本を見てみよう。
すごく年代物だが頑丈に作られており、ぺらりとめくるといろいろな植物や、動物、魔物、など、多岐にわたる物が描かれ、その横に説明が書かれていた。
年代物だが、あまり使われていないのか、中の方は結構きれいで汚れていない。
時間があるなら全部読みたいところだが、今日は依頼をこなしてパンを作りたいと思っているので、ここまでで。
いや、パンは今日作れないけども。
依頼を決めて、ここで調べて、という方がいいように思う。
そう決めて、先ほど気になった採取依頼を手に取りカウンターに行く。
カウンターでは、昨日の男性ではなくマリーと呼ばれていた女性がいた。
「あら、おはよう。昨日の子よね?依頼受けに来てくれたの?」
にこり、と笑顔で手を出すので、先ほどの依頼書を渡す。
「おはようございます。私でもこれ受けれる?」
「大丈夫よ、でもまあ、説明するわね。ここにFと書いている通り、これはFランク対象の依頼書なの。一応、Fならその一つ上まで、Eまで受けることができるけど、その分難易度が高くなるから、今はおすすめしないわ。」
そうして、やはり難易度が高い方がポイントの付き方も多く、等級も上がりやすいそうだ。
また、有名になってくると個人に向けての依頼があったりしてこれも、ポイントがよく、報酬も高めになるとのこと。
情報依頼はやはり低くてもCからで、地道に頑張るしかない様だ。
「あなたの受けた依頼書は、ほぼ毎日あるから繰り返し頑張ったらいいわよ。でも無理しないで頑張ってきてね」
と受領サインをして送り出される。
「あ、これわかる?どこに取りに行ったらいいか、とか」と聞かれて、先ほどの本を指さし調べることを伝えると、笑顔でがんばって。と激励された。
本は、結構分厚いが、等級の所でより区別をされているようで、意外に今回の採取物を簡単に調べることができた。
ギュル貝という宝飾に使われる貝のようだ。
ここら辺の海岸に生息しており、暗くなると自然発光し美しいと。サイズは大人の親指程度で砂浜の浅いところにいることが多いみたいだ。
形状は巻貝。
ギルドの依頼書は特に数量は書いてないので、取れるだけあれば私の等級も上がり易いかな?
そして、何となくだけど発光する貝のようなので、夜に行った方が見つけやすいかな?
なんて考えつつギルドを出ようとしたら、おとなしく肩に乗っていたフィールが急に動き、ポンポン跳ねる。
{{ガイナは?どこにいるの!?}}
少し怒ったような口調。
小声でガイナいなかったの?問うと、ガイナガイナと騒ぎ出すので、少し早足でギルドを出て物陰に行く。
「ごめんね、フィール。ガイナいなかった?」
{{いないよ~。探してくれるんじゃないの?何してるのライン!!}}
「いや、探すために等級をあげているんだよ」
{{なんで等級あげることがガイナ見つかることになるの!ガイナあ}}
何とか落ち着かせようも、ポンポン跳ねて不機嫌さを出すフィール。困っていると横からピコとクーが助け船を出してくれた。
「フィール。人間にはルールがあるんだって。それを守らないとガイナに会えないんだって、だからもう少し一緒に待とう?」
{{ルールいらないよ、ガイナに会いたいだけだもん}}
「会いたいからルールがいるんだよ。ガイナも人間だからルール守ってたでしょ。ラインも人間だからルールを守って探しているんだよ」
{{うえええん。でも、会いたいよ。フィールはルールないのに}}
「うん。でもルール守らないと死んじゃうこともあるんだって、人間は。ルール大事なの」
{{死ぬの?}}
「うん、死ぬの。それはもうひどく。ドカーンって感じ。だから、もう少しルール守って頑張るラインを応援しよ?そうしてガイナ探そう、ガイナも人間のルール守らない子は嫌いだと思うよ」
{{わかった。うん、いいよ。ラインは約一杯頑張ってねドカンとならないようにしないと、いけないね。}}
「うん、頑張るけど、、、。」
すごく極端な話になっていたような?ルール守らないと死ぬの?誰が殺しに来るの。
これ、すべての細かいルールでも破ると死ぬよ、て感じになってない?
約束破ると殺されるみたいな。
やはりこいつらの死生観怖い。あと何だ、ドカーンて。爆発するの?
言いたいことはあるけど、とりあえずは夜にギルド依頼をこなすために夜を待とうか。
その間にやりたいこともあるので、それをやろう。
それは、食料品店に行くこと。
フルフルの実が欲しいんです。
パンを焼きたいんです。
「一応予定通り、ギルドは行ったので食料品店に行くから」
ピコたちに小声でこれから行くところを伝えておく。じゃないと途中で、声かけられても場所により反応できないから。
「いいよ~。頑張れライン」
「次は食べれるといいですね」
{{おいしいのがいい}}
三者三様な反応をしつつ、食料品店へ行くが、もう昼も少し過ぎてきたので一応屋台で軽食を買う。
薄いクレープに肉と野菜がくるまり、甘辛いソースがおいしかった。
このようなご飯もそのうち作りたいなと、店員の手さばきをみつつ完食した。
なんで、こんなぺらいのになぜ焼いているうちに破けないんだ、クレープ。すごい。
もぐもぐ食べているうちに、食料品店に来た。
流石食料品店ということで色々なものが所狭しと置かれている。よく使うだろう主食に関するものは量り売りの後自宅に届けることも可能だそうだ。
そうして、店員に問うとフルフルの実は赤い実で小瓶にぎっしり入り、お値段銅貨1枚。安すぎない?
一応山で取れるらしいけど、小麦粉がパンに変身できる魔法の実なのに安いと思う。すごいな。ほかにもすごいものがありそう。
城でいたころは食事に興味がなかったが今はすごくあり、こういうところはとても楽しく感じる。
これは?とか。何の調理器具なのかわからない形もあり、想像するのも楽しい。
たぶん、野菜を立たせてどうにか切る物なのだろう、とか。小さく切る物か?などなど。
他にもいろいろあったが、今は宿生活中にて購入できないことがとても残念に思う。
船に帰ったら物色してみよう。
とりあえずは、フルフルの実だけ購入する。これは絶対。
はあ、それにしても世の中にはアイテムボックスというものがあるらしい。それが今無性にほしい。
なんでも入れて持ち運べるって最高じゃない?
なんて、ないものねだりをしつつ、お会計を済ませた。
ちなみにこの実は乾燥させているので、細かく砕いて適量パン生地に混ぜるといいらしい。
量によりふわふわ感も違うのでお好みで、とのことを店員さんに教えてもらった。これも船に帰ったらやりたい。
そうして、まだまだ早いがそのままきのこのこ亭で食事をして、一度宿に戻り夜を待った。
宿自体はまだまだ利用したいので今度はしばらく、2日分ずつ延長する旨伝える。
途中で、他の島に逃げることないようにしたいが不測の事態を考えた結果だ。
そうして迎えた夜の時間になり、さっきまでおしゃべりをしていたピコたちは幽霊船に行ってしまった。
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