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釣りをした。で、どうやって外すの?  びちびちする。

 


 慌てて思いっきり竿をあげると、そこには魚が釣れていた。


 手のひらより少し大きいぐらいの魚で、なんだかカラフルな色合いをしている。赤と青が頭からしっぽまで入っていてあまり見たことがない魚だ。


 「あ、釣れましたね」「釣れた釣れた!おさかなー」


 と喜んでくれるが、これからどうしたらいいのか、宙でぶらぶらびちびちさせるのもどうかと思い、とりあえず砂浜に置くと、さっきよりもっと跳ね回る魚。


 え、どうしたらいいの?


 二人を見るとこっちを見返す。


 「いや、どうしたら?」


 「クー、どうするの?」


 「多分、口の針をのけるんじゃないですか?」


 「どうやって?」


 「さあ?私鳥ですから」


 おまえ、ただの鳥じゃないだろ。絶対


 口から針を外すってっ。びちびちしている魚に近づくと、また大きく跳ねた。こわっ


 それを数回していると魚はあまり動かなくなり、それを機にえいやっと捕まえる。

砂がまとわりついているせいか持ちやすく、その勢いで針を外した。返しがあるため少してこずったが頑張れた。


 そして、手には砂まみれの魚がいる。


 「どうしよう」少し途方に暮れる。


 「どうしようって、食べるんでしょ?」はてなという顔。


 「食べるけど、これからどうするのかなって、私料理した魚しか食べたことないから」


 テーブルにおいしく調理した魚しかほぼ見たことはないし、触ることもなかった私です。


 「うーん焼くんじゃない?」


 「どうやって?」


 「うーん?棒に刺す?とか。多分火の中そのまま入れると全部燃えるよね?」


 「それだ!そうしよう!」


 「煮ればいいんじゃないですか、、、魚」小さくクーはつぶやいていた。






  毎日使って愛着がだんだん湧いてきた、お手製竈のほうに戻ってきた。


 砂だらけの魚は海の水ですでに洗った。ぬめぬめしてた。頑張った。


 で、木で刺せばいいとのことで刺そうとも、今度はどこから?問題が出ていた。横に刺せばいいか、と思ったがうろこは意外に固く刺さらない。


 悪戦苦闘していると横でクーが口から刺せばいいんじゃないですか?と。


 そんなひどいこと、、、と思ったが食べるために必要なことだ。思い直して口から棒を刺すとグッとした手ごたえは何度かあったが、しっぽ近くの横のお腹まで、貫通できた。


 心の中で魚に謝りつつ魚を焼くことにした。


 火にじりじりとつけて焼いていると、なんだか黒く焦げてきた、え、どうしようと思っていると。


 「焦げてるよ~。大変だよ!」


 「そんなに近くでなくても、焼けますよ。砂に刺して固定していけばいいんじゃないですか?」


 そうなのか?でも魚はちゃんと焼いて食べないといけない気がする。おなか壊すの嫌だし、、、。と少しだけ離してまた焼いていると横からクーが出てきて。


 「ほら、お手伝いしてあげます、あなたたちはこれ一匹じゃ足らないでしょうから、もっと釣ってきてください」


 と器用に魚の棒を足でもち器用に砂に少し離して刺していた。


 「ちゃんと焼いてよ?」


 本当におなか壊すの嫌だし。お願いしておく。


 もっと食糧がいるのは間違いがないので、釣りにはいきたい。


 「はいはい、わかりました。だからいっぱい釣ってきてくださいね」


 念を押して、ピコと再度釣りに行く。


 一度したことなので、今度はスムーズに釣りあげていった。

一番の問題は針を外すことで、やはりびちびち怖くてすべての魚は砂だらけになったが。


 「すごいね~!いっぱい釣れたね!ライ才能あるねえ!」


 「ありがとう!いっぱい釣れた!うれしいね!」


 本当にあれから短い時間で5匹も釣れた。私は本当に釣りの才能があるんではないか?このまま、ここで住むこともできそうだ。


 うれしいね!すごいね!とはやし立ててくれるピコにも、うれしかった。


 そうしてクーのもとに帰ると、焼きあがったという魚があった。


 綺麗な縞模様はなくなっていたし私が焦がしてしまった部分はあるが、中はどうだろうか?


 皮をちょいちょいのけてみると中には白い身が出てきて湯気と共においしそうな魚の香りがふんわり漂った。


 思わず少しかじりつくと、ほろほろした身が最高においしく感じた。


 少し塩気もあり、最高においしい。気が付くと無言で一匹食べていた。


 「おいしかった?よかったねえ」


 「ほめてくれてもいいですよ?ほら。ちゃんと焼けていたでしょ?」


 本当においしかった!


 「ありがとう!クーはすごいな!今まで食べたもので一番おいしかったように思うよ!本当にすごいな!」


 すごい笑顔で、クーに対して賛辞を贈る。本当に惜しかったから!


 「お、おう。どうもです」


 少しそんな私に引き気味に答えるクー。そうして私が釣った魚も焼くから準備するようにと言われるので、準備した。全部だ。


 初めの魚はごめんなさいの気持ちがあったが、今は早くまた食べたいという、食糧としての感情しかわかないことが自分でもおかしかった。


 自分はとても現金な人間だったのだろう。


 そうして、すべてクーに焼いてもらい自分でもできるように教えてもらっているともう今日も終わりだ。


 食糧は焼いている途中にまた少し、果物を取ってきた。それと朝の残った貝が少しあるので、リンゴを2つ残しあとは食べておく。


 久々におなかがちゃんと膨れた気がした。なんとなくそうなると幸せな気分になる。


 「結構、楽しいな、ここの生活も」


 少しずつできることが増え食料もめどが立ってきたかもしれない。もうしばらくは、人間関係や勉強に頭悩ますことなく、ただここで生きることに専念した生き方もいいように思った。


 「え~、いまさらなの?楽しいと思うよ。ずっといたらいいんじゃないかな?」


 「そうですね、それもいいと思いますよ」


 穏やかに、でも楽しそうに肯定してくるピコとクー。


 そうだな、それもいいかもな、と。ぽつぽつしゃべりながらその日は寝てしまった。


 こんな穏やかな日の続きがこんな日になるだなんて夢にも思わないままに。



4日終了時


空瓶1(水)

金属製コップ

丸い瓶2(お酒?)

鍋(手持ちのパン的なもの)

帆(ラインがくるめる程度の大きさ、焼け焦げている)

ぼろの釣り竿

ピクニックセット木箱

ナイフ、フォーク、スプーン各3

ランチョンマット

皿3枚

厚手のシート(レジャーシート)

  

食べ物

リンゴ2つ

しおれた浜大根


ここまで読んでくださりありがとうございます。

毎日更新中です。

よろしくお願いいたします。

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