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気が付いた時には

 






 なんだか、ピコとクーの声がする。必死な声と揺さぶられる体。


 少し、吐き気がするので、ゆするのはやめてほしい。本当に。


 うえ、だからやめてって。ぐぐっと何か熱いものがのど元まで上がる感触がして。


「だから、やめてって!戻しちゃうっ出ちゃいけない何かが  うぷ」


 がばりっと上半身を勢いよく起こす。ぐっと一瞬喉元が熱くなったが何とか飲み込む。王族的に戻すのはダメだ。うん。


 そうして落ち着こうとしていると、ふわりと抱き着きしぐさをするピコ。横にクーもギャアギャア言ってる。


「え、あと。どうしたんだっけ?」


「どうしたもこうしたもないよ!心配したんだから!!!」


 ピコは物に触ることはないが、透けた状態で私を抱きしめようとしている。


 えと?


 少し思い出そうとして、自分と違う記憶がごっちゃになりそう。私はラインハルトでフィールではないのだけど、なんだか長い夢を見ていたような。


「大変だったんだから!死ぬかと思ったんだから!」


「そうですね、びっくりの連続でした。今は大丈夫ですか?」


 大丈夫とは?


 あ、思い出した。


 私は肩を切られて死にかけていて。とここまで思い出し咄嗟に背中や肩を触るがびりびりに切れている服と、濡れた皮膚があるのみ。動かしてもいたくはなし、そもそもひどい傷が夢のように消えていた。


「え?あれ。切られたと思うんだけど?」


 切られたときの熱と鋭い痛みも覚えているし、だんだん死に近づく感触もこの手にはまだあるのに、傷自体がない。そんなに時間もたっておらず、訳が分からない。


「方から背中にかけてバッサリと切られてましたよ。もう、私たちの仲間入りのカウントダウン始まってました。」


 嫌なことを言うな、この鳥は。


「倒れたと思ったら急に動き出して、私たちのこと無視するんだもん!で、切ってきた人たちに向っていくしさ!訳が分からなかった!」


 は?どういうことだ?と思わず自分の体の無事を確かめるついでに周りを見渡すと、少し離れていたところに、兵士が倒れていた。


 咄嗟に逃げようとしたが、その兵士たちはピクリとも動かない。


「え、あの兵士たちは?どうなって?」


「ああ、あの兵士たちはあなた??が倒したじゃないですか。おぼえていないのですか?闇魔法かな?上位魔法を使って瞬殺でした。こわ」


「倒したって、私が?」


「それ以外ないでしょう?でも、まあ?あなただったんですかね?少し、わかりません」


「なんかぶわーーーって黒くてすごかったよ。ラインだけど、ラインじゃないような」


「あ、そうですね。ぶわーーってしゅんしゅんって感じでしたね」


「そうそう、だーーーってなってしゅんだった。こわいねー」


 ねーっと共感する2人


「えっとお?」


 なに?久々にピコとクーの言っていることが分からない。いつもはもう少し会話になってたような気がするんだけど。


 吐き気も収まり、倒れている兵士のほうに足を少し進める、そしてみた。


 あの挨拶をした兵士の人だが、顔が、手が、なんだか干からびた野菜のような。肌がしわだらけになっており、明らかに呼吸をしていない。生きてはいない。


「え?」


 死んでる?私が殺した?私の国の兵士を?


「え、そんな」


 立っていられなくなる。グラグラする。


 私の国の大切な国民を私が殺してしまった。


 座り込んでしまった私に何でもないようにピコとクーはそばによる。


「うん、魔法が当たった時にそうなっちゃったよ。すごいねライン。でも、もう危なくないからよかったよね」


「そうですね、とりあえずの危険は去りましたね、あとはどうしましょうか、多分腐りますよね。この島結構温かいからすぐに」


「腐るって、打ち上げられた魚とかのあのぶにぶにしてる感じ?くさいやつ?」


「そう、そしてまた星に帰るんでしょね。私たちは星に帰り損ねましたが、ふふ」


「やぁだ、笑うとこじゃないけど!だよね、ライン?ライン?」


 遠くで、ピコとクーの会話が聞こえるが、自分が殺したことに衝撃を受けてしまい、理解ができなかった。


 耳鳴りと共に、そのまま意識を閉じた。




ここまで読んでくださりありがとうございます。

お化けたちは死生観が無いので軽く言ってますが、ラインからすると、、、。です。

ここまで読んでくださりありがとうございます。


少しでも気になってくださったらブクマ、評価いただけると嬉しいです。

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